勝負脳の鍛え方|ニュースレターNO.203

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早いものですね。もう11月も10日を過ぎました。さて、以前からお知らせしている11/29と12/20の「リ-コンディショニング講座」ですが、いずれもあと1-2名なら参加していただける状況です。

今回の講座では、リンパドレナージュはもちろんですが、モビリゼーションの新しいテクニックとメディカルストレッチングについて、現場で使える特殊テクニックをお教えする予定です。非常に効果的なテクニックですので、トレーナーの必殺テクニックとして習得されればよいと思います。

それから先月、ナップから「新スポーツ外傷・障害とリハビリテーション」という本が出ました。この本は、1996年に山海堂から出版され14、15刷が再版されていたのですが、昨年の12月に山海堂が倒産してしまいました。学校のテキストで使っていただいていた方が多くおられたようで、5月にもう出版されないのかという声をいただきました。

それで、ナップさんのほうから、改訂版という形で出版することになり、先月末に何とか出版することができました。読んでいただいた方からは、見やすくわかりやすいものになったとお褒めのことばをいただきました。興味のある方は、ぜひお買い求めください。

さて、今回は脳の話を話題に上げたいと思います。北島選手が北京オリンピックで優勝した際に、話題になったのが「勝負脳」ということばでした。そのことばをキーワードに捜してみると、林成之氏の「<勝負脳>の鍛え方(講談社現代新書2006)」という本が見つかりました。

脳神経外科医が書かれた本ですが、非常に読みやすくわかりやすく書かれています。このドクターは脳低温療法を開発した方です。このように書いていたら、先日の日曜日、テレビ朝日の「近未来ジキルハイド」という番組でも紹介されました。その番組には林成之氏も出演されていましたので、見られた方も多いと思います。

著書を読んでいくうちに、ますます「脳」というものに興味を持ちました。この著書以外にも「脳」に関するものを何冊か読んだところ、“筋肉が先か”“脳が先か”、非常に面白くなってきました。脳にたくさんの知識と経験による情報をインプットし、それらの情報のネットワークを蜜に広げていくことで、いろんなことができるようになるといいます。

また、私が常に学生たちに話している「思い続ければ必ず思いは遂げられる」ということも書かれていました。そして、目的を設定し、その目的を達成するために目標を設定するということも正にピリオダイゼーションに通じるものがあります。ここに紹介するのは、アスリートを指導する指導者にとって役立つほんの一部です。

本を読まれれば、指導者のみならずアスリート自身にも思い当たるところがたくさん出てきますし、自分がこれから何をどうして行かなければいけないかということもわかると思います。

『日本では昔から、勝負に勝つためには「心・技・体」が大切であるといわれてきました。私たち外科医の間でも、極限状態で運び込まれてきた救急患者を助ける場合、この言葉がよく使われました。

「技を鍛え、それを可能にする体を鍛え、集中力を高めて勝負に挑む」

これが心・技・体であり、おそらく多くのみなさんは、勝負においてはこれを会得することが大切なのだと考えているのではないでしょうか。

しかし、スポーツの世界では、この程度の考え方では国内レベルの大会には通用しても世界的なレベルの勝負には通用しない段階にきています。勝負に勝つためには、もちろん心・技・体の鍛錬は大切です。しかしその中身は、もっとはるかに科学的なものでなければならないのです。

たとえば、技を鍛えるためには猛練習が欠かせないとよくいわれます。しかし、優れた技を身につけるためには「忍」とか「辛抱」といった言葉を思い浮かべながらひたすら苦しい猛練習に耐えるだけでよしとするわけにはいきません。

たしかに前に述べたように運動知能は表現知能のひとつですから、これを高めるためには訓練の反復が必要です。しかし、その際はモジュレータ神経群の機能を高めて、記憶と心を連動させること、具体的には、常に気持ちを込めた練習を日常化し、意欲と集中力を高め、感動や楽しむ心を大切にすることが必要なのです。

コーチに怒鳴られながらやみくもに猛練習するだけではなぜ効果的な方法とはいえないかを説明しましょう。

若い選手を育てる方法として、「おまえはできない、だめだ」と叱りながら意欲を高め、その成果を引き出そうとする指導がよくおこなわれています。新しいことや正しいことを強制的な力をもって植えつけるという意味で、この指導法にもプラスの効果があることは私も否定しません。しかし反面、見逃してはならないマイナスの作用もあるのです。

