「サイズの原理」とトレーニング|ニュースレターNO.191

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この連休は、北海道で過ごしました。まず2日に士別へ入り、3、4日は士別陸協主催の陸上のクリニックを行いました。晴天の中、朝から夕方まで、スプリント、投擲、ハードル・跳躍、そして長距離と続きました。中学生と高校生が対象ですが、体力のない中学一年生も頑張っていました。

楽しく、やれたと思います。そして、5日は札幌へ移動し、前回紹介した女子中距離選手の指導を午後と、翌6日の午前中の2度指導し、7日に帰阪しました。指導の中でどんどん動きがよくなり、大きな走り、スムーズな体重移動が見られるようになりました。何とか指導ができそうですが、いろいろ問題もあり、あせらず尐しずつ本格的な練習ができるようにして行きたいと思います。

同時に、彼女をサポートしてくれる人たちもできたので、うまく事が運んでくれたらと思います。何年ぶりかの本格的な選手の指導に入ることになりそうです。

さて、今回のニュースレターは、石井直方氏の「究極のトレーニング(講談社2007)」から参考になるところを紹介したいと思います。筋力、筋肥大の効果的な方法がよく分かります。方法は一つではなく、何が問題なのか、それを理解する上でも参考になると思います。

『加圧トレーニングは、負荷が小さく、量が尐なくとも効果的に筋が肥大するという、一見摩か訶不思議なトレーニング法といえます。トレーニングの指導者や実践者の方々の間には、私がこのようなことをいい始めたことに対するある種の戸惑いがあるようです。

というのも、私自身が現役選手のときには、きわめて高重量の負荷を用いてハードトレーニングをすることで定評がありましたし、研究者としても「いかにして筋に強い負荷をかけるか」を主張してきたからでしょう。

ところが、研究が進むにつれ、トレーニング効果のメカニズムは想像していたよりはるかに複雑で、たとえば筋肥大といった一つの効果を得るためにもさまざまなアプローチが可能だと思うようになりました。そこで、ここではどの教本にも載っていて半ば常識となっている”負荷と効果の関係”について、尐し違った角度から検討してみることにしました。』

『トレーニングを行う場合、その目的に応じて適切な負荷を設定しなければなりません。筋のサイズを増さずに筋力を高めるのであれば最大挙上負荷(1RM)の90%以上、筋を肥大させるとともに筋力を増すのであれば最大挙上負荷の80%前後、筋持久力を増すのであれば最大挙上負荷の60%以下というのが原則となります。

これは経験的にも多くの実験からも、おおむね実証されています。生理学的な根拠は十分に揃っているとはいえませんが、その一つに「サイズの原理」があります。

何度も述べていますが、ヒトの筋肉を構成している筋線維には、大きく分けて速筋線維(FT)と遅筋線維(ST)があります。これらを支配している運動神経は脊髄に1個の細胞体をもち、そこから軸索と呼ばれる突起を伸ばしています。軸索は筋肉の中で枝分かれをして、数百本の筋線維に接合しています。

1個の運動神経と、それが支配する筋線維の集団を、運動単位と呼びます。つまり、筋肉中には速筋線維を支配する運動単位と、遅筋線維を支配する運動単位がたくさん含まれています。

一般に、速筋線維を支配する運動神経は遅筋線維を支配する運動神経に比べ、細胞体が大きく、軸索も太く、支配している筋線維の数も多い、すなわち“サイズが大きい”という特徴があります。私たちが徐々に大きな力を出していくような場合には、まずサイズの小さな運動単位から使い始め、大きな力を出す段階になってはじめてサイズの大きな運動単位を使うようになることが、実験で確かめられています。これを「サイズの原理」と呼びます。

いい換えると、発揮する筋力が小さいときには遅筋線維から優先的に使われ、筋力の増大とともに速筋線維が使われるようになるということです。

これは、エネルギーを節約するために大変都合のよい仕組みですが、大きな筋力発揮に向いていて、肥大する程度も高い速筋線維をトレーニングするには、やはり最大挙上負荷の80%前後の大きな負荷を使うことが必要なことを示しています。』

『ところが、最近までのいくつかの研究から、次に述べるように「サイズの原理」にも例外があることがわかってきました。

 

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(1)エキセントリック(伸張性)トレーニング

きわめて軽い負荷を用いてトレーニングを行うとき、筋の電気的活動を記録すると、負荷を上げ(コンセントリック)、引き続き保持する(アイソメトリック)動作では、負荷が軽いので確かに遅筋線維が使われますが、次に負荷を下ろす(エキセントリック)動作では、逆に速筋線維が使われることが報告されています。

つまり、エキセントリックトレーニングでは、負荷の大きさにかかわらず速筋線維が優先的に用いられることになります。

エキセントリックな動作をうまく制御するのは、神経系にとってむずかしく、身体を守るために急激な筋力発揮を要求される場合もあることから、収縮・弛緩速度の大きな速筋線維を使うのだろうと想像されていますが、詳細な機構は不明です。

 

(2)バリスティック(急速性)トレーニング

次に、きわめて軽い負荷を急激に加速する場合を想像してください。サルを用いた研究から、このような動作を訓練すると、遅筋線維をまったく使わずに速筋線維を使うようになることが示されました。このことから、急激な力発揮を行うトレーニング(バリスティックトレーニング)でも、負荷の大きさにかかわらず速筋線維を優先的に使う能力が高められると想像されます。

ただし、軽い負荷でもこれを強く加速するには大きな力が必要なので、“小さな筋力発揮に速筋線維を使う”ことでは必ずしもありません。(1)と(2)を合わせ、さらに速筋線維の使い方を練るのがプライオメトリックトレーニング(反動動作を強調したトレーニング)ということもできるでしょう。

 

(3)加圧トレーニング

加圧トレーニングでは、負荷がきわめて軽いにもかかわらず、筋の活動レベルは高負荷の場合と同じです。この理由として、血流を阻害した場合、低酸素状態でも十分分にはたらくことのできる速筋線維が、やむをえず使われるためだろうと私たちは考えています。

以上3種のトレーニングは、うまく行えば大変効果の大きなものですが、いずれも「サイズの原理」に対するアンチテーゼを含む点で共通するのが興味深いところです。』

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