野球選手が練習でよりうまくなるためにおさえておきたいポイント

野球

中学、高校と当たり前のように行ってた部活動の練習メニュー。先生が考えてくれ、その練習メニューをこなす日々。

多くの学校では伝統的に行われているウォーミングアップを行ったり、ひとつの儀式のように繰り返されるメニューが存在します。学生の頃はそんなメニューに何の疑問も持たず行っていましたが、今では不思議に思うことも多くあります。

今日は野球選手が練習でよりうまくなるためにおさえておきたいポイントをまとめていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

効率的に身体を使った野球選手の打ち方について

サッカー選手へ伝えたいシュートを放つ時のボールの蹴り方について

野球選手の投げ方|Izuru Styleが指導時にみている15のポイント

 

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野球部だった高校時代に行った練習メニュー

僕が高校生のときのメニューは日によって変わりましたが、このような流れでした。

  • ランニング5周
  • 静的ストレッチング
  • 体操
  • ペアストレッチング
  • ダッシュ6本
  • 肩周りの体操
  • キャッチボール
  • バッティング&ティーバッティング
  • ケースバッティング
  • ノック
  • 課題練習
  • ウエイトトレーニング
  • ダウン

基本的にはこのような流れがあり、日没の関係などでメニューは変わりましたが高校には野球部専用グランドがあったため、遅くまで練習をすることもありました。

今考えるとそれぞれのメニューの意図を理解していませんでしたし、とりあえずやっておくという感覚でやっていました。僕は高校1年生の冬に腰痛で半年間ぐらい野球ができない時期があり、そこからは自分の身体をケアする意識は強くなり、同級生に比べると身体のことはよく考えていたと思います。

バッティングやノックについてはうまくなるために数をこなすという感じで具体的にこれはこう、ここはこういう意識で、と深く考えずに試行錯誤はしながらも時間が過ぎていました。

今日は、野球に携わる方にお伝えしていきたい内容になります。当たり前のようにやっていたことを少し、考えながら読み進めていただければと思います。

 

一致しない練習メニューと実践

なぜ練習をするのかと言えば、当然うまくなるためであり、試合に勝つためです。

試合に勝つためにはただうまいだけでは勝てない時もありますが、うまくなれば試合に勝てる確率は高くなります。では、どうすればうまくなるのでしょうか。

それはうまくなるための練習をすることです。というのは、目的に合った方法を選択することが重要になります。

ひとつの例としてこちらを考えていきたいと思います。何気なく僕も行っていたのですが、ティーバッティングはネットの端からボールをトスで投げそれを打つという練習です。

これを行っているとき、トスを上げる側のボールはどのようなボールを投げるでしょうか。おそらくほとんどが下から投げ、バッターは下から上がってくるボールを打っていると思います。

考えてみると野球では投手が投げるボールが下からホップするように上がるボールはありません。重力の関係で上から下にいくボールがほとんどであり、それが基本になります。

アンダースローを想定すればそういう下から上にくるボールを打つことも考えられなくはないと思いますが、基本的には上から下にきます。ということは、上から落ちてくるボールを打つ練習をする必要があることになります。

ティーバッティングはトスされたボールが上がってくるときに打つのではなく、上がりきってボールが落ちてきたタイミングで打つことが実践の形と一致することになります。このようにさまざまなメニューをこなす中で実践と練習する内容を一致させることが重要であり、ここでも目的と方法を一致させることが重要になります。

 

特異性を理解することから始まる

目的と方法を一致させると言っても具体的なイメージが湧きづらいと思いますので、もう少し説明をしていきたいと思います。

これを理解するために“特異性”という言葉を理解することが必要になります。特異性とはどのような意味があるのでしょうか。

■特異性とは?

上半身のトレーニングをするとその効果は下半身に出ることはなく、トレーニングした箇所、内容、形式などの条件によってその行ったトレーニング内容の効果しか得られないということ。

野球で言うと、バッティング練習をしても投げるということはうまくならないし、いくら走り込んだからといってピッチング内容が変わるのかと言われればそうではないということです。

投げるスタミナをつけるためには投げること。スイングスピードを速くするためにはバットを振ることです。

少し話が変わりますが、よくプロ野球選手が行っている練習がニュースなどで放映されますが、それをそのままするからといってプロレベルになるのかといえばそうではありません。

それぞれがうまくなるためには、今の自分に合ったレベルの練習やトレーニングをする必要があり、それを超えて無理にこなそうとするとケガや障害につながる恐れもあります。

うまくなるためには、今の自分に何が必要なのか、どんな練習をすればうまくなるのか、それを見極めることから始まります。そして今の自分の目の前にある階段をひとつひとつ上がることです。