人間には自分を守りたいという自己保存の本能があります。しょっちゅう叱られていると、脳は苦しくなって、脳自身を守るために叱っている人の話を受け流すようになります。その状態が慢性化すると、だんだん人の話を真剣に聞かない脳ができあがっていきます。その結果、間違った考え方を持っても気づかない、少し違っていても気に留めない、訓練が長続きしない、習得がなかなか難しいといった困難から逃げてしまう脳、いわば逃避脳をつくりだす結果になってしまうのです。

本来、スポーツとは、ライバルと競い合うなかで「自分を高める機会を与えてくれたライバルを尊敬できる人間性を育む」「何事にも手を抜かない努力によって、能力を高めていく習慣を獲得する」、困難を乗り越えるとすばらしい勝利の幸福感を味わうことができるという体験によって「達成率を高める才能を育てる」などの教育を可能にします。

学校のクラブ活動ではそうした教育的効果が目的であり、試合に勝つことはそのための目標にすぎないはずなのに、勝つことを目的においてしまうと、成果主義の考え方が生まれ、やみくもに「できない」と叱ることになります。

みなさんも経験があると思います。先述のように日々叱られながら訓練を続けていると、人間は人の話を聞かないようになり、その結果、話を集中して聞く能力が衰え、頭も悪くなって覚える力や思い出す力が弱くなり、自分で創意工夫して解決していく力も養われなくなるのです。

さらに問題なのは、脳を守る自己保存の反応は、とくに子供において出やすいということです。叱ってばかりいる両親のもとで育った子供は、人の話をよく聞かないことで自分の脳を守っています。親は、よい子に育てようとして叱っているつもりが、じつは子供をだめにするように育てているという落とし穴にはまっているのです。

したがって指導者は、苦しい作業ではあっても、失敗した理由を一つ一つ丁寧に教え、その具体的な解決策を明らかにして訓練させることが大切なのです。』
『勝負脳を鍛えようというみなさんにまずお勧めしたいのが、サイコサイバネティックス理論について理解し、応用することです。何かおどろおどろしい響きにも聞こえるかもしれませんが、目的実現理論とも自動達成装置ともいわれ、人間が目的を達成するにはどうすればよいかを明快に説いた理論です。

1960年代にマックスウェル・マルツというアメリカの形成外科医が提唱したもので、マ〃ツはその後、心理学者として名声を博しました。彼がこの理論を思いついたきっかけは、自分のクリニックで顔を整形した女性のなかには、どれだけ美しくなっても満足しない人もいれば、たいして変わっていないのに別人のようにその後の人生を積極的に過ごす人もいることに気づいたからだといいます。

彼はそこから、人間が成功するか否かは現象の受け取り方次第であり、成功するイメージさえ持っていれば必ずそこにたどり着くことができる、という理論を考えだしたのです。

具体的なアドバイスとしては、できるだけ陽気にふるまう、他人に好意的にふるまう、そうありたいと思っている自分になったつもりで行動する、悲観的なことは考えない……といった習慣づけをすることが推奨されています。

本書では、みなさんに勝負脳を鍛えていただくために、この理論を私なりにアレンジして述べようと思います。モジュレータ機能とイメージ記憶という脳の特性を踏まえたうえでの応用展開です。オリジナルの理論とは少し内容が変わっている点をご了承ください。

人間の脳は非常に柔らかく機能するようにできており、あらゆる局面や状況変化に対して変幻自在に方向を変えるボールのような性格を持っています。そんな人間の脳がつくりだしているこの社会は、常に進歩する方向にあるので、現状を維持しているままでは、努力を怠っているわけではなくても結果的にとり残されていきます。

つまり、私たちは常に下り坂の方向を向いて立っていることになります。これはスポーツに限らず、あらゆる仕事においても共通で、「現状維持は衰退の始まり」といわれるゆえんです(図8)。

この下り坂にいる私たちが方向を変えて坂道を駆け上がり、目的を達成するためには、何を考え、何をしたらよいのか、脳の習性をもとにその答えを導き出そうというのが、サイコサイバネティックス理論なのです。

人間が行動を起こして目的を達成するためには、次の三つの作業が必要となります。

①目的と目標を明確にする。
②目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する。
③目的を達成するまで、その実行を中止しない。

こんな簡単なことならいわれなくてもわかっている、と思われるかもしれません。しかし私たちは日常、こんな簡単なことさえできない生き方をしているのです。

①目的と目標を明確にする

私たちはよく「頑張ります」といいますが、これでは何も変わりません。これから運動の何をマスターするために頑張るのか、仕事の何を達成しようと頑張るのかをはっきりさせなくてはならないのです。

