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痛みと免疫|ニュースレターNO.107

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ここ数回にわたって免疫やイオン棒の話をしてきました。何冊も免疫の本を読んでいくと病気や体調不良の本質が見えるとともに、アスリートの体調管理への示唆も見えてきました。自分なりに整理してみますと、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスにあるということです。

そのバランスの崩れによって体調を崩すことになり、病気や体調が回復しないこともそのバランスが戻らないことにあるということです。特に問題なのは、自立神経が過剰に働きすぎるということです。その原因はストレスにあるということです。仕事のしすぎ、悩み、運動のしすぎなどが身体的・精神的ストレスになっているということです。

交感神経と副交感神経がどのように免疫に影響するのかというと、白血球に影響するということです。白血球は、主に顆粒球とリンパ球、そしてマクロファージで構成されており、それぞれ60%、35%、5%の構成比になっており、これが一番バランスのよい構成比であるようです。

それで、交感神経が優位に働く、すなわちストレスが多いと顆粒球が増え、リンパ球が減尐します。逆に副交感神経が優位に働く、すなわちストレスがないとリンパ球が増えて、顆粒球が減尐します。残りのマクロファージはどちらにもあまり影響しないようです。

一番起こりやすい問題は、交感神経が優位になって顆粒球が増えることです。なぜ顆粒球が増えるといけないのか? 顆粒球は白血球であり、異物を退治する役目を負っています。リンパ球もマクロファージも同様で、すべて異物を退治し、生体を防御しているのです。

顆粒球の寿命は1~2日で、骨髄でつくられ血液の中に入って流れ、最後に粘膜で一生を終えるそうです。顆粒球は異物を直接飲み込んでやっつけるのですが、そのあと死んでしまいます。顆粒球の死骸が膿だそうです。同時に活性酸素を放出するそうです。

その放出された活性酸素の影響もあって生体の粘膜や組織を破壊するそうです。顆粒球が増えるということは、同時に活性酸素を増やすということになるのです。

このような状態にあるときどうすればよいのでしょうか。それは副交感神経を働かせることです。すなわち、休むことであったり、リラクゼーションすることです。ここに休養の重要性があるわけです。副交感神経を働かせる手段を知ることによって、ストレスから、疲労から回復させることができるということです。リンパドレナージュが効果的であるというのは、ここにあったのです。

リンパの流れを刺激することによってリンパが活性化するのです。それによってリラックスでき、副交感神経を刺激し、疲労回復も促進されるということです。このように考えていくと、ハードな練習でも楽しくできれば、精神的ストレスもストレスとならず交感神経も過度に刺激されることはないということです。

イチローが何時間もバットを振りつづけても疲労困憊に落ち込まないのもそういうところにあるのでしょう。指導者として、いかに練習を楽しいものにするか、動機づけの重要性を再認識させられます。

最後に、安保徹「体温免疫力」ナツメ社2004の中から、痛みと免疫力の関係について書かれたところがあります。非常に参考になると思いますので紹介したいと思います。

『若い人でも年を取った人でも、多くの人が腰痛、ひざ関節痛、肩こりに悩んでいます。病院に行くとX線写真やMRIなどの検査を行い、いろいろな診断をつけますが、治療をはじめると治らないし、むしろ悪化することが尐なくありません。これには理由があります。

上記のような炎症は、顆粒球を主体とした炎症です。細菌感染がなく無菌的(aseptic)な顆粒球の炎症は、化膿性の炎症というよりも組織破壊の炎症となります。また、炎症が弱い場合でも、痛みは血流が回復するときに起こる生体反応です。

そして、この治療に痛み止め(NSAIDs)やステロイドホルモンを使った場合、これらの薬剤は顆粒球を活性化するために、むしろ腰やひざの関節炎症は増強します。痛み止めやステロイドホルモンは、リンパ球の炎症に対しては一時期の抗炎症剤として働きますが、顆粒球の炎症に対しては増悪剤として働くからです。

顆粒球の炎症を押さえるには、血流を増やす必要があります。この意味でも、痛み止めやステロイドホルモンは、血流を低下させる働きがあるので逆効果です。これは、痛み止めの入った湿布薬を腰やひざに貼ると、足が冷たくなってくることでもわかります。また、ステロイドを使用すると冷えの症状が出ることでもわかります。

間違った治療をやめ、あとで述べる正しい治療を行うと、骨や椎問板に変形などの異常があった場合でも、3~4週間で完治します。また、慢性化したリウマチ患者でも、同じ期間で炎症が治まってしまいます。』

『関節、骨、筋肉は、中胚葉系の組織として原始マクロファージから進化しています。もう尐し具体的にいうと、マクロファージの運動性を進化させたものが筋肉で、老廃物を一時ため置いたものが骨なのです。骨と骨をつなぐ関節もマクロファージ由来です。マクロファージは血球細胞群と血管内皮細胞も生み出しているので、これらが一体となって運動器官が進化したわけです。

このため、これら運動器官の神経支配や血流系の支配はオーバーラップしていて、筋肉が疲労して血流が障害されたときは、筋肉のみならずその領域の骨と関節も血流障害に陥り障害を受けます。血流障害はその領域を交感神経緊張状態にし、必ず顆粒球増多をも招きます。これが、ついには関節や骨に異常が起こってくるメカニズムです。

