やはり筋力か|ニュースレターNO.119

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前回のニュースレターで紹介した『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』では、「スポーツは、筋力・筋肉が全てではない!」ということをテーマに掲げていました。最近の傾向は「ナンバ」にしろ、「二軸」にしろ、「コオーディネーション」にしろ、身体の使い方が筋力より重要であるという風潮が拡がり、筋力トレーニングの是非を問うきっかけになっています。

私自身は、筋力は必要なものであることは当然だと思っていますが、その前に身体の使い方、力の出し方を習得させなければトレーニングにおいてもパフォーマンスの結果においても発展性がないように思います。先週に発刊されたトレーニングジャーナルのコオーディネーションの特集記事は、非常に興味深いものでした。そのなかでも、筋力は絶対ではなく身体のコントロール能力のほうが大切であると語られています。

しかし、ここでこのような考え方ができるでしょう。同じ身体コントロール能力であれば、筋力レベルの高いものの方がパフォーマンスは高くなる。

また、同じ筋力レベルであれば身体のコントロール能力の高いものの方がパフォーマンスが高くなる。というように、二面性があるのです。そのために、どちらが優位であるという考え方は一概に言えないことになります。

その対象者としてのアスリートをしっかり分析することから始まり、現時点でどちらを優先しなければならないのかという現状分析をたえず行いながら、トレーニング計画の修正をしなければならないということではないでしょうか。スポーツトレーニングの分野において、絶対これだけでよいというものはないということを認識する必要があります。

今回のニュースレターでは、久々に筋力絶対という考えを前面にして書かれた著書(谷本道哉「使える筋肉 使えない筋肉」山海堂2005)を紹介します。全ては筋力であるということをテーマに掲げたものです。どんな考え方も読めば納得する内容ですが、そこをどのように理解して受け止めるか、指導者としての柔軟な思考が望まれます。

それから、トレーニングジャーナルの6月号から「マトヴェーエフ博士は語る」の連載を始めました。2年ほど続ける予定です。これまでマトヴェーエフ氏とのインタビューをテーマごとにまとめて紹介するものです。

では、前述の著書の中から参考になるところをピックアップして紹介します。

『動作を行うにはまず力が必要であり、その力を発揮するのは筋肉であるわけですから、スポーツ動作にはなによりもまずは筋力が必要だということになります。そしてその筋力は主に筋肉の太さに比例します。

しかし、こういう話をすると、「いやスポーツ」で大事なのは力じゃなくてスピードなんだ。だから筋肉や筋力がついてもスピードがつかないからダメなんだ」と反論する人がいます。スピードは大事で力はいらないというわけですが、この論法は物理的に無理があります。動作・スピードを生み出すものは力以外にはありえないからです。

力と加速度の関係はF=Maという式の関係にあります。Fは力、Mは力を受けるものの重さ(走る動作なら体重、バッティングなら腕とバットの重さ)aは加速度です。この式から力の強さと加速度が比例することがわかります。速度は加速度の時間合計なので加速度が大きければ速度も大きくなります。

つまり力が強いほどスピードも出ることになるのです。また、筋肉の生理学的特長として、筋力が強いほど、同一負荷に対して出せる速度が上がります(このことは後ほど詳しく触れます)。力はいらなくてスピードが欲しいという論法は、軽自動車のエンジンで時速200㎞/hの走りを要求しているのと同じです。

速いスピードを実現するには強い力が必要なのです。「スポーツの場合にはそんな式は当てはまらないだろう」と思われるかもしれませんが、そんなことはありえません。

しかし、「スポーツの場合にはそんな式は当てはまらない」ように感じさせる理由はあります。大きく発達した「使えない筋肉」の存在がそれです。筋肉が発達した人に動きの遅い人が多くいるからです。

また、力んでいる、力が入っているといわれる状態では動作のスピードがあまり出ません。力が入っていてスピードが出ないのですから力はスピードにとって不要であるように見えます。

この問題は筋肉や力にあるのではなく、動作が下手で力をうまく発揮できていないことにあるのです。筋肉の能力を生かせていないために「筋肉や筋力がついてもスピードがつかないからダメなんだ」といわれてしまうのです。この台詞は「使えない筋肉」の場合にのみ当てはまります。

強い筋肉が動作の中で上手に力発揮できれば、非常に大きなスピードを出せます。逆に強い筋肉がなければどんなに上手に力発揮できてもあまり大きなスピードは出せません。100m走のトップ選手達のすばらしく発達した筋肉を見れば納得がいくでしょう。』

『・・・筋肉はサルコメアという収縮装置の集まりでできています。そのサルコメアが収縮することでその集合体である筋肉が収縮します。ですから1つのサルコメアの力-速度関係も図と同じ形になるわけです。

図に示すように筋肉の太さはサルコメアの並列要素です。収縮装置が横に並ぶわけですから、収縮する力の強さは太さに比例することになります。図に示すように横に人が並んでバーベルを持ち上げれば、持ち上げる人数(並列要素)に力は比例します。

同じく、筋肉の長さはサルコメアの直列要素になります。収縮装置が縦に並ぶわけですから、収縮する速度は長さに比例します。長いほどたくさん縮むからです。図に示すように縦に人が並んでバーベルを持ち上げれば、並んだ人数(直列要素)に速度は比例します(ここでは並んだ人の体重は考えません)。

つまり筋肉は太いほど力が強く、図のグラフが横軸方向に広がり等尺性最大筋力(Po)が大きくなります。長いほど収縮速度が速くグラフが縦軸方向に広がり無負荷最大短縮速度(Vmax)が大きくなるわけです。そして、力と速度の積であるパワーは太さと長さの積である大きさ、体積に比例します。筋肉自身の能力は筋肉の体積によって決まることになります。』