 

目的が一致しない代表的な練習メニューは素振り

プロ野球選手のインタビューでもたまに聞きますが、なぜプロ入りできたのかという質問に対して・・・

「高校時代に毎日素振りを1000回していたからです。」

と答える選手もいますが、果たして毎日1000回素振りをすることでプロ野球選手になれるのでしょうか。そしてそれが本当に効果的なものかを見ていきたいと思います。

高校生の素振りを見ていると、どこか一生懸命さや硬さを見受けることができます。プロ野球選手は逆にどこか適当さを感じたり、時には全力ではないのではないか?と思わせるような軽く振っているような印象を受けたりします。

スイングで大切なことはいかにスムーズなスイングができるかということで、スムーズにスイングをするためにはリラックスすることが必要になります。そのためには、あまり細かいことをあれやこれやと意識せず楽にスイングすることでスムーズな動きとなります。

プロ野球選手があれだけ軽く振っているのに、ホールランを打てるという印象を受けるのはリラックスしてスムーズなスイングを行っている分、スイングスピードは速く、その分だけボールは飛んで行きます。

一生懸命毎日1000回のスイングをし、それが硬い動きであればそれをインプットし、実践でもこのようなスイングになってしまいます。

この1000回の素振りに何の意味があるのでしょうか。このような素振りでは1000回空振りの練習をしていることになり、このような素振りをしていると本当に空振りをしてしまうようになります。

何をするにしても、そこには目的があり、そして方法があります。なぜそのような練習をするのか、なぜそのトレーニングをするのか、ひとつひとつこの“なぜ”を理解することでその行っていることの効果もより出てくるでしょう。

しっかりと練習の意図を理解すること、指導者であれば選手に理解させることが重要になります。

 

改めて考えたい練習目的とメニューについて

ではここからは具体的にどのような目的を持ち、練習をメニューを行えばいいのかをお伝えしていきたいと思います。

素振り

素振りはどのような目的を持ち行えばいいのでしょうか。素振りの目的は基本的にはスムーズにバットを振れることを身体に教育していきます。

人間の身体がスムーズに動くためには、自然な身体の使い方を理解することが必要です。スムーズな動作は自ら作るというイメージではなく、リラックスしてスイングすると自然とそのような形になるという動作です。

例えば、構えのときに脇を開いていればスイング時には脇は自然と閉じてきます。逆に構えのときに脇を閉じる意識を持ちすぎるとスイング時に脇は開いてしまいます。

このように人間は自然な動きというものがあります。

素振りの目的は、大きく分けて3つあります。バットの重さを変え目的別に見ていきたいと思います。

  • 軽めのバット・・・スイングスピードの向上
  • 通常のバット・・・スムーズな動作、リラックスした動きの獲得
  • 重めのバット・・・スイング動作の確認

それぞれ目的を分けて使っていきます。

軽めのバット

軽めのバットは、通常のバットよりも軽めですのでスイング動作が速くなります。このようにいつもよりも速くオーバースピードを経験することで、その情報をインプットし身体もより速く動くようになり結果的にスイングスピードの向上につながります。

このような目的を持っている場合、ある程度加減した状態でスイングしてしまうと最大スピードを経験することができませんので、MAXでスイングする必要があります。

ただ、ここで言うMAXというのはスイングスピードのことであり、力むこととは違います。力を入れている、速く振ろうとすることは動作を硬くし、結果的にスイングスピードを遅くしてしまいますので、基本的にはリラックスすることが重要になります。

通常のバット

通常のバットでは、リラックスしてスイングすることを行います。そのためにはどうすればリラックスしてスイングすることができるのか、またスムーズな動きができるのかを理解する必要があります。

より楽にスイングするために、構えのトップの位置を少し上げることで重力加速度を活用することができ、そこから低めをスイングするように素振りを行うとよりバットは軽く感じ、リラックスはしているがヘッドが走るような感覚を得ることができます。

スイング動作ではいかに楽に、気持ちよくスイングできるかがテーマとなります。

高校時代なども行っていましたが、9コースを分けてそのコースをイメージしてスイングすることをしていましたが、素振りの中で取り入れてもいいと思いますが、実際にボールを打つと自然にバットは出てきますので、まずはリラックスして気持ちよくスイングできるように重ねていきます。

スイングについてはこちらの記事を参考にしていただければと思います。

効率的に身体を使った野球選手の打ち方について

重めのバット

重めのバットについては、よくマスコットバットが使われますがこのような重さのバットを全力でスイングしようとするとどうしても全体のバランスを崩す可能性があります。

もしバランスを崩した状態でスイングしてしまうと、通常のバットに持ち替えてスイングしてもバラバラになってしまうので、重めのバットでスイングするときは、全力で振らないようにします。

