思考の深さと気|ニュースレターNO.179

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もう11月に入りました。早いですね。自分の行動が時間の速さについて行けない気もする今日この頃です。今月は各地で全国高校駅伝の県予選が行われます。私も、夏前から週に一度の割合で指導している女子のチームがあります。最初に見たときは、とても走っているとは思えないほどでしたが、見る見る成長を遂げ、素晴らしいランニングができるようになって来ました。

今週末、試合ですが、おそらく他の学校はまったくのノーマークのため、その結果に驚くことでしょう。楽しみです。同じ学校で、女子の短距離の選手たちも週に一度のペースで教えています。この選手たちも、大幅に自己記録を更新し、楽しく練習に取り組んでいます。高校生は、教えれば教えるほど成長を示してくれるので、教える側も楽しいです。

教えるということは、できる、変わった、ということを気づかせる事です。ただ、言葉でどうしろというだけではできるようにはなりません。今どのような動きになっているのか、なぜそのような動きになるのか、何をどのように変えれば動きはどのように変わるのか、まさに本人に気づかせることが大切です。それが私の指導の基本になっています。

本人に気づかせる、分からせることができるか、それができれば簡単に動きが変わります。自分ができるようになったとわかるから、練習が楽しくなるのです。

こんな状況の中で、宇城憲治氏の著書(空気と気-気の根源 思考の深さ-合気ニュース2007)を読みました。すると、私と共通するようなことが書かれてありました。その中に、自分の気づきを書かせるということが書いてあります。これもそのとおりだと思います。

わたしも、自分も感じたこと、思ったことを細かく書けるかどうかが、その人の理解の程度であるということで、自分自身もそうしていますし、学生たちにもそうするように言っています。ぜひ、目を通してほしい本でもあると思います。今回は、指導者にとって、ポイントと思われるところを抜粋して紹介したいと思います。

『これまで述べたように思考の深さからくる気によって同時性・多次元の動作が可能となります。その思考の深さによる結果の記憶先が「身体脳」です。

身体脳の記憶は知識としての頭脳記憶ではないので、それを説明する適切な言葉は見つかりませんが、ここが非常に大事なところです。すなわちスポーツのような身体動作を伴う指導において、言葉で教えることがいかに矛盾しているかということです。言葉で教えて、教えられるほうが「わかった」というのは、その言葉が「わかった」という意味であり、その内容を理解したということではないのです。

スポーツ選手などで一流になった人がいますが、それはどちらかと言うと指導による結果ではなく、自分の良さに気づき、そのことによって自分がやる気を出し、自分を自分で解析、工夫した結果なのです。下手なコーチや指導者ほど、言葉で教えたがり、可能性のある人もそれでつぶれていく場合が多々あるのも事実です。

また逆に、自分の気づきで一流になったと考える人も、そのレベルは優勝とか記録とかメディアの宣伝効果によってつくられたもので、実は真の一流のレベルにいたっていないことが多く、まだまだ可能性があるということです。実際プロ・アマの第一線で活躍する選手たちを指導してきた実例からそのように感じています。

また一方で、そのことは武術などに継承されている術技及び心法を見れば明白です。桁が違うのです。生か死かの場から創出されている武術では、術技はもちろんのこと、それ以上に心法(心のあり方)が重要になってきます。それゆえに武術の極意とも言われる術技は心の上に成り立っていることがわかります。

まさに事理一致、剣禅一如などの訓はそれを教えています。

競技の技と切り離されて行なわれているスポーツのメンタルトレーニングなどは、まさに話にならない世界であると言えます。』

『最近の指導では「気」を積極的に活用していますが、それには次のような方法でやっております。

たとえば、「相手を投げる」という稽古においては、一般的には、「投げるという形・技」を教え、自分が実際にそれをやってみせ、その後みんなにやってもらうという方法をとりますが、なかなかその通りにはいきません。また、いつできるようになるかもわかりません。そこで新しい稽古方法として、「気」を使う方法を取り入れています。

それは、投げる側にこちらから気を通すことで、投げる側に変化が起こり「投げ」ができるようになるというものです。人数は何人に対してでもOKで、実際に空手実践塾ではいくつかのグループに分かれた複数の人に気を通しますが、ほとんど全員が一斉に投げができるようになります。すなわち、気を通して行なうことによって、「投げられる時の白分」と、現レベルの「投げられない自分」の二つの存在が自覚できるわけです。