『スポーツパフォーマンスを上げるためには筋肉の力と速度を上げたいわけです。それぞれが向上すればその積であるパワーも増大します。そのためにはどうすればよいかというと、筋肉を太く、長くすればいいということになります。

筋肉は実際にトレーニングで太くすることができます。そのための専門的トレーニングがウエイトトレーニングです。きちんとしたトレーニングを行えば、筋肉を2倍以上の太さにすることも可能です。それに対して筋肉は、トレーニングで長くすることができません。

筋肉の長さは骨の長さで規定されますから筋肉が長くなっても行き場がありません。ストレッチングなどで筋肉の直列要素であるサルコメアが縦方向に増えて筋肉が若干長くなるという研究報告もありますが、その変化はわずかなものでしかありません。

つまり筋肉自身の能力を上げるには筋肉を太くしてPoを上げるしかないのです。筋肉は長くできないのでVmaxは上げられないからです。』

『筋肉は長くできないからVmaxを上げられないというと、筋肉は速くできないのではないかと思われるかも知れませんが、早合点してはいけません。筋肉が太くなってPoを上げることができれば実動作での収縮速度を上げることができます。運動をするときは必ず何かしらの負荷がかかるからです。Vmaxのように負荷がOになるような状態は実際の運動においては起こり得ません。

Poが上がれば同じ負荷に対する発揮速度が上がります。同じ負荷のものでも力が強くなった分だけ相対的な負荷が下がるからです。たとえばベンチプレスのMAXが50㎏のときは40㎏のバーベルをゆっくりとしか挙げられませんが、MAXを80㎏に伸ばすことができれば40㎏のバーベルを速く挙げることができるようになることからもわかるでしょう。

また、速度というのは加速度の時間合計で生まれます。スポーツ動作で大きな速度を出すには、加速度を与える必要があります。そして加速度はF=ma(力=質量×加速度)の式にしたがう通り、力の強さに比例します。力が強いほど大きく加速できるので、得られる速度も大きくなります。

力を強くできれば負荷に対して発揮できる速度が上がること、また速度を生み出す加速度を大きくできることから、筋肉を長くしてVmaxを上げなくても実動作における速度を上げることができます。筋肉を太くすることで力が強くなれば、速度も上げることができるのです。』

『筋肉の長さ、太さといった形態以外に筋肉の力、速度そしてパワーを変える要素に筋線維組成があります。

速筋線維は遅筋線維よりVmaxが2倍ほど大きくPoも若干強い(ただし持久力は劣る)ので、速筋線維を増やせれば力、速度そしてパワーを上げることができます。しかし、筋線維組成は生まれつきほぼ決まっていて、運動などの環境的要因での変化は極めて少ないことがわかっています。』

『・・・・ゆっくりと動作するウエイトトレーニングの効果で心理的限界を引き上げることができれば、どんな速度の運動でも発揮できる力がアップするかというと、そうはならないからです。トレーニングによる神経系の改善によって力を引き出せるようになるのは、実は行ったトレーニングの速度近辺に限定されます。

ウエイトトレーニングのようなゆっくりとした動作でのトレーニングを行っても、遅い速度域での力発揮能力は上げられますが、速い速度域での力発揮能力を上げることはできません。これは筋収縮の速度によって、筋肉の力発揮に必要な神経要因が異なるためだと考えられます。これをトレーニングの速度特異性といいます。』

『筋肉の収縮速度が遅い動作での目いっぱいの力発揮は、筋肉が大きな力を発揮できるので神経系の抑制がかかります。自分の体を傷めないようにするリミッター機構が働くからです。大きな力を出す技術とは、いかにしてこの神経系の抑制を解除し、より多くの運動単位・筋線維をその運動に参加させられるかということになります。これは心理的限界を上げることで達成できます。

一方、収縮速度の速い動作では目いっぱいの力発揮をしても筋肉はあまり大きな力は出せないので、心理的限界のレベルはここではあまり関係しません。

速い速度の動作は運動時間が非常に短いので、神経指令による運動単位の動員を瞬時に同期させる能力が必要になります。それぞれの運動単位が別々の時間にばらばらに力を出していては瞬間的に大きな力を発揮することができません。瞬時に、かつ同時に運動単位が参加することが必要です。

また、それぞれの運動単位の力の立ち上がりを速めるために、神経刺激の発火頻度を高める必要もあります。』

『力と速度の積であるパワーを高めるにはどうすればいいかというと、単純に力と速度を上げればよいわけです。筋肉自体の能力としては先ほど説明したとおり筋肉を太くしてPoを強くする以外にはありません。力-速度関係のグラフを力軸の方向に引き伸ばせばあらゆる負荷条件においてのパワーが上がります。

これはよくある誤解なのですが、最大のパワーが出るところがPoの30%付近であるから、パワーを高めるにはその30%の負荷でトレーニングをするべきだという人がいます。また、そのような負荷で行うトレーニングに「パワートレーニング」などという名前までついているようですが、これはおかしな話です。

トレーニングには先ほど触れたように速度特異性があるので最大パワー付近での力発揮が多少強くなることで、実際最大パワーも多少は上がるでしょうが、これは根本的なパワーアップにはなりません。

最大パワーが出るPoの30%くらいの負荷での力発揮が多少うまくなっただけのことで、上限は知れています。また、スポーツ動作では受ける負荷を自分で決めることはできませんから、Poの30%の負荷近辺だけでの力発揮が神経制御としてうまくなっても、あまり大きな意味を持ちません。パワー=力×速度であるという基本の性質をよく覚えておいてください。』

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