この場合、全体のスイングのバランスをチェックしたり、スイングの確認を行うようにある程度軽く振っていきます。要は、フォームチェックをするようにスイングを行っていきます。

このように、バットを変えることで目的も変わり、実際に素振りの仕方も変わってきます。ただバットを振っているだけだと空振りの練習をしていることになりますが、このような目的を持つことで方法にあった成果を感じることができると思います。

目的をもって素振りを行っていきたいですね。

ティーバッティング

続いてはティーバッティングの目的について触れていきたいと思います。

ティーバッティングについては、芯でとらえる練習であったり、タイミングの練習であったりと言われますが、それらの目的もあると思います。

別の目的としては、自分の打つポイントを知るということがあります。これは、選手とのやりとりの中でも感じていますが、客観的に見ている立場から「このポイントで打て」と指導しても、本人はそれを感覚的に理解する必要があります。

打っている選手は感覚的に打つことになります。それをティーバッティングで、自分がどのポイントで打てば一番ボールに力が伝わるのか、一番力が入るのかを理解させるために行います。

インパクトの時に一番力が入る位置というのは、両肘が完全に伸びきる少し前で、軽く肘が曲がっているぐらいのところが一番力が入ります。ただこれもそれぞれで微妙に違いますので、それをティーバッティングで感覚的に覚え込ませていきます。

ここからもわかるようになんとなく打ってしまうと目的であるこの感覚の部分は感じることができず、ただ打っているということになります。何度もお伝えしていますが、大切なことは目的を理解し、練習に入っていくことです。

ランニングと投げ込み

今でもよく言われることですが、ピッチャーは走り込まないといい投球はできないなどと言われることがあります。

これは本当でしょうか。

ランニングをすればどうようなことがピッチングに活きてくるのでしょうか。走ることでコントロールが良くなるでしょうか。

よく野球選手に質問されることですが、投げるスタミナをつけるためには走ればいいですか?と聞かれますが、投げるスタミナは投げることでしかつきません。走るスタミナは走ることです。

投げるスタミナをつけたいのであれば投げ込むことでつきますし、走ることとは別です。上記でお伝えした特異性を思い出してみてください。特に学生さんはまだまだ走ることが何の目的で行われているのかが理解できていない方も多いですので、ぜひ覚えておいてほしいことです。

練習とトレーニング

では最後に、練習とトレーニングの違いについてお伝えしていきたいと思います。

そもそも練習とトレーニングは何が違うのでしょうか?これは以前コンディショニングのところでも少し触れていますが、技術やスキルを向上させる場合、うまくなるためには練習が必要です。

ただ練習だけをしていればうまくなるのかと言えば、いずれ限界を迎えます。それはうまくなる過程で基礎体力が基盤にあり、この基盤を大きくしていかないと上に積みあがる技術や戦術は大きく広がっていきません。

それを現しているのがこの図です。

ピラミッド

この基礎体力と言われる要素を身体的コンディショニングと言い、バイオモーターアビリティのことを指します。

バイオモーターアビリティ

このバイオモーターアビリティと言われるものが基盤になり、これらの体力要素を向上させることで土台がしっかりとでき、その上で練習を行うことでさらにスキルのレベルアップが見込めます。

練習とトレーニングは平行して行う必要があるのはこのためです。ですが、現在の日本は練習に多くの時間を割きすぎてしまうため、技術もある程度のところで止まってしまいます。

練習とトレーニングの関係を理解し、実践に活かすことは指導者として押さえておきたい知識となります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日は野球選手が練習でよりうまくなるためのポイントをまとめていきました。

今日はそこまで深い内容に入っているわけではありませんが、何気なくやっていることも少し考えるとなぜやっているのかと疑問を持つきっかけになっていただけると嬉しく思います。

その気づきが大切なことであり、何気なくやっていることが後に成果が出てもそれはたまたまでしかなく、練習やトレーニングの意味はやった分だけうまくなる、成果を感じれることでやる気も増していき、それが継続ことでよりうまくなることにつながると思います。

無駄のない野球生活を送るためにも少し立ち止まって練習やトレーニングについて考える時間になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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伊藤 出パーソナルトレーナー/代表 投稿者プロフィール

Izuru Style代表/パーソナルトレーナー伊藤 出。
STORY・VERY読者モデル、アナウンサー、宝塚歌劇団員の元専属トレーナー。神戸女子大学ラクロス部、三菱重工業神戸在籍野球選手の専属トレーナー。
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