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健康神話にだまされるな|ニュースレターNO.230

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今年最後のニュースレターです。ちょうど230回目となります。あわただしい一年でしたが、新たにいろんな方との出会いがあり、収穫の多い年でもありました。また、自分自身のこの先のこともいろいろ考えることができました。そして、自分自身のまとめとしての本(スポーツトレーナー虎の巻)も出版することができ、勉強会も各地で開催することもできましたので、よくやれた一年であったと思います。

今回のニュースレターは、前回プラシーボ効果で紹介した高田明和氏が書かれた「健康神話にだまされるな(角川書店2008)」です。この本を読んでやはり何事も疑いを持って観察したり、本を読んだり、人の話しを聞くことの大切さを再認識しました。マトヴェーエフ氏の教えのとおり、「木を見て森を見ず」とならないようにすることが大切だということです。
特に、マスコミに取り上げられるようなことや話は、信用しにくいものです。ほとんどが一面だけを見て取り上げている感があります。

上手い話に乗らないことは当然ですが、つねに「なぜ?」という疑問を持って事に当たりたいですね。有名な人が話していたからとか、偉い人が言っているというようなことがほとんどですが、その次に必要なことは、自分自身で検証することです。特に、スポーツトレーニングや治療に関することについは、実際にやってみることができるはずです。

この本は、健康神話について次の8つのテーマを取り上げています。興味のある方は、ぜひ読んでみてください。ここでは、序章のところから、いくつか取り上げて紹介します。

1、ビタミンEは寿命を延ばさない
2、DHA、EPAは寿命を延ばさない
3、牛乳は体に悪くない男牛乳が体に悪いというのは本当か
4、「ガンもどき」は存在しない
5、コレステロール値が高い方が脳梗塞になりにくい
6、食塩摂取を減らしても血圧はほとんど下がらない
7、肥満、糖尿病は砂糖の摂りすぎのせいではない
8、紫外線は体に悪くない

『誰でも健康で長生きしたいと願っています。また、病気になったらなるべく正しい治療を信頼できる医療機関で受けたいと思っているでしょう。

しかし、その情報は本当に正しいと確信をもてますか。正しいとしたら、その理由は何でしょう。新聞や雑誌に書いてあったからですか?テレビで放送されたからですか?あるいは一流大学の先生が話していたからでしょうか?それとも、お上、つまり厚生労働省が発表したからでしょうか?

しかし、厚労省の発表は常に正しかったでしょうか。薬害エイズ問題、C型肝炎問題、みなまたあるいは水俣病などについての行政の見解は正しかったでしょうか。

「たしかにそのような大問題はあった。しかし、一流大学の教授が長い間研究してきた結果だから間違いはないのではないか」あるいは「欧米の研究雑誌に発表された結果には間違いがないのではないか」、それを信じないなら、信ずるものがなくなるのではないかとお思いかもしれません。

ところが、科学が進歩してくると、研究成果の発表というのも簡単に信じられない、あるいは信じてはいけないということが明らかになってきたのです。

私が大学を卒業した一九六〇年代の研究の仕方は次のようなものでした。ある大学病院で診察、治療を受けた人のうちで、ある病気の人がどれくらいいるか調査をします。その人たちの食生活などを調べ、たとえば60%の人があるものを食べていたので、それを食べることがその病気になる率を高めると結論づけるという方法です。

典型的な例は緑茶です。昔から緑茶は健康によいと言われています。たしかに緑茶にはビタミンCが多く含まれ、カテキンなども多く含まれています。発ガン物質を与えた二群の動物のうち、一方には緑茶の成分のカテキンを与え、もう一方には与えなかったところ、カテキンを与えた群の死亡時期は、そうでない群の死亡時期より遅れたのです。

このような研究の結果を知れば、緑茶がガンを抑制する効果があると思うのは自然です。日本では、緑茶が胃ガンを防ぐという研究発表が相次ぎました。緑茶をよく飲む地方の人には胃ガンが少なく、飲まない地方の人には胃ガンが多いという「地域相関研究」からも導かれた結論です。

