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心技体と思考|ニュースレターNO.204

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このニュースレターも通産204回目となりました。200年6月が最初だったので丸8年が経過したということです。一つ一つの積み重ねで今回を迎えられることになったのですね。11月と12月のリ-コンディショニング講座も無事開催できることになりました 。

尐しでも現場で使えるテクニックを習得していただく機会がもてることに感謝したいと思います。それで、この時期に動けない方もおられるということで、来年度の開催を希望される方も多いとお聞きしました。そこで、1月、2月、3月と開催することにいたしました。

今回受講できなかった方は、このときを御利用ください。身体調整法を習得されるだけでなく、いろんなことに気づかれることと思います。

さて、今回は前回のニュースレターで紹介した林成之氏のもう一冊の著書「思考の解体新書(産経新聞出版2008)」を紹介したいと思います。

この著書は最も新しいもので、内容も細かなものになっています。脳の話しは難しいものなのですが、この本を読みすすめていくと、いまさらながら指導のあり方というものが見えてきます。脳にいろんな情報を提供すること、その情報は目から、耳から、体験から得ることになります。

それらからの情報を脳に残るようにする必要があります。残らなければ使えないことになり、応用が利かないことになります。情報を記憶として残すためにはどうしたらよいかということです。残すことが指導であるということです。いろんな情報が脳の中で結びついて巨大なネットワークが構築できれば、素晴らしいパフォーマンスを発揮することができるということです。

指導者として何が問題になるのかというと、選手に考えさせることが必要だということです。指導者の言いなりに、指示通りに従ってやっているだけでは上手くならないということです。すなわち、理解ができていないということです。理解できればできるということではなく、なぜできないのか、なぜ上手くできるのか、それを理解するということです。

試合の結果についても、なぜだめだったのか、なぜよかったのか、それを理解していくということです。日々の練習についても同様です。それらの理解が情報となり、新しいネットワークを形成し、ある日突然できるようになるということのようです。脳について難しい本は読めませんが、この本は読んでいていろんなことに気づくことができる本であると思います。興味のある方は、ぜひ一度読んでみてください。

『我々の脳は、どのような条件になったら脳の中で心技体が一体になって機能する考えが生まれてくるのでしょうか? 目にするものや耳にした情報はA10神経群に運ばれ、これは面白いとか、嬉しいとか、危険だといった情報のレッテルが貼られ、頭の前にある前頭葉の前頭前野に届けられます。

その情報が報酬神経群を介して線条体-視床-A10神経群-辺縁系連帯機能によって構成されるダイナミック・センターコアへ再度フィードバックして、考えやその記憶が可能になることは先に述べたとおりです。その考えの情報は視床を介して運動を行うために機能する大脳皮質、小脳の神経細胞、知覚空間知能中枢に伝えられ、考えに従った運動が行える様になっています。

心技体の達人の運動能力を発揮するためには、この神経群を如何に最高レベルで機能させるかが求められます。そのためには、自分からやる気を起こし、自分から興味を持って、自分に対する報酬を期待しながら考えをめぐらす重要性についても説明してきました。

ここでは、さらに、何が凄い能力を発揮するかについてトリガーに関する話題に焦点を当ててお話しすることにします。

実は、前頭前野の情報をダイナミック・センターコアに持ち込む報酬系神経群は、ダイナミック・センターコア内で線条体の腹側淡蒼球・淡蒼球内節、さらに黒質網様部、視床を介して運動系や知覚系や自律神経系などあらゆる脳の重要部位と連絡をつくっているのです。しかも、これらの神経群は、幾つかの神経ホルモンの影響を受けて機能するので、人間の性格、行動パターン、環境や状況などによって、この報酬神経群の機能が変わる側面を持っているのです。

この神経に関する研究は、学習機能として注目され、これまで数多くの動物実験による研究が行われてきました。動物の学習は報酬によって成り立つことから動物も人間も共通して、報酬を獲得する際に機能する報酬系神経群と言われるようになりました。

