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コオーディネーショントレーニングの考え方|ニュースレターNO.120

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早いもので、もう6月になってしまいました。4月から月2回、3ヶ月間にわたる別科を開講した事から、月日の経つのが本当に早くなりました。講座の資料作りをしたりと大変な状況です。特に、コンディショニング講座の受講者の方には、膨大な資料がたまっていくわけですが、それに目を通していくだけでも大変だと思います。

特別な講座ですから、これまで私が蓄積してきたものを、あるところ惜しげもなく提供しております。それが別科を受講された方の特権でもあります。

テキストもそうですが、他人に公開できないものになっています。個人の情報資料としてのみ活用が許されるものになっています。基礎的な知識と、それをどのように応用するかという考え方と、実践力を養えるように精一杯がんばって教えております。

午前の3時間がコンディショニング講座、午後の3時間がリコンディショニング講座、その後は一杯やりながら懇親会・補講(?)と、楽しさと盛り上がりと、疲れを感じつつ、「やりがいあるなあ」と感じているところです。

今回の別科は、7月で最終になり、次は9月からの開講になります。3ヶ月、6回続けて受講できない方のために、2年間ぐらいの間に6回の講座を受講し終えればよい、というように受講条件を検討中です。私としては、尐数で密にやりたいので、受講者が増えるというのは困ったことでもあります。

リコンディショニング講座を受講の方には、その後の懇親会もついてくるということで、それこそ何でも聞いていただける特権もあります。都合のつく方は、ぜひ受講してください。私も皆さんにお会いできる機会がもてればうれしく思います。

さて、今回のニュースレターは、コオーディネーションの考え方についてです。トレーニングジャーナルの6月号に「特集パフォーマンスを上げろ!」という記事が掲載されました。講義編と実技編に分け、実に21頁にわたるものです。内容は徳島大学の荒木秀夫氏によるコオーディネーション・トレーニングの講習会(講義と実技)の書きお越しです。

これまでに何度かコオーディネーションが取り上げられ、荒木氏も何度か登場されましたが、今回の特集記事には大いに参考になるところが多くありました。と同時に、コオーディネーションについてより深く理解することができるとともに、実践編での解説を読むことでより具体的なプログラムや練習方法が想像できます。今回は、講義編の中から参考になるところをピックアップしました。

中でも、「アイカット」のことと、繰り返しの練習についてのことが参考になります。「最後までボールをよく見ろ」「・・から目を離すな」という指導が多いのですが、「見なくてもできる対応能力」ということになるのでしょうが、感覚を研ぎ澄ますことがことさら重要であるということです。このことはいろんなエクササイズや練習に応用できます。ボールゲームでは、特に役立つはずです。

また、繰り返しの練習についてもリラックスした状態での反復練習が、ゲーム環境での緊張した・疲れた状態でのプレイにどれだけ役立つか、考え直す必要性が示唆されています。まさに、「練習ではよいのに試合になると・・・」に対処する方法が見つかります。

これを機会に、一度読まれた方ももう一度読んでみてください。特に指導者には御勧めします。実に面白かったというのが私の感想でもあります。21頁もあったわけですが、3回も読み直しました。

『・・・エネルギー代謝に関する狭い意味での体力トレーニングを考えると、パスにしてもキャッチ、ジャンプにしても、それぞれの動きに対して筋力の発揮の仕方が問題になります。持久力も関係しますし、反射速度などの要素も出てきます。そうすると、サッカーのパス、トラップ、シュート、走るなどすべての動作に筋力、持久力、反射速度が必要になります。

パスをするためだけに筋力トレーニングをするということはなく、走ることやシュートすることも考えるので、多様な動き、多様な負荷で行います。これはスキル系とは異なり、いろいろな技術の共通の部分をピックアップしてトレーニングし、それを技術に戻していきます。

・・・

では、反復練習になっているスキルに関するものではどうなのか。そこでも同様に共通のものを取り出してトレーニングすることができるのではないか。パスやキャッチ、ジャンプなどさまざまな要素がありますが、それぞれに空間を把握する能力や時間を調整する能力に加え、強さ、速さ、リズムなどの問題が出てきます。

そこで、空間を的確につかむ能力を養うためのトレーニングなど、それぞれの共通したものを取り出してトレーニングすることが考えられますが、それこそがコオーディネーション・トレーニングの発想です。

あまりコオーディネーション・トレーニングを紹介しているものには出てこないのですが、私はエネルギー代謝なども切り離せないものだと考えています。どんなに輪投げが得意な人でも、走った直後に投げれば入らなくなります。それは腕が疲れたのか。そうではなく、乳酸がたまると脳は異なる状態になっています。

疲れていないときにバスケットボールの選手がフリースローの練習をして99%入ったとしても、ゲーム中のフリースローでは90%になってしまう。エネルギーレベルが変わってくると認知能力や空間を捉える能力も変わってきます。したがって、コオーディネーションの場合でも空間・時間・強さなどの神経系の要素を、エネルギー要素を含めて考えていかなければならないと思います。』