また、「症例対照研究」という手法もあります。それはある地域に絞って胃ガンになった人とそうでない人の食生活を調べ、結果、胃ガンになった人の方が緑茶を飲んでいなかった、というような結論を導く手法です。これは地域でなく、大学病院で受診した人たちを調査してもよいのです。私が大学を出たころの研究はそうでした。

ところが、時代が進んでコホート研究(大規模疫学調査)という方法がとられるようになりました。たとえぽ、ある時期において、ある地方に住む人のうちで緑茶を飲んでいる人が誰か、飲まない人が誰かを調べ、10年後に誰が胃ガンになったかを調べるというようなものです。

これは、食べ物に限らず生活習慣などについても調べられる方法です。そして図1に示すように、地域相関研究とか症例対照研究では緑茶がガンを抑える作用があると出たのに、コホート研究では緑茶を飲むことはガンの予防にはならないという結果になったのです。』

『人はなぜ信じてしまうのか。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは地域相関研究とか症例対照研究が次のような説明と似ているからです。第一次世界大戦の時も第二次世界大戦の時もある国ではナスが豊作でした。だから、ナスが出来ると戦争になりやすい、と。戦争とナスのような次元の違いが明確な場合には「そんな馬鹿な」と一笑に伏しても、一見、関係がありそうなことには真実味を帯びてくるのです。

あなたがヨーグルトを多く食べて花粉症が軽くなったとします。ある時「私は最近ヨーグルトを食べるようになったら花粉症が治ったわよ」と知人に言います。その知人も「私もそうよ、やはりヨーグルトは体によいわね」と答えたとしたら、あなたはヨーグルトはアレルギーによいのではないかとすっかり確信してしまうようになるのではないでしょうか。

しかし、これには科学的根拠があるのでしょうか。アレルギーにヨーグルトがよい場合もあるでしょうが、多くの人に効果があるとどうしてわかるのでしょうか。

これに応えるのが大規模調査です。花粉症の人を集め、くじ引きで当たった人はヨーグルトを食べ、当たらない人は食べないというように条件を決めます。そして、ある期間その状態を続けて、その結果、花粉症にどういう影響が出たか調べます。これはいろいろな薬について行われている手法でもあり、この時に結果が公正になるように、本人や医師にも分からないよう、片方の群には薬ではなくプラシボという薬のように見える粉を飲ませたりします。』

『多くの人を対象にして、長期にわたって調査しても、同じような結果になるとは限らないのです。ある研究ではある薬がプラシボより効果があり、別の研究では効果がなかったり、あるいは逆に症状を悪くするなどという結果が出る場合もあります。そこでさらに多くの研究結果をまとめて全体としてどうかを調査します。これを「メタアナリシス(メタ解析)」と言います。

最初の調査結果をもとに薬が開発されたり、あるいはある生活習慣や食べ物が特定の病気を予防するのによいといった研究結果が出たりします。多くの企業がその薬などを宣伝し、行政もこの食べ物や薬が効果があり、病気を防いだり治したりすることを強調するようになります。

テレビなどでもそのような報道がなされ、新聞、雑誌にも、これこれの食べ物はこれこれの病気を治す、あるいはそのような病気にならないようにするなどと書きたてます。人々は当然それを信ずるようになります。ところが、別の研究班が同じような大規模調査をすると、その結果が逆になることがあるのです。だからメタアナリシスが必要なのです。

従来とは違う結果が出ても、すでに多くの人が最初のデータを信じ込まされていますし、行政もいまさら、そうではないとは言いにくいのか、沈黙を守る場合が多々あります。その結果、本当は何が正しいのか分からないというような状態が続くのです。』

『このような矛盾は、研究結果の示すところと、それを一般の人々に健康法として提示することに違いがあるというところから起きるのです。さらに問題なのは、研究結果も調査するグループによりデータがまちまちで出されますし、かならずしも皆が同意するような結果は得られていないということです。

ところが一度人々の耳に届くと、その知識が不動のものとなり、生き方の中に組み込まれてしまいます。そうなると、最初の研究結果は必ずしも正しいとはいえないということが分かっても、それを納得してもらうことが困難になるのです。無理して考えを変えなくても、肥満が抑えられるならよいではないかなどとして、行政は提言を撤回するようなことはしないのです。

