脳は疲れない|ニュースレターNO.205

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前回のニュースレターで、来年の1月、2月、3月とリ-コンディショニング講座を開催するとお知らせしましたが、要望もあり、2月の講座はコンディショニング講座として「ランニング」と「スローイング」について、その指導法とトレーニングについてやることにしました。

3月以後の講座の開催は恐らく秋になると思いますので、都合のつく方はぜひ参加ください。また、11月のリ-コンディショニング講座の感想はホームページに掲載されておりますので、ぜひご覧ください。講座は休みなく手技が続きますので、講座中はいろんな話ができません。

とにかく手技の取得に集中されますので、受講される方は、講座だけでなく、その後に行います懇親会にも参加ください。11月の講座では5時間ほどいろんな話が飛び交い、講座の内容以外にいろんな情報が得られたと思います。また、受講者同士のつながりもできますので、そんな機会に交流を深めていただけたらと思います。

さて、今回のニュースレターは、また脳の話しになります。脳科学者池谷裕二氏とコピーライター糸井重里氏の対談書「海馬-脳は疲れない-(新潮社2006)」ですが、非常にわかりやすい話で海馬について語られています。

その中に、「眠っているあいだに、考えが整理される」、「やる気を出すコツはたくさんある」というテーマで語られているところは、指導においてもいろんなヒントが得られると思います。夢は何のために見るのか、睡眠時間は何のために必要なのか、やる気を出すためにはどうすればよいのか、解っているようで解っていないことがわかるようになると思います。

『池谷 すべての動物はさまざまなバイオリズムを持っているんです。歩調のリズムとか、心臓の鼓動リズム、呼吸のリズム、まばたきの瞬目(しゅんぼく)リズム……はては、飯前にお腹が空くとかも含めたさまざまなリズムがあります。いわゆるバイオリズムですね。秋になると食欲が増すなどといった長周期のリズムもたくさんありますよ。

オリンピック選手は四年に一度の大会に向けて、自分のすべてのバイオリズムのピークを合わせるコツを本能的に知っていると言われています。

その中でもいちばん有名なのはサーカディアンリズムという、一日のあいだの「寝て起きる」みたいなリズムです。睡眠のリズムがいかに脳にとって重要かはずいぶんと言われています。

海馬はもちろん起きている時にも十分活動しているんですけど、寝ているあいだにもすごく活動するのです。だからもう四六時中はたらいているんですけども、眠っているあいだには何をしているかと言うと、夢をつくり出しています。

糸井 海馬が夢をつくり出すんですか?

池谷 厳密に言うと海馬を含めた脳全体が関与していますが、海馬は「今まで見てきた記憶の断片を脳の中から引き出して夢をつくりあげる」という役割を担っています。

夢というとどうしても幻想的なイメージがありますけれど、実際はそんなことはありません。ネズミで実験してみるとわかります。その日にあったことが、たいていその直後の夢の中で思い出されているんですね。海馬の神経に電極を埋めてネズミを眠らせると、起きていた時にはたらいていた神経細胞が、夢の中でも反応している・・・・・・つまり、その日にあった出来事をくりかえしているんです。

朝起きて憶えていられる夢は1%もない、と言われるぐらいです。もし憶えていたら夢と現実の区別がつかなくなって、生活が送れなくなる危険性があるのです。しかも夢というのは、記憶の断片をでたらめに組み合わせていく作業です。ぜんぶを憶えていたら、前後の区別のつかない人間になってしまう。

糸井 夢のあいだに起きていた時の記憶を引き出して、海馬はいったい何をしているんですか?

池谷 情報を整理しています。睡眠は、きちんと整理整頓できた情報をしっかりと記憶しようという、取捨選択の重要なプロセスなのです。だから「夢を見ない」というか「眠らない」ということは、海馬に情報を整理する猶予を与えないことになります。

つまり、その日に起きた出来事を整理して記憶できなくなってしまう。

ですから、睡眠時間は最低でも六時間ぐらいは要ると言われています。もちろん個人差はあるのですが、六時間以下の睡眠だと脳の成績がすごく落ちるということは、ここ二年ぐらいのあいだに科学的な証明がなされました。

糸井 睡眠が足りないということは、海馬に情報整理の仕事をさせる時間を与えないということかぁ。徹夜続きで頭を使っているつもりになっていても、それは長い目で見たら、行き詰まりに向かって突進しているようなものですね。気をつけよう。