さらに大切なこととして「これらの運動器官の組織障害を治癒させようとする生体反応が痛みをつくる」ということを知る必要があります。このような痛みは、プロスタグランジンやアセチルコリンによって生じます。したがって、この痛み自体を治療の対象とすることは完全に間違っています。

その前の筋疲労が起こった理由や関節や骨が障害された原因を治療対象としなければならないのです。このような考えの欠如が、これまで腰痛を簡単に治せなかった理由なのです。』

『骨の中になぜ骨髄があり、造血が行われているのでしょうか。この疑問に正しい答えを与えることができるようになりました。どのようにして、1)筋肉、骨、軟骨、関節を含む運動器系と、2)血球系が進化したかを知ることで、この答えを得ることができます。

下等な多細胞生物は中胚葉生物といわれますが、外皮と腸のみからなっているわけではありません。この両者がつくる内腔には、原始マクロファージが多数存在します。外皮と腸はそれぞれ機能分化をとげているので、単細胞生物時代のままの機能を保持しているのが、この原始マクロファージということができます。

原始マクロファージはその運動に使用する原始筋繊維を発達させ、筋肉を生み出したものと思われます。しかし同時に、ここに生体防御をつかさどる白血球(進化マクロファージ)をも生み出したのです。その後、多細胞生物の進化とともに、原始マクロファージは運動器系に関節と骨を加え、血球系に白血球のほか赤血球や血小板を加えていったのでしょう。

このように、運動器系と血球系は同じ母体から進化し、今日の高等生物でもきわめて近縁の細胞として存在しています。したがって、いまでも骨をつくる骨芽細胞(osteocyte)や骨を溶かす破骨細胞(osteoclast)がマクロファージ由来となっている理由でもあります。また、骨の中腔にある骨髄が、同時にすべての血球系の細胞を生み出している理由でもあるのです。

たとえば、リウマチなどで骨の病気がある人は、必ず白血球系の変化、つまり免疫系の低下も生じています。広くいえば、通常の腰痛でも同じことです。実際、腰痛でも程度は軽いものの免疫系の低下が見られます(末梢血のリンパ球の割合が30%を切る)。

これは、これらの疾患が筋疲労ではじまるので、交感神経支配下にある骨を破壊する顆粒球が増加し、そして骨などに異常が生じてくるからです。関節の病気も軟骨の病気も、必ず白血球の分布に偏りが生じています。』

『では次に、腰痛や椎間板障害を引き起こす実際の原因を考えてみましょう。まず、相対的筋力の低下による筋疲労があります。さらに、この筋疲労の原因を多い順にあげてみます。

1) 運動不足によって筋力が低下し、日常生活の動きにも耐えられない状態。肥満の場合もあるし、やせて筋力低下してゆく場合もあります。老化とともに運動不足になっている人も入ります。

2) 激しい運動や同じ姿勢を続けることによって起こる筋疲労。これには運動選手も入るし、仕事がら同じ姿勢を続けている人も入ります。

3) NSAIDsやステロイドホルモンを服用または外用している場合。これは、これらの薬剤を長期間使用した場合、生体を交感神経優位の体調に固定するので、血流が低下して筋肉が衰え、筋疲労が引き起こされるのです。

これら3つの原因で筋疲労が起こると、交感神経緊張状態になり、これにより血流障害と顆粒球増多が生じて運動器官の障害へと進みます。このとき、必ず他の交感神経緊張症状も伴います。たとえば、易疲労、高血圧、糖尿病、便秘、不眠、不安、口が渇く、などです。

そして、治癒反応として血流が回復したときに、関節に痛みが出るのです。この痛みに対して痛み止めを投与すると、病気に対してはむしろ逆効果となります。もし痛み止めの投与をしているならこれをやめ、痛みを起こした原因を取り除くような治療を実行します。つまり、「緩やかな運動をして血流を送り込み、その後は徐々に運動量を増やして筋力をつけてゆく」のです。

従来の治療は、むしろ関節痛を悪化させてゆくものです。新しい治療では、コルセットの着用で血流を止めたり消炎鎮痛剤で血流障害や顆粒球増多を誘導することのないように、まずこれらの使用を停止します。そして、すぐ運動を開始します。軽いものから徐々にはじめて、運動を増やしてゆくのです。

鍼灸、関節運動学的アプローチ(arthrokinematic approach:AKA)、水中運動、漢方薬などを利用して、運動器官の血流改善を行うのもよいでしょう。しかし、痛み止めの使用をやめることのほうが先です。痛み止めを使用していては、どのようなよい試みも無意味となってしまいます。

ここに示した新しい治療を開始すると、約3週間で腰痛や椎間板ヘルニア、そして脊椎骨分離症などが改善します。脊椎すべり症も同様です。いかに骨や関節などが破壊されたり変形していても、血流さえ回復すれば、生体はその時点からちょうどよい形で治癒させてくれるのです。

骨の変形などがX線写真で見つかっても、腰痛の程度と一致しないのはこのためです。変形したまま治癒している場合が多いからです。このような病気の場合、いくら診断が進歩しても治療とはあまり結びつかないことを知っておいてください。』

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