脳と思考力|ニュースレターNO.047

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コーディネーション
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最近はコーディネーショントレーニングが注目されてきたようです。その本質は自分のからだを自由に操れるようになるということのように思いますが、それは動作が上手くできるということだけではなく、大きな力やパワーを発揮するということにもつながっているのではないでしょうか。

スポーツパフォーマンスを高める要因は、筋力の獲得にあるという考え方が主流であったのが、その力を上手く活用できる能力をどのように向上させればよいのかという方向に向いてきたように思います。

現状の力を100%発揮するために、精神的な問題も関係することから、同時にメンタルトレーニングやビジョントレーニングなども出てきました。このような様々なトレーニングを見ていくと、行き着くところは脳のような気がします。今回は脳の話を取り上げてみたいと思います。まず「TARZAN」に掲載されたものから、脳細胞の活性についてピックアップしました。

『細胞にはいろんなタイプがあり、神経細胞はカタチも機能も飛び抜けてユニーク。ある種のシグナルを受け取り、それに変更や処理を加えて、他の神経細胞に伝える。この目的のためにパーツごとに専門化して、特殊なつくりに進化している。

細胞はだいたい丸いが、神経細胞は違う。核を含む細胞体から、アンテナのように突起が四方八方へ延びた構造。これが樹状突起。多くの神経細胞と連絡できるように、複雑に枝分かれしている。樹状突起は、シグナルを受け取る入力である。

さらに細胞体からは、長い突起が1本延びている。これが軸索。最長1mもあり、樹状突起と同じように末端は枝分かれし、他の神経細胞の樹状突起や細胞体へ延びている。軸索はシグナルの出力である。軸索から出たシグナルは、別の神経細胞の樹状突起や細胞体でキャッチされる。

このようにシグナルをやり取りする場所をシナプスと呼ぶ。1個の神経細胞は多くて約10万個のシナプスを持っている。シグナルは電位の変化として神経細胞へ伝わる。これが活動電位である。

通常は、神経細胞の内側にカリウムイオン、外側にナトリウムイオンが多く、内側は外側よりも電位が低い。そこにシナプスを介して、多くの軸索から電位を変化させるような信号が流れ込む。そこには電位をプラスにする興奮性のものもあれば、電位をマイナスにする抑制性のものもある。

神経細胞は、すべてを足し合わせてプラスマイナスを相殺し、プラスがある電位レベルを超えると、軸索の付け根にある軸索小丘という場所で大きな活動電位を発生させる。神経細胞の外にあったプラスのナトリウムイオンを細胞内に流入させて、細胞内の電位を一挙にプラスに上げる。

これと同時に、神経細胞の内部にあったプラスのカリウムイオンが外に出て、再び細胞の電位は下がって元に戻る。

こうしてほんの一瞬で生まれた活動電位が、軸索を伝わってまた次々と別の神経細胞に伝えられる。神経細胞の活動はすべて電気的ではない。シナプスにはわずかにスキマがあり、活動電位は通れない。代わりに情報伝達に使われるのが、軸索のシナプス小胞に入っている神経伝達物質である。

活動電位が軸索の先まで来るとシナプス小胞は軸索の最先端まで移動して、神経伝達物質を外に放出する。こうして出た神経伝達物質は、シナプスに面した相手の神経細胞の膜(シナプス後膜)にキャッチされる。これが引き金となり、シナプス後膜にイオンの通り道ができ、そこをナトリウムイオンやカリウムイオンが出入りすることで、信号は再び電気信号に戻る。

このようなシナプスにスキマを作り、電気信号を化学的な信号に翻訳して伝える仕組みが、神経細胞の本当の素晴らしさである。ずっと電気信号のままだと伝達速度は速いが、情報は右から左へそのまま流れる。それと比べて、化学的信号に一度変えるとそれだけ伝達速度は遅くなるが、微妙な情報処理ができる。

神経伝達物質の種類、量、電気信号に変わるまでの過程の違いなどによって、情報の伝え方や処理のバリエーションが豊富になる。記憶や学習といった人間の脳が行う活動には、もちろんこの方が向いている。よく脳はコンピューターに比較されるが、すべてを電気的に処理するコンピューターとは基本原理が全く違う。』

何事をするにも脳の働きは必要不可欠であり、どれだけ脳細胞が活性化するかが重要になります。たとえば、何かを創造するということは、それまでの人生で培った経験や知識に新たに得た情報を加えシャッフルし、それを再統合する作業であると言えます。

全くのゼロから物を生み出すのはまさしく天才と言うべきでしょうし、一般的にはバラバラの要素を組み合わせるという創造力・発想力を育てなければいけないと言うことでしょう。新しいアイディアを考え出そうとするとき、これまでの経験・体験や知識と言った記憶情報が総動員される。

その記憶は、全て外界からの刺激によって獲得されたもので、記憶の回路が出来上がるには、刺激に対する無条件反射から始まり、それが繰り返されて条件反射となり、記憶が存在することになります。

その発想力は、コーディネーション能力に置き換えることができるのではないでしょうか。機敏なコーディネートされた動きこそ動作の発想力になると思います。その発想力を養うために必要なのは、記憶の入り口である無条件反射の回路のようです。記憶装置に情報を送るこの回路を開通させておかなければ外部の情報は頭に入らず、それだけ情報が乏しくなるからだそうです。

快いもの、興味のあるものに向かうとき、無条件反射の回路はより多くの情報を脳に送り、結果的にイマジネーションが高まりアイディアが生まれやすくなるそうです。このことがスポーツの指導にも当てはまります。

興味を持たせ、やれるんだと言う動機付けの重要性がここで証明されるわけです。目標に取り組もうというとき、楽しい経験や未来をイメージすることで、無条件反射の回路はどんどん外部情報を取り入れるので、それが練習やトレーニングのヒントやアイディアにつながるのです。プラスイメージを抱くことが重要ということになります。

要は、どれだけ多くの情報をアタマに入れるか、スポーツではどれだけ多くの動きを体験させるかということにかかっているといえます。その経験が多ければ、それだけ組み合わせのバラエティが豊冨になり、いろんな動きが上手くできることになるということです。

いろんな動きを組み合わせる技術は、練習あるのみです。たとえば、練習パターンを変えてみることは、情報のアウトプットの能力を磨くことにつながり、同時に、固まった思考回路や動きをいったん崩し、新たな回路・動きを組み立てることで、脳に刺激を送り発想力を養う、すなわち臨機応変な動きを獲得することにもなるということです。

凝り固まった思考回路では、新たな発想は望めないのと同様に、指導者はアイディアを豊富にし、頭をやわらかくほぐして、選手に動きを教えることが大切であると言うことです。

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