従来の方法ですと、「投げられない自分」しか存在せず、「投げる」という状況は、言葉で聞くか、先生の投げを見るか、さらに先生に直に投げられるかで情報を得、その情報をもとに自分が投げられるように試行錯誤するということになるわけです。

しかし気を通す方法では、「気」の力によって、投げができていないレベルの人に、投げを体験させることができます。それはたとえば、自転車に乗れていない人に気を通すことによって、瞬時に自転車に乗れるようにし、「乗れる」感触を擬似体験させるというようなものです。

自転車に乗るには、教科書は意味を持たず、言葉はあくまでも参考程度にしかならないことは明白です。むしろ何回もこけて、身体と脳へのフィードバック回路がつくられることで乗れるようになるわけですが、「気」による方法によれば、乗れた時の感覚を先に疑似体験できるので、身体の中にその感覚が残ります。したがってその感覚に向かって内なるフィードバックがより早くなるということです。

もうひとつは、「乗れた」という擬似体験が、その人に希望を与えます。それは同時にやる気にもつながり、この点は非常に重要だと思っています。このようなことを、武道の極意の集積でもある型に内在する技を一つひとつ分解組手を通して稽古検証することで、身につけていくわけです。

日本が世界に誇れる武道文化、すなわち武術の究極「戦わずして勝つ」「衝突から調和融合へ」という高い次元を気の力を使って擬似体験できれば、稽古内容が相対から絶対に向かい、そこに自主性が芽生え、内なる強いエネルギーが出てきます。このようなことはジャンルを問わず、一人ひとりの違いを超えた本質のところでの心技体の一致の気づきにつながります。

伝統の型や口伝、伝書はただ継承するだけでは意味がなく、再現することが重要で、「気」を使った稽古、実践はこのようなことに非常に有効で意義があると思っています。

図4は、「宇城流根本原理↓指導↓変化」の稽古プロセスを示したものですが、根本原理は仮説ではなく、事実を通して得た真実です。

このプロセスでは、統一体を自らつくることによる方法と、気を通して「不可が可になる」方法で稽古をします。そして自分の変化、感じたことを感想文にあらわします。それを検証分析することによって、その人の変化の度合い、すなわち進歩・成長がわかります。その繰り返しと気づきの変化を通してステップアップを図っていきます。

この「気づきの変化」は、一方で思考の深さとなります。この身体を通しての思考の深さこそ、調和を生む根源です。「相手に入る」「瞬発力」「先をとる」などの“技の冴え”はまさに、思考の深さに比例するものであります。

ここに文武両道への第一歩があります。すなわち「非日常から日常に向かうこと」、これが大事だと思います。』

『仕事ができる人は、できることの方法を身体が知っているので、同時性・多次元の動きができるので早い。しかしできない人は頭で先に考え、できる理由よりできない理由が優先され行動が遅くなります。できる人は行動が先に起こります。大事なのは、動くということ。逆に自分でできないと思っていることをやらせても人は動きません。動いたとしてもそれは「死に体」と同じです。

まず、リーダーや指導者が勉強しなければならない。「教えて学ぶ」も含めてです。わからなかったら繰り返し繰り返し勉強する、そうすると、「なぜ、なぜ、なぜ」と疑問が出てきます。その自分への「問いかけ」の積み重ねが自分のレベルアップにつながっていくのです。

たとえば、武術空手になぜ筋トレが必要ないかの問いかけからは力の意味が解けてきます。すなわち筋トレは衝突の元凶であり、スピードの遅さにつながり、また、身体の呼吸を止め気が流れない原因となる。

また「調和融合」の問いかけからは、武術の究極の重要性がわかってくる。間を制する、ゼロ化するなどです。また調和というのは眼を見たらわかる。眼を見た時にそこに深さがない人は、たとえ調和と言っていても、ただ言葉で言っているだけというのがわかります。

武術ではよく「中心」が言われますが、中心はある意味ではひとつの居つきとも言え、それよりも中心を活かした芯が重要です。芯は独楽のように回ってはじめて芯になる。回らなくても中心はある。回らなければ意味がない。芯ができてこそ日常の中にも活きてくるのです。』

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