まず高めるべきは「スピード」か「持久力」か|ニュースレターNO.190

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先週の土日、札幌で20回目のUHPCのクリニックを行いました。昨年の12月、今年の1月、3月と4回続きましたが、その成果が参加者全員に現れたようで、教えている側も教えられている側も嬉しい限りでした。自分が速く走れていることに気づくので、いつまでも走りたいという意欲が伝わってきます。

そんな中で、新しい出会いがありました。今回初参加した大学生の中に、素晴らしい原石を見つけました。まさに一目ぼれでしょうか。その選手は、短距離ではなく、女子の中距離選手です。指導していく中で、どんどん私の中距離の走りのイメージに近づくので、本当に指導してみたくなりました。北海道の選手なので、通信教育になりますが、以前に指導していた400mハードルの井内選手以来になります。

まず、3年後、日本の女子で最初に800mで2分を切る選手にしたいと思います。問題は、どこまできっちり練習を積み重ねることができるかだと思いますが、私自身のこれまでの勉強の成果を試す場でもあると思います。まずは、スピードの出せる動きの習得とその動力である下肢筋力の獲得に努めたいと思います。今年は、シーズンに入ってしまったので、試合をこなしながらランニングの基礎づくりにあてたいと思います。3年後、ご期待ください。

さて、今回のニュースレターは、陸上競技マガジンの5月号に掲載されていた対談記事を紹介したいと思います。対談者は、ニュージーランドの世界的な長距離指導者であるアーサー・リディアードが育てた中距離の名選手、ピーター・スネル氏と日本の800mチャンピオンの横田選手です。

 

持久力をベースに世界記録を出したスネル氏とジョッグをほとんどしない横田選手の対談は、指導者として非常に興味深いものです。私は、中学のときにリディアードの本に出会い、私の長距離指導の原点にもなっていました。リディアードの考え方は、昔から変わっていません。興味のある方は、「リディアードのランニング・バイブル(大修館書店2006)」を読んでみてください。

『「僕には、特定のコーチはいません」(横田)

横田:今日の講演はとても興味深い内容で、3時間があっという間でした。僕はコーチをおかずに、普段から自分で練習メニューを考えているのですが、スネルさんがコーチのリディアードさんに出会い、トレーニングの方向転換をしたときはどういう心境だったんですか?方向転換をすることは、とても勇気のいることだと思うのですが…。

スネル:初めてリディアードと話をしたのは私が19歳のときだったよ。彼は私に、「800mを1分50秒で走りたかったら、400mを55秒で2回続けて走ればいいだけの話なんだ。400mを55秒で走る人はたくさんいるが、800m1分50秒はめったにいない。それはスピードがないのではなく、スタミナがないからなんだ」と言ったんだ。

 

それまでは200mのインターバルを繰り返す程度の練習しかしていなかったけれど、“理にかなっている”と思えて、素直にスタミナを鍛えるトレーニングに移行できたんだ。それに彼は、「お前は世界一になれるだろう」と言ってくれたんだ。だから私は、この人に付いていこう、と思えた。君には、アドバイスをくれる人もいないのか?

横田:特定の人はいません。いろんな方からアドバイスをもらいますけど、やっぱり、人それぞれ、いろいろな考え方があって、全く逆のことを言う人だっているんです。そのときに何が正しいのかを判断するのは、結局、自分自身だと思っています。

スネル:トレーニングやレースがうまくいかないときに、大丈夫なんだと、自信を持たせてくれる人がいた方がいいんじゃないか。

横田:コーチをおくにしても、自分の考えと合うとは限らないし。それに、自分1人で練習をする方が、自分も納得して練習ができるんです。だから、自分にとっては、今のやり方が一番合っていると思っています。

「私が君より3秒速い。それがスタミナの差だ」(スネル)

横田:1つ伺いたいのですが、今日の講演を聞いて、中距離選手にとってのジョギングの重要性が科学的にも証明されていることは理解しました。でも、僕はほとんどジョギングをしていません。僕の中では、ジョギングのような遅いペースのフォームと、800mの速いペースのフォームとが、どうしても結び付かないのですが…。

スネル:君と同じように、ゆっくりした走りばかりしていると速く走れなくなる、と言う人もいるが、スピードというのは、すぐに戻ってくるものなんだ。私の経験では、東京五輪前に10週間で計1012マイル(約1630km)走ったときが記録的にベストのシーズンだった。まず最初に、基礎作りのために走り込みをした方がいいと思うよ。