『平衡能力は、運動の目的を達成するための平衡感覚能力で、もし反射的能力が邪魔であればその反射を抑える必要があります。わかりやすいのが閉眼片脚立ちですが、長くできればよいということではありません。こういうバランスのとり方を長くやればやるほど、実際のスポーツにおける動きが崩れてしまい、うまい具合に運動の能力が発達しなくなる。

5秒くらいですぐに倒れてしまう人でも、将来性のある平衡能力を持っている人もいます。閉眼片脚立ちという種目があればそれが目的となるので話は別ですが、サッカーや水泳、野球などでは、ある技術を身につけるために独特な平衡機能を発揮しています。基本はたくさんあるのですが、ここでは感覚の変位、体節部位間の変位、平衡能力の「つくり」と「くずし」の3つで考えてみます。

まず感覚の変位。視覚であれば目、聴覚であれば耳が関係してきますが、平衡感覚には光も関係しますし、音も関係します。三半規管、皮膚、筋、腱、いろいろなものが総合的に働いています。

・・・いろいろな能力が複合的に発展していくので、1つのものだけに固定してはいけません。平衡能力も感覚を変位させないといけません。綱渡りを練習してうまくバランスをとれるようになることと、サッカーでうまく体軸をとることやハイジャンプでうまく空中姿勢がとれることとは別問題です。つまり、必要な平衡能力を、時と場合によってそれぞれ異なったパターンにすることによって動作をうまくこなせる。

目に頼ったままバランスをとるやり方を固定化しても、目に頼れないバランスをとる場面が生じるとうまく発揮できません。いいシュートを打つけど、ちょっとディフェンスのプレッシャーがかかると全く打てないという選手がいますが、それを「状況判断が悪い」かと言えばそうではない。

プレッシャーのないところでの体幹の制御を覚えてしまい、融通が効かなくなってしまっているのです。こういうケースは非常に多い。あるときは目を使う、あるときは別の方法で感覚を変位させる。そういう刺激を与えることで組み換えができ、応用が効くようになります。

・・・

私の場合、一番重視しているのが足を使わずに体幹で骨盤に乗るということです。以前、筋電図に脚の筋放電があらわれない状態で一歩踏み出すという練習をやりました。

時間のかかる人で40分くらい、早い人で10分くらいでしたが、陸上競技の選手は早かった。フラミンゴは細く長い脚で立っていますが、細いからといって筋力トレーニングをするようなことはありません。彼らは脚のわずかな筋肉をうまく使っている。人間も筋力トレーニングをしすぎるとこのバランスが悪くなってきて、次第にスキルに悪影響を及ぼします。

筋力トレーニングは、本来は動きをつくるために行うものです。それなのに筋力だけを発想していくと、その結果動きが壊れる、ぎこちなくなることがある。実際に、脚の筋肉を使わずに立とうとすると、うまくできないのはだいたいマッチョ系です。普通の人に比べて負担感がないのでいつまでも立っていられますが、筋力に頼っているため脳がさぼってしまう。

スリムな女性にとって1時間立ち続けることはしんどいと思いますが、そこで「筋肉を使わずにどうやって立つか」と分析し、順応しようとします。筋力がなければいかに効率よく走るべきかを考えるようになる。ここがコオーディネーションに関係してきます。

・・・

私は、筋力はできるだけ低いほうがよいし、持久力は高めないほうがよいと思っています。いかに尐ない筋力で最大の力を発揮できるか。持久力を高めなくても記録を改善できるか。それがコンディショニングと絡めたコオーディネーション能力の考え方です。話が尐しずれてしまいましたが、体節部位間を切り替えるということはスポーツにおける平衡能力として筋出力とも関係し、非常に重要な意味合いを持っています。

最後に平衡能力の「つくり」と「くずし」についてですが、平衡能力はうまくバランスをとれることが優れていると考えられがちですが、逆に邪魔する場合もある。バク転を行うときに、できない人であっても自分の身体像のイメージでは半分くらいまで回っているように思っています。しかし、客観的に見るとそうではない。

それは平衡能力が邪魔をしているからです。飛び込めと言われて押されたときに足が一歩前に出るのは、平衡をとるための反射です。本来起こる平衡能力をあえてくずすことによって、その運動の目的を達成する。いつでもどこでも平衡がとれるし、どの感覚を中心としてもとれるし、そして抑えてリセットもできる。これがコオーディネーションの概念に出てくる平衡能力です。』

『陸上競技の100mの選手がハードル走をやるというのは、こういうトレーニングになります。ここで、その結果記録が伸びる人もいるかもしれませんが、逆に落ちてしまう人もいる。

