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重力の場でシッカリ立つ|ニュースレターNO.189

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年が明けて、あっという間に4月に入りました。この過ぎ去る時間の早さを感じずにいられません。平成スポーツトレーナー専門学校も新入生を迎え、新たなスタートを切りました。一人でも多くのスポーツトレーナーのスペシャリストを育てたいと思います。

ここ何度かニュースレターで紹介してきたマトヴェーエフ氏の著書「ロシア体育・スポーツトレーニングの理論と方法論」は、嬉しいことに多くの方から購入希望をいただき、読むのが楽しいと御連絡をいただいております。本当の指導者を目指す方にとっては、まさに体育とスポーツトレーニング理論のバイブルとして役立つはずですし、発想の転換にも役立つものと思います。一人でも多くの指導者に読んでいただきたいと思います。

さて、今回のニュースレターは「筋膜療法/Fa-ther(たにぐち書店2002)」の著者(続刊として「異次元“体のゆがみ”の治療法Fa(scia)-ther(apy)/筋膜療法(たにぐち書店2006)」があります)である吉岡紀夫先生の講演記録から興味深い内容のところをご紹介したいと思います。

吉岡先生には、平成スポーツトレーナー専門学校で「筋膜リリース」の講義をしていただいており、時間を見つけてはいろんな御話を伺っております。2冊の著書を読めば、新しい骨格構造というか、人間の身体に出会うことができます。

この講演内容を読んで、人間のからだについて考え直す示唆を与えられるとともに、身体調整やコンディショニングにも大いに役立てることができると思います。

『前述の「人体に触れて、びっくりしました。皮下脂肪の次に、赤い何々筋ではなく、その前に、筋を覆うコラーゲンの白い丈夫な膜、“筋膜”があったのです」の“筋膜”は、既存の解剖学書では、単に「筋を包み保護している」と記述されています。

ところが、例えば、胸郭の肋骨と肋間筋をラップする〈-骨膜-筋膜-骨膜-〉は“一連”ですが、「“骨膜”は骨格系に」「“筋膜”は筋系に」と分けられ、“靭帯”も関節を補強する靭帯と、皮下の筋膜と一体で筋膜を補強している靭帯があり、同じコラーゲンの組織が骨格系と筋系の間で“曖昧な存在”になり、構造認識に整合性がありません。

解剖学的な構造認識では、“筋膜”や筋膜と一体の“靭帯”などは、骨格の体表に面して突出した骨と骨の間隙の「“可動域”の制限」や「個々の骨の“基本的な位置づけ”」をしていますが、言及されず、骨組みの“可動する形”の構造と機能が理解されていません。個々の骨に“基本的な位置づけ”があるからこそ、筋の的確な運動が可能なのです。

骨格系が、骨の機能の「身体の支持」「重要臓器・器官の保護」「受動運動器」(ほかに、無機質の貯蔵、造血機能があります)を発揮するためには、〈骨・軟骨・関節〉の骨格系をラップする『内』『外』二重のコラーゲンの《膜》構造があったのです。

「内側」のラップは骨格系を密にラップして骨格に“可動性”を与え、「外側」のラップは筋を包みながら、骨格の体表に面して突出した骨の間隙に「“可動域”の制限」を与えて、“可動する形”ができるのです。

学校などに置いてある人体の骨格模型は、関節部を“可動”させ、骨を配列していますが、骨格の『外側』のラップがないので形ができず、曖昧に無理矢理に形をつくるために脊柱や骨盤、胸郭は針金や金属棒で固定されていて、人体の構造での“形”や「身体の支持」「重要臓器の保護」をする機能を表現していません。

人体の形状や構造の解剖学的な研究、解明の態勢は、現状ではまったく衰退しているので、気づいた者自らが実証するしかありません。』

『これも私の仮説ですが、体を伸ばして動かすと神経終末が密な「支持身体感覚系」には、体の“温もり”や「身体感覚」が起こります。そして、体を縮めて動かすことが尐ないと“ツッパリ感”や“冷え”、“痛み”が頻繁に起こるのは、コラーゲンの《膜》構造が「存在をアピールしている」とも考えられます。