横田:講演でも、200mのベスト記録が23秒の人よりも22秒の人の方が速く走れる可能性があると紹介されていましたよね(表)。だから僕は、まずはスピードをつけて、その幅を広げるのが大事だと考えているんです。それに、800mを走るための”効率のいい走り方”は、短期間で身に付くものではないと思っています。

 

長いスパンで、レースやレースペースの練習を継続して、身に付くものじゃないか、と。それには、走り込みよりもスピード系の練習を優先すべきだと思うのですが。

スネル:君は、200mをどのくらいで走る?

横田:22秒5です。

スネル:私もほとんど変わらない(22秒4)が、私の800mのベストの方が君よりも3秒速い。それが、スタミナの差なんだ。200mの記録が上がれば800mの記録も上がる、と考える人は多いが、速ければ速いほどいいというわけではないんだ。例えば、ローマ五輪でも、東京五輪でも、私の200mの記録はライバルたちよりも遅かったが、800mではラストスパートで勝つことができた。それは、私の方がスタミナがあったからだ。

結局、いくらスピードをつけても、それを持続するスタミナがないと、レースで勝つことはできないんだ。

横田:僕の5000mのベスト記録は16分台ですが、日本の800mの選手には14分台で走る選手がたくさんいます。それでも僕は予選、準決勝、と進んで、決勝でも彼らに勝てました。それはどう考えたらいいでしょうか。

400mの記録は、そんなに変わりません。スネルそういう状況であれば、スタミナなんていらないと思って当然だろうな(笑)。君のライバルたちは、800mよりも5000mに近い練習をしているのかもしれないな。それだけスタミナがあれば、君に勝てるだけのトレーニングができるはずだが…。

「5kmや10kmの記録を伸ばすことは、案外面白い日標になると思うよ」(スネル)

横田:これまでに、日本の800mの選手も長い距離にアプローチしてきたと思うんです。箱根駅伝を走った方もいますし。長い距離を走れと、アドバイスをくださる方も多い。でも、結局、日本人がそういうトレーニングを積んでも、世界と戦えるレベルにまでは行かなかったという実情があるんです。

だから、日本人には合わないトレーニングなのかな、と…。末続(慎吾、ミズノ)さんが“アジア人にはアジア人に合った走り方がある”とおっしゃっていますが、僕もそれはあると思います。そう考えると、今までやってきたように、インターバルトレーニングなど、スピード系のトレーニングでやっていきたい、という気持ちが強くなるんです。

スネル:骨格やフォームの違いに着目するのは面白いと思う。でも、スタミナをつけるのは、いつ速筋が働きだすか、いつ乳酸が出てくるかといった生理学的な話で、人種には関係がない話なんだよ。それに、リディアードのトレーニングでも、長い距離を走るだけではないんだ。

今、ベースとなる走り込みをすれば、長い目で見て、今以上の量のスピード練習をこなすことができるようになるという考えに基づいているんだ。君は、今何歳だい?

横田:20歳です。

スネル:無理強いはしないが、次のオフシーズンに、長距離の選手と一緒に走り込んでみたらどうだ?5kmや10kmの記録を伸ばすことは、案外面白い目標になるんじゃないか。そうすれば、今まで400mのインターバルを10本やっていたとすれば、今度は15本できるようになるはずだ。スタミナをつけることが、実際のレースにどう影響するか、実験してみたらどうだ?世界で戦うために、試してみて損はないと思う。君にはまだまだ時間はある。

横田:確かに、とても興味深いし、やってみたいな、とも思います。でも、やっぱり自分が信じてきた道で、1つの結果が出るまでは今のままやってみたい。僕は陸上を始めて6年になりますが、毎年1秒ずつ

更新しています。今まで、自分のやり方で伸びなかったことがないんです。もちろん、スピード練習には限界があるとも思っています。そうなったときに、考えを変えることはあるかもしれません。今日のお話は、とても興味深い内容でした。自分の進むべき道の大きな選択肢を1つ増やすことができました。本当にありがとうございました。

スネル:これから、君の名前に注目するよ。健闘を祈っているよ。』

※スネル氏は200mのベスト記録22秒4で、800mのベスト記録は1分44秒3、横田は200m22秒5で800m1分47秒16

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