つまり、むりやりに複雑な刺激を与えればよいというわけではありません。棒高跳びのブブカ選手は世界記録を何回も更新しましたが、彼が練習の中で非常に時間を割いたのは体操競技のトレーニングでした。棒の使い方とか走力ではなく、空中での感覚をうまく得るためのコオーディネーションに関わるトレーニングをやっていました。

結合能力は運動と運動を結合、連結する能力(コーディング)です。時間の流れの中での結合能力で、子どもがランのフェイズを覚えたときというのは、だいたい足に頼った形になります。運動の発生から見るとスキップがありますが、女の子のほうが先にできる。男の子のほうができない。

コオーディネーション能力というのは、ゴールデンエイジに入るころでも女の子のほうが進んでいる。それは言語能力などにも関係してくるのですけれども、女の子のほうが能力が高いことが多くみられます。

・・・

一般に空間の広がりは目で見て判断するのがオーソドックスですが、視覚が遮断されると、われわれが歩いたときの幅を2~3回で把握するところを、目が見えない人は1回で把握できる。それは代償作用が働いているからです。一流のアスリートはそれをやっています。逆に言うと障害者は一流アスリートと同じことをしている驚くべき能力を発揮しているとも言えるでしょう。

視覚などのある特定の感覚に対して外乱刺激を与えることによって、新たにコオーディネーションしようとすることになり、視覚では目に頼ることがない。それを私は「アイカット」と呼んでいますが、目に頼らない、尐なくとも最小限の情報で判断できる。

イチロー選手がボールを背面でキャッチしますが、それは定位分化能力が高いということになります。目に頼っていない。同じ動作をし、一見華麗であっても、目で見える範囲で目に頼っているのであれば、技術そのものは高いレベルにまで達していません。そういうトレーニングをしなければなりません。目を切る練習をしなければならない。そうすると、目に頼らないで正確に空間を取ろうとして動きが変わってくる。』

『・・・ラテラルパスの話でも触れましたが、運動の解析とスポーツの解析は違います。「スポーツ科学」という言葉日本ではよく使いますが、多くの場合は「運動の科学」と言えるでしょう。

こうした運動科学は極めて重要ですが、筋力はこうすれば上がる、持久力はこうすれば上がるということはわかっても、人類としてどんなに優れた筋力や持久力を持っていたとしても、恋人に振られ、財布を落とし、大学受験に失敗したときにはその能力は発揮しきれません。

旧東ドイツやアメリ力を始め、ヨーロッパのスポーツ大国と言われた国はこうしたメンタルな面も含めてコオーディネーションを考えています。

科学則なものと経験則なものは関係づけていかなくてはなりません。コオーディネーションとは、いろいろな能力を組み変えることができることと言いましたが、基本的にはいろいろな神経系に関する結果や運動力学に関するデータなどの根拠に基づきながら、高いレベルすなわち行動のレベル、スポーツのレベルでそれをどう発揮していけばよいかが最大の課題となります。

筋力をどれだけ高めても、腱の発達に比べて筋のほうが発達しやすいので、腱と筋のバランスがくずれてケガをしやすく、その違和感を感じた選手は発達した筋力に心理的な抑制をかけてしまいます。そのため、本人にはその原因がわからず、筋力トレーニングをしているのに全然スピードが出ないということも起こります。

経験則に基づいたもの、わかりやすく言えば長年指導している人がつかみ得たものと、そして科学的に分析したものをただ並べるだけではなく、総合的に分析したものをうまく加えたような思想にする必要があります。

つまり、アートとサイエンスなんです。アートというのは人間的手法に関わるものです。人間の感性、芸術もそうです。感性に基づいたものを把握する能力というのは、経験から学んだものがあります。コオーディネーションで絶対的に大事なことは、決して経験を軽視しない。

同時に決して科学を軽視しない。2つを統合して、ありようのままの人間の能力をどうつかむかということなのです。アートとサイエンスの両方の領域か必要なのです。

もう1つコオーディネーション・トレーニングで大事なことは、これまで挙げたことをプログラムとして考える必要はないということです。なぜこういう運動を行い、どこを見て評価したらよいのかという原理を押さえれば、いろいろ違うこともできます。

ここで紹介していることは私が言っていることであって、それぞれの人に作業仮説があって、能力の組み換え方や捉え方があっていいはずです。選手も、そういう自分のコオーディネーション能力のみ立て方を理解する。コーチも理解する。コーチと選手の違いは、選手は最終的には内部的なものとして動きを発達させることが中心となり、コーチは外部的な観察による見立てによって全体をより深く理解することが中心となります。

自らがスポーツの考え方やトレーニングの考え方をコオーディネートしていく。それはコオーディネーションそのものです。結果的に選手が強くなるということは、選手自身も何らかの理解があっていつも考え、アイデアを出してコーチに相談し、コーチは見立てる。これがコオーディネーション・トレーニングの本来の姿と言えるでしょう。』

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