家に閉じこもって体を動かさなかったり、寝たきり状態になると、「支持身体感覚系」が硬縮して、苦痛と闘わなければならない羽目に陥りますが、そのような症状の線維筋痛症の状態は、従来は原因不明で、開放する術がありませんでした。

持続的に圧刺激をかける“指圧”は、「さする」「もむ」や電気的刺激の「刺激時のみに生体反応が起こる」のと異なり、施療後も長時間、生体反応の続くことが知られていますが、施術者が体でツボを分かり施術部位が尐なくなると、施療後しばらくして痛みが起こり、その痛みが収まると調子がよいという場面が多々あります。

それは、「支持身体感覚系」のコンディションが、施術でアンバランスになって痛みを発症し、時間が経過してバランスすると術前よりもよいコンディションになったと考えられます。施術箇所が減り、施術時間が短縮して腕を上げたと思う施術者がいれば、一人よがりであり、配慮が必要です。

“器官”である骨格や筋、神経を施術の対象として、“無痛”“即効性”をアピールしている整体などの瞬間的な施術は、瞬時に筋が弛緩し、直後はビックリする人もありますが、実際は反射的な変化で構造的な変化はほとんど起こらず、すぐに元に戻るので繰り返しても、あまり効果は期待できません。

もしも瞬間的な刺激で持続する“即効”があるのなら、逆に瞬間的な刺激で体の調子が激変して悪くなることも考えられますが、実際は瞬間的な刺激は瞬間的な反応であって、善くも悪くも体に本当の変化を与えることはできません。』

『ボブ・アンダーソン氏の著書で世界中に広まった「筋を伸ばす」という〈ストレッチ〉は、実は「筋を包むコラーゲンの《膜》構造を伸ばす」「体を伸ばす」と表現すべきです。

“背中が円くなった人”は、背中が痛いからと「背筋を伸ばす」〈ストレッチ〉を行うと、さらに背中が円くなって痛みは憎悪しますが、本当にしなければならないのは背すじを伸ばして、背筋を緊張させて縮めることです。

筋は、機能的に興奮すると“緊張”しますが、弛緩すると周囲のコラーゲンの《膜》構造の状態に収まります。筋の活動の環境を整えるためには、コラーゲンの《膜》構造を整え、柔軟にしなければならないのです。

“背中が円くなった人”は、背中の筋を縮めると「アー」と声を出したくなりますが、その時の知覚は筋を包むコラーゲンの《膜》構造で起こっています。“背中が円くなった人”は《膜》構造の伸びた状態が通常状態で、背すじを伸ばすと知覚が起こり、“背すじの伸びた人”は背中を円くすると知覚が起こります。

コラーゲンの《膜》構造は柔軟で可動域が広いと、知覚が起こりにくいのですが、硬縮すると疲れやすく“ツッパリ感”を感じ、筋が強直すると“痛み”が起こるのです。その“痛み”は、筋の張力によってその部分の《膜》構造のコンディションが変化して整うまで、痛みが収まらないのではと考えられます。

このような“痛み”に、発症の原因が不明な、ギックリ腰、こむら返りなどがありますが、医療では臨床的に「放っておいたら治る」とされ、「生命に危険がない」として真剣に受けとめられていませんが、《膜》構造は硬縮しているので一度起こると何度も再発します。

いきなり、《膜》構造を伸ばすと“痛み”が起こり、朝のテレビ番組で〈ストレッチ〉がある日は整形外科の外来患者が多く、ストレッチングを行う際はまず可動域で動かし、《膜》構造の持っている“保水”“潤滑”機能を高める必要があります。

私の“ずり圧”は、当初はずり幅を小さく、施療のたびに次第にずり幅を大きくしますが、広く全身的に行うことで“痛み”は起こらず、施療後は運動後や温泉の入浴後のような「体感」があります。“ずり圧”は、体の部分の《膜》構造を広く捉えてストレッチングを行い、それを全身的に行うことで、伸びやかな肢体が現せることを意図しています。

オステオパシー、カイロプラクティック、スポンディロテラピーは、19世紀末の米国三大整体術ですが、医師で手技療法を行うオステオパシアンのオステオパシーの流れの中に、“痛み”があると、「痛みの発生したポーズで痛みが生じた部位を再現して90秒静止」して、痛みを解消する“(ストレイン)カウンター・ストレイン”があります。