つまり、我々の考えは報酬をトリガーにして生まれていると言い換えることができます。なんだか猿が餌の報酬をもらって芸をする話とよく似ていると思われた方もいるのではないでしょうか。確かに、報酬系神経群と言われるのは、この神経の破壊実験でも、外傷による脳損傷でも動物と人間が共通して、報酬に対応する行動や考えがうまく学習できなくなることが明らかにされているからです。

・・・略・・・

人間においても、一つの作業を成し遂げると賞金をもらえるようにすると、競ってその作業を達成しようとします。他から与えられる報酬を目指してラットや猿が餌を手にするのと同様に頑張ります。しかし、人間の報酬系神経群はプールで泳いだラットと同じように、生きたい・知りたい・子孫を守りたいという本能や心とも関連して、自分に対する報酬を期待することによって考えを引き出す機能を果たしている側面も見えて来ました。

従って、自分に対する報酬の考え、つまり、お金や地位が得られるだけではなく、自分が嬉しい、楽しい、幸せな思いが出来るという報酬のみならず、人間性を高めたい、考える能力を高めたい、あるいは、スポーツが上達したい、同種既存の本能でもある仲間や家族のためにという考えも、自分に対する報酬に含むことができ、その気持ちを高めて行くと、ダイナミック・センターコアにおける思考のうねりが増々大きくなり、ものすごい脳力を生み出すトリガーになるのです。

当然、その考えが強いほどその目的を達成する確立が高くなるのです。

「頭が良くなればいいなー」と考えるのではなく、期限を決めて、必ず「考える能力を高める」というように強く自分に対する報酬が得られる条件を決めて前向きに対応すれば、人間の考える仕組みをより活性化するのです。

ここで、前向きにという考えを強調したのは、実は、他にも理由があるのです。それは、この報酬神経群は主にドーパミンやバゾプレシンという神経内分泌ホルモンによって神経機能を果たしていることが確認されています。ドーパミン神経伝達物質は人間の性格にも影響し、前向き思考の明るい性格を築くので、自分の性格から前向きになるよう心がけると報酬系神経群をより機能的に使えます。

事実、ドーパミンが脳内で欠乏すると自分に対する報酬意識が低下し、やる気や意欲も低下し顔の表情も消えて来ます。それと同時にダイナミック・センターコアの機能も低下するため考える力も弱くなり、考えと運動機能のマッチングも悪くなり、運動能力のセンスも悪くなります。

「気合だ」「やるぞ!」と言うのもまさしく、心技体の運動を導き出すトリガーになるのです。しかし、気合だ! 頑張るぞ! だけでは実力以上の力や誰にも負けない心技体の運動能力を発揮することは出来ません。気合と集中力だけでは最大の運動能力は発揮出来ないのです。』

『以前に、目的を達成する成功の理論、サイコ・サイバネテック理論を紹介したことがあります。目的とそれを達成するための目標を区別し、目標を達成するために必要な具体的な方法をすべて明確にし、それを、達成するまでどんなことがあっても最後まで忘れないで実行するという、わずか三つのことを確実に行うと人間は必ず目的を達成することが出来るというシンプルで核心を突いた理論です。

ここで重要な点は、この中に、失敗の可能性を出来るだけ持ち込まないことが目的達成のポイントとなります。

具体的には、「金メダルを取るために頑張る」という意見をよく耳にしますが、金メダルを取れない場合があるという失敗の可能性があるので、「金メダルを取る」は目的にし、そこから考えを切り離して、目的を達成するために、何を訓練し、相手の得意技を超えるためにはどんな技や技術を身につけ、人に感動を与えるようなプレーをどのようにするかなどといった成功のイメージをつくり、目標に向かって集中力を高めることが大切です。

ノーミスで演技するという考え方も、失敗の因子が大きいので、成功の集中力をつくることは難しくなります。

ここで、人間の思考と運動能力がどのように関係しているかの関係を見ながら、最高の力を発揮する集中力とはどのような形でつくられてくるか順をおって解説することにしましょう。