池谷 毎日のリズムを崩すことが海馬に非常に悪影響を与えることもわかってきました。時差ボケのような状況に陥ると、ストレスで海馬の神経細胞が死んでしまうという実験結果が出たんです。ある航空会社では、その実験が報告されてから「客室乗務員のスケジュールを一から見直そう」という動きに出たそうですよ。客室乗務員はそれこそ常に生活リズムを崩すような生活になっているのだけれども、やはりリズムを守れるように、と。

海馬を殺さず、なおかつ海馬を眠っているあいだに活動させるということは大切だと思います。

糸井 航空会社も、サービスに支障をきたすから「スケジュールを見直す」という判断をくだしたのですね。

池谷 ええ。海馬がだめになっちゃったら、活躍できませんから。

糸井 眠っているあいだ、海馬はどうやって記憶を整理するのですか?

池谷 海馬の神経細胞はぜんぶで1000万ぐらいありますが、それに仮に一、二、三、四・・・・・・と番号を振ったとします。今ぼくは二番と五番を使って話しているとしますよね。

そうしたら今夜寝ているあいだには、「朝は一番を使ったなあ。夜中には四番を使っていたな、夕方には二番と五番を同時に使って糸井さんと話をしていたよな」と思い出しながら、急に二番と四番をつなげたり、二番と一番をつなげたり・・・・・・新しい組み合わせをつくり出してみるんです。それで整合性が取れるかどうかを検証しているようなのです。

そのあいだに眠っている必要がなぜあるかと言うと、外界をシャットアウトして、余分な情報が入ってこないようにして、脳の中だけで正しく整合性を保つためです。

糸井 それって、すごく大事なことですね。眠ること自体も大事な仕事として位置づけるのが、これからの課題ですね。

池谷 ええ。「どんなに忙しくても、睡眠を取らなければいけない」という事実が、すごいなあと思いますよ。人生七五年で平均7時間睡眠だったとしても、二二年近く眠っていることになります。

やりたいことに追われている人にとっては、一見すごくムダな時間に見えるけれども、睡眠がないと人間がダメになってしまう。強引に睡眠を奪ったとしたら、海馬は記憶の整理整頓を、今度は起きているあいだにはじめるんです・・・・・・つまり幻覚が見えることになります。

糸井 幻覚で夢の代用をさせるほど、夢は大事だということでしょう。何か、いろんなことを考え直さなきゃなあ。

池谷 眠っているあいだに海馬が情報を整理することをレミネセンス(追憶)といいます。これはとてもおもしろい現象で、たとえばずっと勉強していて「わからなかったなあ」と思っていたのに、ある時急に目からウロコが落ちるようにわかる場合がありませんか? それはレミネセンスが作用している場合が多いのです。ピアノの練習をいくらしても弾けなかった曲を、次の日にすらすらできてしまったり。

糸井 あれは脳が夜、情報のつなぎ換えをしているうちに、できるようになったのですか?

池谷 そうです。

糸井 眠っているあいだに、ずいぶん高度なことをやっていますね。

池谷 はい。しかも、それは脳に任せておけばいい作業なんです。ぼくたちがしなければいけないことは、「ただ、眠るだけ」。

だから、このレミネセンスを生かすには、一眠る前に一通り仕事をやってみるという工夫があるといいでしょう。そうすると、眠っているあいだに脳が無意識のうちに考えてくれるので、仕事もよりはかどると言うか。たとえば、仕事の〆切がまだまだ先であっても、早めに書類などに目を通しておくということは、とても重要な姿勢だと思います。

ちなみに、夢を見る刺激を与える物質も、さきほどやる気を与える物質と言ったアセチルコリンなんです。ですから風邪薬のようなアセチルコリンを抑えるものを飲むと、情報が整理できない睡眠になってしまいます。

糸井 自然な睡眠でないと、いわば質の悪い睡眠ということになるわけだ。

池谷 はい。……もちろん、アセチルコリンを抑えるのを怖がりすぎて風邪がひどくなっちゃったら本末転倒ですから、薬は飲んだほうがよいのですが、「明日は勝負だ」という時には慎重になったほうがいい、ということですね。