《膜》構造の構造認識が欠落しているので、“痛み”は神経の誤作動と説明されていますが、同じポーズを90秒持続することは、《膜》構造をストレッチングして解消したと考えられます。

中高年になると、多くの人は、体の後の筋を緩ませ、体を縮め、動きが小さく尐なくなることから、《膜》構造が硬くなり、肩凝り、腰痛、膝関節痛のフルコースをたどりますが、腰痛、膝関節痛が寝たきり状態のきっかけになるとして、厚生労働省でも真剣に取り組む姿勢が見られますが、《膜》構造が欠落した構造認識では解決する見通しは立ちません。

《膜》構造を「伸ばし動かす」ことで体を伸ばし、体の後の筋を使うようにすれば、肩凝り、腰痛、膝関節痛も改善します。同様に、《膜》構造を「伸ばし動かす」ことと、立ち方や歩き方を改めることで、不治とされる脊柱側弯症、そして、O脚なども改善します。』

『臨床では、たまたま、同じような人が集まることがあり、80歳半ばで歩けない人が来られました。子供たちや主人と過ごした家を一人で守って生活をしたいが「私は歩けない。」とか、あるいは日本舞踊を教えている有名な方が「足の裏が痛くて痛くて、歩けない。」と、当方に来られたのです。

“重力の場”で“直立二足歩行”を特徴とする人体は、周囲の環境と関わって生存することの前提として、基本として垂直方向の「立つ」姿勢が重要です。“重力の場”で「立つ」姿勢は、結論的な表現をすると「骨で立つ」ことで、昔からよく耳にした「お腹をへこめて、“腰”を伸ばす」「背すじを伸ばす」ことです。

「背すじを伸ばす」と、四肢も伸び、椎骨と椎間円板からなる『脊柱』をラップするコラーゲンの前・後の縦靭帯や《膜》構造は緊張して、軟骨組織の椎間円板の変形は起こりません。「お腹をへこめて”腰”を伸ばし、背すじを伸ばす」人は、“腰痛”の原因とされる腰椎部のヘルニアは起こらないのです。

しかし、「“体の後の筋”を緩ませる」と、四肢が縮み、体が曲がってねじれ、『脊柱』をラップするコラーゲンの《膜》構造は弛緩して、椎間円板はお餅のように周囲に広がって薄く変形してしまい、体は曲がってねじれてしまいます。いつもテニスのレシーブをするような前傾姿勢をとると、シッカリと立っていないので椎間円板が変形し、椎骨も“重力の場”に対応していないので退化し圧迫骨折が生じやすくなります。

高齢者に多い大腿骨頚部骨折も、体を縮めることで、大腿骨頭に続くくびれた数cmの頚部と太い幹の膝に向かう体部のなす角度、“頚体角”の小さいことが知られています。大腿骨頚部骨折は、若い人でも生じます。私が相談を受けた例ですが、サッカー選手に疲労性の大腿骨頚部骨折がありました。

11人で行うサッカーは、ポイントゲッターで前に位置する選手は、相手や味方の陣地を全力疾走する場面が多いのですが、この選手は中盤で、体を縮めて加速・減速の姿勢が多く、高齢者の大腿骨頚部骨折に通じる面があったのです。体を縮めると動きやすいのですが、骨格の破綻を起こすので、「体を縮めるのは、動作のはじめだけ」と割り切らなければならないのです。

スポーツは、一流選手として長年続けている人は体が伸びやかで問題はありませんが、中盤のサッカー選手の話のように体を縮めていると体を損なうので、配慮が必要です。バスケットなど、スポーツの種目だけではなく、ポジションでも体の対応が異なり、それぞれに配慮が必要です。長く、現役で楽しむためには、異本的に、“重力の場”に対応してシッカリと“腰”を伸ばして「立つ」「歩く」「走る」配慮が不可欠です。

すると、「体を縮めて重心を低くすると、安定する」というのは、間違いです。“体の後の筋”を緩めて“腰”が伸びていないと、どこに影響が出てくるかというと、膝、肘、特に足首、手首の先が硬くなって縮むので、足が縮んで、歩けず、痛みが生じたのです。