(1) 集中力はダイナミック・センターコアの中でもA10神経群の視床下部を中心に、体の機能を最大限に発揮する運動機能とも関連しながら発生する様になっています。このシステムを動かすのは、前頭前野から線条体に向かう自分に対する報酬神経群なので、自分を高めたい、土壇場で最高の力を発揮したい、演技に誰よりも集中している自分を見て感動してもらいたいなどと、自分に対する報酬を考えることによって集中力を高めることが出来ます。

自分に対する報酬神経群の機能から集中力が生まれるので、人から集中力を高めろと言われてやっているようでは、集中力は低いレベルにとどまります。自分から達成の集中力を必ず身につけると考えることが非常に大切なのです。

(2) 達成の集中力を身につけたいと自分で強く考えると、線条体と手足を動かす際の細かな運動を調整する錐体外路系が機能し、意識しなくても微妙な運動機能が連動する、いわゆる心と運動が一体になった心技体の運動ルートがつくられて来ます。

このとき、重要な点は、うまくゆきそうもない、勝てそうもない、といった否定的な考えが尐しでも出ると心技体の運動ルートは出来なくなります。勝つか負けるかではなくて、どのような勝ち方をするかとか、どのように成功させるかといった常に成功のイメージで集中力を高めることが大切なポイントとなります。

負けて元々と考えて思い切りやったらうまくいったというのは、かろうじて心技体の運動ルートを脳の中につくれたからなのです。勝負脳の考え方から言えば『負けて元々』は、決して良い考え方とは言えません。

(3) 面白いことに、この心技体の運動神経ルートをつくるのにいくつか促進系の神経機能があります。一つは、線条体を構成する尾状核は意味不明語を処理しているので、呪文とはいかなくても、体操の具志堅選手が精神統一として行っていた意味不明語、あるいは、野球の桑田選手がボールを投げる前に口の中でつぶやいていた言葉などが、意のままに手足を動かす心技体の運動神経ルートをつくるのに効果的と言えるでしょう。

もう一つは、試合に負けて悔し涙を出す選手は、おおかた「ここぞ」というときに力を発揮して勝負に強い選手になることはよく知られています。その理由は、人間の危機的意識を強く感じる扁桃核が働くためで、我々は、せっぱ詰るとやっと力を発揮する。あるいは、弱い動物でも追い込まれると死にものぐるいで実力以上の力を発揮して向かってくることも可能になるのです。

負けて人以上に悔しい思いをすることは、決して恥ずかしいことではなくて、誰もが持ちたいと願っている「達成する集中力」を発揮するために非常に大切なことなのです。

(4) 我々は、気合いが入ってくると、脈が早くなり、顔も赤くなってきます。これは、人間の集中力を生み出す場所がA10神経群の中でも、自律神経機能と密接に関係している視床下部の機能が高まるからです。運動能力を最大限に発揮するためには、心臓や呼吸器の機能を高め、全身の循環血液量を増やすために脈を早め、同時に、手足の筋肉も強く働かす必要があります。

その働きを行っているのが交感神経によって放出されるカテコールアミンという神経ホルモンです。しかし、この神経ホルモンが必要以上に出ると手足の筋肉が収縮して体が固くなってしまい、運動もうまく出来なくなります。これが、緊張状態のとき体の中で起きている現象です。

負けたらどうしよう、負けたくない、勝ちたいといった考えは、全て自分を守りたいという自己保存の仕組みが脳で働くために発生します。これまで紹介してきた様に、脳卒中の病気でも、あるいは、人間の考えでも、自己保存の過剰反応が起きると、自分かあるいは他人が傷つくという生命の掟が発生します。

この場合、生体防御系の視床下部・下垂体・副腎系が過剰に働くことになるのでカテコールアミンが過剰に放出され、脈が速くなり、筋肉も収縮して硬くなって思う様に運動が出来なくなります。この状態をコントロールする方法は二つあります。その一つは、自信、もう一つは、副交感神経を活性させることです。自信の話はこの章の最後に詳しく紹介することにして、ここでは、成功する集中力の話題に絞ることにします。

