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『スポーツ競技学』の書評|ニュースレターNO.082

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トレーニングジャーナル12月号の「話題の新刊」コーナーに『スポーツ競技学』の書評が掲載されました。その内容は以下のようなものです。

『L.P.マトヴェーエフ本書の冒頭「訳者のことば」のところで、「スポーツトレーニングにかかわる者で、『マトヴェーエフ』という名前を知らない人がいるだろうか。

もし知らないというなら、それは非常に恥ずかしいことであり、スポーツトレーニング理論を知らないといわれても仕方がない」と書かれているのをみて、私は非常に恥ずかしい思いを抱えながら本書をゆっくりと読み始めた。

本書の原著者であるマトヴェーエフ・レフ・パヴロヴィッチ博士は教育学博士および名誉博士の学位を有し、現在ロシア国立体育アカデミーの教授ならびに功労教授である。過去においては国立中央体育大学の学長も勤めた経歴を持ち、ロシア、ベラルーシ、ドイツ等において名誉称号を授与されている。博士目身、学生の頃は器械体操を専門とし、日本で言うところの「特待生」コースに所属していたと言う。

博士が指導者として活動を始めたのは16・17歳からだそうで、その後ソ連の複数の選抜チームをオリンピック、その他の国際競技大会に向けて指導するようになった。

そして、体操、陸上、水泳、重量挙げのソ連ナショナルチームや東独、ブルガリヤ、キューバ、中国などの選抜チームのコンサルタントも勤めている。

博士が著した中で、「スポーツトレーニングの基礎」(日本では「ソビエトスポーツ・トレーニングの原理」として翻訳出版されているそうである)は、日本のみならず世界中の多くの国で高い評価を得たそうで、今回の著書は博士の長年の経験から得たトレーニング理論の集大成的位置づけになっているようである。

若い指導者に読ませたい。さて肝心の内容であるが、正直言って十分本書の内容を理解するにはスポーツ指導に対してかなり高い意欲を持ち、かつ専門的知識を有していることが必須条件となるだろう。

例えば、「スポーツ現象とは何か」という章では「スポーツ」という力テゴリーの範囲やそれに関連する概念規定を試みているし、現象的側面だけに議論が終始しているかと言えば「競技会と競技会システムの理論」といったより現実的な理論構築にも言及している。

さらに、具体的な「トレーニング法の組み立て方」のような実際場面に応用可能な著述も見られる。この辺の著述は、むしろ本書前半部分の現象学的議論や理論構築よりも博士にとっては若き日の指導経験を生かした”得意分野”なのではないだろうか。

本書の原文タイトルは「スポーツ原論とその応用」だそうだが、後半を読み進めていくうちにこのタイトルに納得ができる。ただ、日本においては訳者と監修者が相談の上「スホーツ競技学」に変更したそうである。

今後わが国で、”スポーツ競技学”という総合的力テゴリーを網羅する学問領野が構築されるきっかけとなるであろうか。

「訳者のことば」を再び引用したい。「”木を見て森を見ず”、このような指奪者をなくしてスポーツトレーニングを総合・統合科学として認識できる指導者を育てなければならない。

その意味で、わが国において一人でも多く本書の内容とその価値が理解できる指専者が増えることを願う次第である。」私も同感である。やや枝葉末節的議論が先行気味の最近のわが国スポーツ界において、改めて統合的にスポーツ全体を鳥瞰する意味は大きい。この訳者の願いが本物になるために、私は本書を熱意ある若き指導者達に是非読ませたいと思っている。』

この書評を書いていただいたのは大学の先生ですが、非常に素直な感想であると思います。

特に最後に書かれているように、最近のスポーツ界は「やや枝葉末節的議論が先行気味」であるということについては、私も同感です。それが何をさしているかは皆さんも創造がつくと思います。

どうしても何かにこだわり、「絶対これだ!」という考え方をする人が多いように思います。全てのことが何かひとつの考え方にまとめられることはありえないはずなのですが、なぜそのような方向に行くのか私には理解できません。

もっと視野を広くし、まさしく『ケースbyケース』の考え方ができないものでしょうか。

何度も繰り返しになりますが、これだけやればというものはないのです。ある人に適合してもある人には適合しないことは山ほどあります。それをどう認識するかということではないでしょうか。

ただ絶対なことは、どうなりたいのかという目標・目的だけではないでしょうか。学問の学び方も人それぞれです。トレーニングを知ろうとして何からはじめたらよいか、ほとんどの人は迷うはずです。

私のところにも「何から勉強したらよろしいですか」とよく聞かれます。しかし、私には「何から勉強しなさい」と答えることはできません。やるなら、まず興味があることからはじめたらどうでしょうか、というアドバイスを送ります。

その中から疑問が生まれ、そのことで枝葉に分かれた知識を吸収していくことが何よりも自分の本当の知識として、またつながりのある関連知識として吸収することができると思います。

トレーニングプログラムを考えることも同じです。ほとんどの人は、バーベルを使ったウエイトトレーニングやクィックリフトから入るでしょう。それはけっして間違いではありませんが、選手のレベル、トレーニング環境などを考えた場合に、それが果たして正解かどうかはわかりません。

測定に関しても同様です。単純な体力測定は他人と比較するには役立つかもしれませんが、その競技のパフォーマンスを高めることが予測できるコントロールテストが必要になるのではないでしょうか。それはどのような内容であるかということは、指導者が考えることであり、他からそっくりそのまま持ってくるものではありません。

こんな応用のできる考え方を身に付けるためにも、『スポーツ競技学』の本を、理解できるまで読んでいただきたいと思います。

最後に、マトヴェーエフ氏の大阪体育大学での講演会の後のディスカッションの内容をホームページに掲載しております。非常に大事なことが話されていますので、ぜひお読みください。

このあと、大阪体育大学での講演の内容と日本体育学会での講演内容も準備が出来次第掲載いたしますので、楽しみにお待ちください。また、『スポーツ競技学』を読まれた感想をぜひお送りください。捉え方は人それぞれですので、よろしくおねがいします。

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