このような理由から、本当は何が体によいかということと科学的根拠とが同じでないということが起こりますし、人々が信じてきたこととも異なるという場合が多くあるのです。』

『どうしたらよいのでしょうか。何を信じたらよいのかということについて、私の考えを述べさせていただきます。

まず医学が提示する健康法は統計、確率により得られているということです。たとえば、あることをすると体によいということは、それをすると、しない人よりも健康になる人が3割いるというような結果によって発表されます。つまり7割の人には効果がない可能性があるということです。

あることをすると7割の人には健康によい結果が出るというような場合には、研究者は「これをすることは体によい」と結論づけます。しかし、これは全員にとってよいということではないのです。タバコを吸うことは多くの人にとってよくないでしょうが、大丈夫な人もいます。実際、このようなことはあるのです。

健康法とは統計確率の問題で、10人のうち7人にとってよいということであり、効果のない人もいるのです。だからといってある健康法をやめるなら、体によいというようなことは何一つなくなります。

第二は生活を苦しくし、楽しみをなくすような健康法は間違っているということです。無理をして食べたいものを食べないような生活ではストレスがたまり、その結果、血圧が上がったり、高血糖になったりしてかえって病気になります。学者が勧める限度はかなり危険を見越して設定されています。

農薬の基準値のようなものです。普通はこれを少し超えても体には異状を来しません。そこで、体重なども標準体重を少し超過気味でも気にする必要はないのです。過度の肥満がいけないということなのです。

第三はすべてのことには長所、短所があるということです。悪いばかりのものなどはないのです。後でも述べますが、紫外線は悪い影響ばかりではありません。紫外線が少ないとガソになったり、感染症になったりします。紫外線が悪いのはとくにひどく浴びた場合なのです。さらに、紫外線照射の結果ガソになるのは非常にまれです。極端に一方的な健康法をよしとするのは間違いなのです。

第四は検査データを気にしすぎないということです。ある検査データが異常値だととても心配になります。しかし、そのデータが悪い値だという場合にも、病気になる確率は非常に低いのです。

例をガンにとりましょう。ガンで死ぬ人は日本では10万人あたり250人くらいです。最近、BMI(体格指数、体重㎏/身長㎡)が5上がると大腸ガンになる率は24%増えるという結果が報告されました。マスコミは}斉に、肥満は大腸ガンの発症率を増やすと報道したのです。しかし、これはBMIが25の人が30になった、たとえば、身長が170㎝で体重が72㎏の人が87㎏になった場合です。80㎏くらいまでは大腸ガンの発症率は増えないのです。

このように、「太ってはいけませんよ」という限界は、非常に低く見積もってあるので、少しくらい基準をオーバーしたからといって一喜一憂する必要はないのです。そして、予備軍という概念です。予備軍とは基準値をはずれている人たちのことではなく、基準値の上限に近い人のことです。油断すると上限をはずれますよという意味であって、あくまでも基準値の範囲内であることに注意してください。

予備軍の人は病気ではないのです。ところが、医師から「あなたは予備軍ですよ」と言われると、病気になってしまったような気がして本当に病気に移行してしまう人も少なくありません。精神的なショックが血糖値を上げ、血圧を上げることによるのです。予備軍といわれても、あまり気にしないようにすることが精神にとって大事なのです。

最後は誰を信ずるかということです。著名な学者でも間違った提言をすることがあります。その人が嘘を言っているというのではなく、データの解釈が間違うということです。株の予想などと同じです。日本経済、世界経済のデータについては同じでも、人により将来の株価の予想は異なります。データをどのように読むかは、データの正しさと関係しないことを意味するのです。

健康情報については、自分でそのデータがどのようなものかを調べてみること、さらに信頼できる相談相手をもつということが大事です。

このような観点から、この本ではさまざまな健康情報について現在得られるできるだけ正しい情報をお示ししようとしています。あるデータはあなたにとって驚きかも知れません。しかし、それが真実なのです。私は皆さんの判断の手がかりを提供しようとしているのです。』

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