緊張状態でカテコールアミンが過剰放出されない様にバランスをとっているのが、副交感神経です。本来は、交感神経・副交感神経は意のままにコントロール出来ない神経ですが、一つだけ自分の意志によって変える方法があるのです。それは、呼吸法です。息を吸う時は交感袖経、息を吐く時は副交感神経によって支配されています。

緊張したら深呼吸をすると体験的に知っていますが、正しく的を射た方法ではありません。正確には、息を大きく吸って手足を延ばしながら出来るだけ長く息を吐くと副交感神経の機能を強く働かせることが出来るようになります。普段から、このような呼吸とストレッチ運動を組み合わせた訓練を行っていると緊薦状態の中でも集中すると運動能力を充分発揮出来るようになります。

その一つの方法として空手の型をする時の呼吸法を身につけておくと、達成の集中力を高めることが出来ます。

(5) どんなスポーツであれ集中力は非常に大切です。・・・略・・・勝敗を分ける一瞬の集中力を発揮する場合、そこには、空間認知知能を発揮して無駄のない運動能力を発揮するための目線や体の姿勢など、幾つかの共通したものがあります。皆さんも、これらの競技において成果を上げる選手はどんな目線と姿勢で勝負しているか思い起こしてください。

その答えは、水平な目線と体の正中に支点をおいた運動バランス姿勢です。・・・略・・・このように、目線を水平に保つことは意外と難しく、フィギアースケートの三回転半ジャンプを行う一流選手でさえも目線が水平でない姿勢から飛び上がると失敗しています。

何故、目線がわずかに傾くと最大の力を発揮出来ないかは、腰の傾き、その腰につながる足が十分機能させられないことと、脳細胞の左右統一・一貫性を基盤に働く空間認知知能を十分機能させることが出来ないからです。このために体のバランスのみならず目的とする自分の体や相手との間合いを正確に判断するのに一呼吸遅れるからです。

従って、普段歩く時から目線と腰を水平するように心がけ、左足がどうしてもうまく平行にバランスよく利かせない場合はトラックを走る陸上トレーニングは逆方向周りの走行訓練を薦めます。・・・略・・・

(6) 集中力を高めイメージ記憶を駆使して目的を達成するスポーツが沢山あります。成功のイメージ記憶をつくるためには、空間認知知能を正確に機能させる必要があります。そのためには、目的物を左右の目線の中央、あるいは、体の中央においてイメージをつくる必要があります。

大リーガーのピッチャーでコントロールが優れていると言われている選手は、ほとんど、ホームベースの方に向かって正対し、イメージをつくってから投球に入っています。利き目の目線に合わせて片方の目線で対象物を見ている、例えばゴルフのパッティングを行う選手がいますが、この場合は、脳の空間認知知能を発揮する神経細胞の統一・一貫性から微妙に外れるので実物と違った認識のイメージで見ている可能性があるのです。

そればかりか、その観察に従って動かす手や腕の動きも微妙に外れた動きになるので急にパットがはいらなくなったりします。・・・略・・・ところが、これを体の正中線から外れたところで行えば行うほど空間認知知能の神経細胞がこだわる統一・一貫性の機能からはずれるので五円玉はイメージどおりに動かなくなります。黒板の字を前の横から斜めに見ると、その字をほとんど記憶することが出来ないのも同じ理由からです。

(7) 正確なイメージ記憶を持って達成の集中力を身につけるためには、体の正中、目線の中央で対象物を観察し正確にメイージするメリットは、実は、これだけではないのです。それは、運動には手足を最も強い力で、最も疲れないで、正確に動かす運動のライフラインが存在します。

その運動を可能にするためにライフラインを力学的に固定する支点が生まれます。その支点は競技の内容によって異なりますが、この支点をイメージ出来るか否かは実力以上の力やスーパープレーを導きだす重要な達成の集中力の源となります。・・・略・・・』

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