糸井 みんなに教えてあげたいなあ。眠れ、と。』

『池谷 「やる気は側坐核から生まれる」と言いましたが、そのやる気をいかに持続するかもとても重要になります。

糸井 一瞬のやる気なら、誰でもいくらでも出してるもんなあ。

池谷 小さなコツとしては、「自分に対して報酬があると、やる気が出る」などということがありますが、内発的な達成感などもやる気を生み出します。

達成感がA10神経という快楽に関わる神経を刺激して、ドーパミンという物質を出させ、やる気を維持させる。動物に「あるボタンを押すと、A10神経を刺激される」という実験器具を渡すと、もう、ご飯も食べないで死ぬまで押し続ける。それだけ快楽があるというわけですね。ちなみに、ぼくたちがふつうに「あの犬、かわいい」と言っている時でさえ、これは一種の快感ですから、このA10神経が刺激されています。

糸井 快感は何より大きなごほうびですものね。

池谷 達成感という快楽をいかに味わうかと言うと、「目標は大きく」ではなく、「目標は小刻みに」と心掛けるほうがうまくいくようです。もちろん、大きな目標を持つことは大切なのですが、「今日はここまでやろう」とか「1時間でこれをやろう」と、実行可能な目標を立てると、目標を達成するたびに快楽物質が出て、やる気を維持できます。

糸井 すぐ役に立つコツですね。目の前のニンジンが効果的なんですね。人間ってものをたいそうなもんだと思わないほうがいいね。

池谷 また、心理学の言葉で初頭効果と終末効果と呼ぶのですが、テスト時間内の最初と最後に能率があがるように、あることのはじめと終わりには仕事がはかどるんです。それを逆手に取ると、たとえば1時間何かをやるとしても、30分が2回あるんだと思うと、はじめと終わりが1回ずつ増えるから、よりはかどる……。脳との心理戦というか、脳をだますことによってアセチルコリンやドーパミンを出させるというのは、誰でもできることなんです。

糸井 脳をうまく活用するコツって、意外と多くあるのですね。そのひとつずつを、暗記しとかなきゃね(笑)。

池谷 ええ。自分に適した目標というのは、ほんとうに大事だと思います。いきなり高い目標を設定しても、なかなかクリアできません。

サルを使って実験をしている友だちがいるんですけど、彼は、サルにマルと楕円の違いを教えこむ時には、最初からマルと楕円を区別させようとしても、ぜんぜん憶えてくれないと言っていました。マルが出たらレバーを押すようにしつけることだけなら簡単にできる。だけど、そのままだと、楕円が出た時にもレバーを押してしまいます。

この時にぼくの友だちがやったことは、中間の課題として、マルと三角を区別させるんですよ。それは区別がつくんですね。そして成功した時にエサを与えるというように訓練すると、いつしかマルと楕円を区別できるようになる。だんだんと微妙な違いがわかるようになるわけです。

つまり、自分が今どういうレベルにいるのかをわきまえていないと、非効率的にものごとを追求してしまう危険性があるんですね。一足飛びには無理なのだったら、まずは途中にあたる課題に取り組んだほうがうまくいきます。スモールステップアップと言いますか。

糸井 そのサル、まるで自分のことのようです。

池谷 しかも、学習の過程で、より多くのミスをしたサルのほうが将来的には記憶の定着率がいいのです。

脳は、消去法のように、「ミスをした方向に再び進まないように次の道を選ぶ」という性質があります。三角なのにレバーを押してしまって罰を受けたら、これはむしろ脳にとっては飛躍のチャンスなんですね。「これは違うんだ」とわかった上で、次の道を選べるから。失敗をくりかえさないと、あまりかしこくならないです。

糸井 そのへんのことは、直感的にはみんなわかってますよね。でも、失敗を恐れちゃうんだよなあ。コツとして考えれば、もっとラクになりますね。まだまだたくさんコツはありますか。

池谷 脳をはたらかせる細かいコツは、たくさんあります。ブドウ糖を吸収したほうがいいとか、コーヒーの香りが脳のはたらきを明噺にするということも言えます。あとはたとえば、前に言った「扁桃体と海馬がお互いに関係し合っている」ということで言うと、扁桃体を活躍させると海馬も活躍します。

扁桃体をいちばん活躍させる状況は、生命の危機状況です。だから、ちょっと部屋を寒くするとか、お腹をちょっと空かせるという状態は、脳を余計に動かします。寒いのは、エサの欠乏する冬の到来のサインですし、お腹を空かせるのは直に飢えにつながりますから。

「腹が減っては戦はできぬ」と言いますが、確かに飢えていたら戦はできないけれど、尐しはお腹が空いていたほうが、脳はよくはたらきます。扁桃体をはたらかせる卑近な例としては、「感情に絡むエッチな連想をするとものごとを憶えやすい」ということがありますよね。

糸井 得意かもしれない、それ。』

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