とくに重要なのは、目的と目標をしっかり区別して考えることです。そうすることで、自分が最終的に望んでいる目的とは何なのか、そこに到達するために必要な目標とは何なのかが、より明確になってくるはずです。この目的と目標の区別が明確でないと、それらを達成するための具体策が的確なものにならない、ということが起きます。

たとえば、野球の一流選手になることが目的だとすると、一流になるためには何を鍛える必要があるかが目標になります。ピッチャーがバッターを三振に仕留めることが目的だとすると、バッターが少し前屈みで構えているのでアウトコースの低めにはバットがスムーズに出るだろうから、内角高めギリギリのストライクを狙うことが目標になります。

目的と目標を区別しないで三振をとろうとすると、自分の得意な豪速球で仕留めようとして力一杯ボールを投げることになります。結果は、圧倒的に前者のほうが成功率が高いのです。すぐれた勝負脳の持ち主は、決して目的=勝負の結果に執着しません。勝つためにどのようなゲームプランを立て、何を目標に戦いを進めていくかというプロセスに常に気持ちを集中させることが、結果として目的達成につながることをたくさんの勝利の経験からイメージ記憶しているのです。

②目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する

次に、自分はここまで達成しているけれど、ここが不十分なために運動が上達しない、あるいは試合で力が発揮できないのだと認めることが大切です。これによって問題を解決する具体的な方法を私情抜きに厳しく追求できるのです。

自分の弱点を認めないまま、チームでは自分が一番うまい選手だと考えて練習しているようでは、上達も遅く並の選手にしかなれません。「前回負けたので今度はもっと練習して頑張るぞ!」というだけでも、負けた理由や自分が鍛えるべき内容が正しいか否かが不明なので、また負ける可能性があるのです。

負けた理由を分析し、何が自分に欠けていたかをあらゆる角度から検証し、批判を受け入れて、それを解決する具体策を立てることが目的達成の条件になります。次の試合までに時間がある場合は対戦相手も成長してくるので、より厳しい目標を掲げる必要もあるでしょう。できるだけ高いレベルのコーチや一流選手の視点から評価を受けると、上達も早くなるうえに、到達できるレベルも高くなってきます。

③目的を達成するまで、その実行を中止しない

②で述べたような目標や具体的な解決策が明らかになっても、多くの場合、それがすぐに達成できることは非常に少ないものです。なぜなら、選手がそれを達成できないのは本人の技術不足のほかに、達成するための環境が整えられていないためであることがしばしばだからです。具体的には、練習する場所がないとか指導者がいないといった、自分の努力だけでは解決できないたくさんの要因が考えられます。

人間は目的や目標が達成できないと、あれは難しいとか、これは無理だとか、いろいろな理由をつけて方向転換しようとします。これも、自分の脳を守る自己保存の本能に従った考え方なのです。練習場がないといった自分では解決できない事情があれば、なおさら強力な理由になるでしょう。

しかし、そうした理由から自分では賢い選択だと思って方向転換したとしても、最初にめざした目的からはずれたという事実は変わりません。目的は達成されず、そこには計画したことができなかったという現実だけが残ることになります。そして、一度これを体験して癖になってしまうと、何をやってもいつも目的が達成できない脳になってしまうという仕組みが人間の脳にはあるのです。

私たちは、古くから体験的にこのことを知っているので「初心忘るべからず」という言葉を大切にしているのだと私は思っています。

迷ったときは初心に帰れです。最初の目的を常に忘れず努力していると、遅かれ早かれ力は必ずついてきます。誰でも初めは実力がないので自分にはできそうもない気がするものですが、ここに紹介した①目的と目標を明確にする、②目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する、③目的を達成するまで、その実行を中止しないという三つを守ることができれば、人間は必ず目的を達成する習性を持っているのです。

そのことさえ理解していれば、非常に困難と思われたことでも、時間はかかるかもしれませんが必ず達成できます。私がほかのスタッフとともに、社会復帰どころか救命さえとても無理だと思われたたくさんの患者さんを、後遺症も残さずに社会復帰させることができたのも、このことを知っていたからです。

だから、やみくもな「頑張れ」とか「頑張ります」はだめなのです。大きな目的と正確な目標をはっきりと掲げ、目先の損得にとらわれず、初心を大切に達成の努力を持続することが成功につながることを脳は示しています。

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