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ドクターのメールから|ニュースレターNO.050

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ドクター
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今回のニュースレターがちょうど50回目になるようです。さて、サッカーのワールドカップも終わり、一息ついた感じがします。ニュースレターも2回続けてサッカーのことを書いたので、今回は何を書こうかと考えていたところ、整形外科のドクターからいただいたメールを思い出しました。

ドクターは、全日本男子バレーボールのチームドクターをなさっており、ニュースレターにも1度書いていただきました(2001.06.14. VOL.24)。

先生がバレーボール学会で「スパイクと肩の障害」について発表される際に、私の「ベースボールトレーニング」の中のイラストを発表スライドに使いたいというお願いのメールでした。

先生も学生時代バレーボールをされていたということもあり、ご自分でも“狂”がつくほどバレーボールが好きな方です。また、日本のバレーボールが強くなってほしいと願っておられる方です。バレーボールの話になると、いつまでも熱心に語っていただけます。そんな先生からのメールをぜひご紹介したいと思います。

『肩の問題を考えるべく、もう一度、サル類の進化について調べています。

面白かったのはヒトが「樹上生活の落ちこぼれ」であるという説です。ヒトとテナガザルは同じ「ヒト上科」に属し、非常に近い霊長類のようです。

 つまり共通の先祖を持って、その後に分化したのがテナガザルとヒトです。

この時、熱帯雨林(アマゾンやアフリカのジャングルです)の樹上生活をしていたのですが、ここでは樹の上がなんといっても快適(日光が射す、風通しが良い、木の実や果物の食べ物が豊富)で安全(天敵が少ない)ですが、樹の下では非常に暮らしにくい(天敵が多い、湿気が多いが日光が射さない、植物もシダ類程度で食べ物が少ない)ためにわれわれの遠い先祖のサルは迷わず、樹上生活を選択したようです。

ここで、テナガザルに進化したサルのグループは木登りや腕渡り(ブラキエーション)に秀でていて、ヒトの先祖のグループは木登りが苦手でテナガザルの先祖との生存競争に破れて止む得ず、危険の多い地上に降りて来たというストーリーです。

樹上生活の「勝ち組」は間違いなくテナガザルのグループですし、「負け組」の落ちこぼれがヒトのグループです。その後の進化は二足歩行、手や脳の進化を含めて、ヒトがめざましい物がありますが、これは気候が悪く、食べ物もなく、危険も多い地上生活をするための必要に迫られて二足歩行、手や脳の進化をしなければ生き残れなかったとも考えられます。

きっとこれらの進化がなかった地上組のサルの多くのグループは絶滅したと思いますから、地上組でかろうじて生き残ったほんの一握りがヒトの先祖ではないかと考えられています。

「ヒト=落ちこぼれ」説はある意味すごく魅力があります。テナガザルのように天分に恵まれない存在はこつこつと努力(手を進化させたように)をしなさいという教訓もありますし、「人類みな落ちこぼれ」と思えば、スポーツが、最初から上手に出来ないのは当たり前とも言えますから、運動が出来ない子供たちに「がんばれ」なんていう時の励みにもなります。

才能に恵まれない物は努力しかないですよネ(…半分以上自分に言い聞かせています) 学会発表の写真撮影のために横浜の動物園(ズーラシア)に開門から行き(→非常に混む動物園です)ヤハリ樹上生活の達人のコモンウーリーモンキー(クモザルの一種)というサル舎の前に2時間ぐらいカメラを構えていました。

彼らは本当にじっとしていることが少なく、木の葉を食べていたかと思うとスルスルと木を登り、片手でターザンのように体をぶん投げて樹渡りをしたりしていました。とにかく動きが早くなかなか決定的瞬間を撮らせてくれません。他のお客さんは長くても30秒ぐらいで去って行きましたが、私はずるずると居続けました。その時に気づいたのが、時々、彼らがひたすら金網を登っていく行動でした。

別に檻のてっぺんまで登っていても餌の木の葉がある訳でなく、登ったらまた降りて来るを繰り返していました。「ヤッパリ、サルは所詮、サルだな」なんて優越感に浸って帰りましたが、家に帰り撮って来たビデオを見直して彼らが非常に真面目に一手、一手金網を登っていく映像を見てハッと思ったのは「彼らは金網を登りながら、肩のトレーニングをしているのではないか?」ということでした。

コモンウーリーモンキーは他のサルと違って毛並みが短く、外見から筋肉が非常によく分かりますが、ほっそりとしたお腹回りに比べて、上半身は筋肉が隆々で人間の体操選手以上です。肩甲骨周囲は小山のように盛り上がっています。

実に鍛えられた筋肉です。ここで思い出したのが魚住先生がおっしゃっていた縄登りを使ったトレーニング法でした。樹上生活を送るサルにとっては肩周囲の筋肉が文字通り命綱で、これが弱くなれば移動も食事も出来ませんし、また肩を壊せばおそらく命取りになると思います。

暇を見つけては傍目から見ると、無意味に見えるような金網を登ったり降りたりの行動をするのは実は筋肉のトレーニングをしているのではないかということです。

このトレーニングにより筋肉を強化、維持をして腕渡りに備え、ケガの予防をしているのではないかと思ったのです。彼らも天分だけでなく、常に努力を怠っていないのだと。

…ということで、今度の学会ではサルの写真やビデオを提示して、更に魚住先生の本のイラストを使って「筋肉薄き」バレーボール選手に向かって「スパイクを打つ肩が大事と思うなら、サルを見習って、筋トレすべし」と話そうかと思っております。(心の中で馬鹿にしたサルへの罪滅ぼしもありますが…)腱板を含めて最良のトレーニングはオーバーヘッド、つまり実際のスパイク動作のポジションにして筋肉を使うことだと思います。

一般に勧められるチューブトレーニング等は肩を下げて行いますから、本当に必要な部分が鍛えられるかは疑問です。

縄登り、ウンテイ、肋木などがヤハリ、最良のトレーニングのように思います。こういう使い方がゼロポジションの本当の意味かな?と思いはじめております。

その他、サルの進化の話を考えていくと肘や手の構造や機能も見えて来そうですが、この辺はまだまだ勉強中です。ウーリーモンキーのように金網を腕で一手、一手登る気持ちで頑張りたいと思います。』

以上のような内容のメールをいただき、観察することの大切さを改めて認識させられました。それで、私は、次のような返事を差し上げました。

『イラストはもちろんお使いください。お役に立てば幸いです。もし他にトレーニングの紹介をするなら、1つあります。それは、テレビのCMにでてくるものです。何の宣伝か定かではありませんが、栄養剤でしたかね。

二人の俳優が、並んで、大きな重りを引き合っているものです。一人は、空中に浮き、一人は地上で頑張っていると言うものです。これがロープのぼりや木登りに続くトレーニングになると思います。

頭上から、体の中心に力をこめて引きおろすのです。当然脚で踏ん張ることは難しくなります。単純ですが、非常に面白いと思いました。参考になればよろしいが。

それと、サルのトレーニングの話し、同感です。日々トレーニングを行っている、それは正しく生きていくための生活につながるからでしょう。上半身の発達具合も、バレーボール選手に求められる、特に日本選手にはそう思います。

後は、やはり総合的な体力でしょう。ウエイトトレーニングではなく、いろんな要素を取り入れた、段階的なサーキットトレーニングが理想のように思います。』

こんなやり取りの中から、また新しいトレーニングの考え方を思いつかれる方が何人おられるでしょうか。

最後に、ドクターが作成されているホームページを紹介しておきます。非常に興味深いものです。ぜひご覧になってください。

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