動作のはじめには、関節を緩めて体を小さくすることは必要不可欠な過程ですが、それでは歩幅が小さく、“重力の場”に対応していないので骨組織が破綻し、骨粗しょう症や圧迫骨折などが起こります。丈夫な骨が破綻し、信じられなくするのは本人自身だったです。

舞踏の見せ場は体が伸びた瞬間、舞踊の見せ場は体の緊張を抜いた瞬間で、舞踏と舞踊は同じではないと考える学者もありますが、日本舞踊は“重力の場”に対して、それを受け入れるように接する場面が多いことから、四肢が縮み、足の裏が縮みます。

家事は「“体の後の筋”を緩めている」場面が多く、シッカリと“腰”を伸ばして“重力の場”に対応して「立つ」「歩く」配慮を怠ると、四肢が縮み、足の裏が縮んでしまいます。

体を縮めている姿勢が多いと、筋系や骨格系をラップする《膜》構造は可動域が限られて硬縮しますが、足の裏が縮むと、バネの上に載るような感じでフラフラして、立つことも、歩いて止まることも、ままならないことになります。そんな人が、杖をつくのです。

「“腰”を伸ばす」「背すじを伸ばす」とともに、“首”も伸ばさないといけません。声楽家のF.M.アレクサンダー(Frederick Matthias Alexander)氏が創始した“アレクサンダーテクニーク”というのは、首をゆっくりと動かして、伸ばします。彼は、シェークスピアの台詞を歌っていましたが声が出なくなり、お医者さんに診てもらうと「休みなさい」と言われるだけで、結局、医療とは訣別するしかありませんでした。

自分で、歌うときのポーズを鏡で調べると、“そり返り過ぎ”であったことから、のどを緊張させないためには「“首”を伸ばさないといけない」ことを悟り、姿勢の改善にもつながる“アレクサンダーテクニーク”ができたのです。

しかし、残念ながら、“アレクサンダーテクニーク”による脊柱側弯症の改善は、医療の説明を引用して否定的であり、中途半端に感じられます。』

『“体のゆがみ”は、体を縮めることで、“曲がりねじれ”が起こり、生じたのです。大半の人にある左右の顔の非対称、利き顎、右前肩、脊柱側弯症、胸郭の左右非対称、O脚、…などは、医療では原因がなく、治療法がありません。そして、頭痛、五十肩、腰痛、膝関節痛、坐骨神経痛などの普遍的な“痛み”も、医療では原因がなく、曖昧な経験的な治療法しかありません。

“重力の揚”で体を縮めて生じた“体のゆがみ”による症状は、根本的に薬では対応できず、個々の「座る」「立つ」「歩く」「走る」姿勢や動作を改善しなければならないのです。

“体のゆがみ”に気づいたとき、姿勢や動作を改めて“体のゆがみ”を改善することは、まったく不可能ではありませんが、大変な努力、工夫、精神力が必要です。“体のゆがみ”は、薬では無理ですが、実はいわゆる様々な治療法だけでも治せません。

従来の、筋や神経、骨格を動かして調整しても“体のゆがみ”は治せませんが、筋系や骨格系をラップしているコラーゲンの《膜》構造を、動かして、ストレッチングで柔軟性を高めながら、“重力の場”でお腹をへこめて“腰”を伸ばし、立ち方、歩き方を改めて、「椎間円板の“変形”の癖を改めた」とき、改善します。“重力の場”に対応した「座る」「立つ」「歩く」「走る」姿勢や動作をマスターしたときには、垢抜けした容姿が現れます。

私が行き着いた“筋膜療法/Fa-ther”は、筋系や骨格系、神経系などを包む、神経終末の密なコラーゲンの《膜》構造に持続的な張力を与えることによって柔軟性を高め、筋系や骨格系、神経系などの環境を整えて機能を改善することができます。

個々の“重力の場”に対応した「座る」「立つ」「歩く」「走る」姿勢や動作の改善と、“筋膜療法/Fa-ther”を組み合わせると、相乗効果で、時には加速度的に、“体のゆがみ”から開放されて、垢抜けした容姿が現れます。

“体のゆがみ”を解消すると、性格も、雰囲気も、さわやかに変化します。この表現の意味は、大半の人に“体のゆがみ”があるので、本来、持っている姿を現しておられないということです。』

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