肩の機能評価とエクササイズ|ニュースレターNO.233

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年が明けたと思ったら、もう2月です。もうすぐ冬季オリンピックも開催されます。果たして日本選手はどんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。平成スポーツトレーナー専門学校は、3月で閉校します。授業も終わり、今週からスポーツトレーナースペシャリストの試験が始まっています。

最後のスペシャリストの試験ですが、果たして何名が合格してくれるでしょう。それも楽しみです。わたしの方は、4月からの予定は明確ではないのですが、いろんなところからいろんなご依頼を受けており、ありがたく思っています。特定のところに所属せず、いろんなところに出かけていって、私の考え方や技術・テクニックを伝えて行きたいと考えています。

そう思うと、今は楽しみで仕方ありません。特に身体調整の手技については、これまでやってきたものをよりシンプルにしていけるようにまとめているところです。今後は、マンツーマンでも指導・伝授していきたいと思っています。詳細については、4月に入ればお知らせできると思います。また、多くの方からご要望いただいている学校で使っている専用テキストやスポーツトレーナースペシャリストのDVDも現在作成中です。これは限定ですが、4月に紹介したいと思います。

さて、今回のニュースレターは、タイトルのとおり「肩の評価とエクササイズ」について参考になる文献を紹介したいと思います。東京医科歯科大学大学院運動器外科分野、理学療法士の八木茂典らが2007年肩の新しい解剖知見を発表し、アメリカ整形外科学会において最優秀賞を得ました(Mochizuki,AAOS,2007)。

その一部がSportsmedicine 2009 No.115「肩の新しい解剖知見に基づいた機能評価とエクササイズ」で紹介されました。肩の構造機能について認識を新たにするとともに、新たな情報を得ることができます。施術家やスポーツトレーナーにとっては非常に役立つ情報が得られると思います。上記の掲載記事から抜粋して紹介したいと思います。

『肩の筋は、肩甲棘を境に上が棘上筋、下が棘下筋、その下に小円筋があります。停止部は大結節の上に棘上筋、後ろに棘下筋、下のほうに小円筋がついているとされてきました。棘上筋は横走して大結節に向かっているようにみえます。棘上筋は半羽状筋で前縁部分にしか腱性部はなく、筋は腱となって、停止部付近で前方へ走行を変え、大結節の前方と小結節に停止していました。

棘下筋は横走部と斜走部からなり、横走部は斜走部の表層にくっついていました。斜走部は骨頭の上方から回り込んで大結節に停止していました。

これまで、たとえばMRIでみたときに、骨頭の上部が断裂していると、それは棘上筋と思われてきたけれど、実は棘下筋なのでは、ということです。棘下筋が断裂しているのなら、棘下筋が萎縮している例も納得できます。こういう解剖の知見がわかると、MRIのみかたも変わるし、機能評価も変わるし、エクササイズや手術の仕方も変わってきます。』

『新しい解剖知見を踏まえると、棘上筋は下垂位では内旋や屈曲に作用すると考えられます。下垂位でも外旋すれば外転に作用すると考えられますが、棘下筋こそがもっとも外転作用をもつと考えられます。Sahaの筋電図による報告でも、挙上でもっとも働いているのは棘下筋です。

挙上する際、棘下筋が働いているので、上腕骨は外旋しながら挙上するのです。棘上筋、棘下筋ともに停止部近くで前方ヘカーブしているのは、人間が四足獣から進化したからと考えるとスッキリします。こう考えると、挙上位で安定した肢位になり、棘上筋、棘下筋のねじれが完全に解消された肢位がZero Positionであると解釈できます。』

『棘上筋の作用方向を考えるとエクササイズとしては屈曲や内旋運動が推奨されます。ゴムチューブやダンベルを用いて内旋位での軽度外転するエクササイズが棘上筋エクササイズとして紹介されています。私も浅学の頃、教科書にそう書いてあるからこれが棘上筋のエクササイズと思っていました。1989年、Jobe博士はJobe test(棘上筋テスト)というのを発表しました。Jobe博士は、肩甲骨面上の挙上で90゜外転位で、前腕を回内させると記しています。

肩内旋位で、とは記していません。それがいつのまに内旋位で下垂位からの外転エクササイズに置き換わってしまったのでしょうか。

このように、原典となっている成書にはちゃんと書いてあるのに、正しく普及していないものはたくさんあります。肩の分野で有名なCodman体操(アイロン体操とも呼ばれるもの)があります。体幹を前屈させて、錘やアイロンなどを持って手を前後に振るみたいなことが普及しています。Codman先生が最初に書かれているのは上肢を脱力して、体幹を前屈させると記されています。

前屈すれば、上肢は自然に挙上した位置になります。それだけです。手を振るとか、手にアイロンを持つとは書かれていません。』

『棘下筋エクササイズとしては、下垂位での外旋運動が有名ですが、筋電図で下垂位の外旋を調べても棘下筋はあまりはたらいておらず、90゜外転位での外旋でよくはたらいていました。臨床において、棘下筋が萎縮している例に下垂位で外旋エクササイズをしてもなかなか効果は得られませんが、90゜外転位で外旋エクササイズすると効果を得られることを感じている先生も多いと思います。

それがこの研究のように解剖的に明確になると、臨床に真剣に取り組んでこられた先生には「やっぱりそうか」と納得していただけるのではないでしょうか。

棘下筋のエクササイズとしては内旋位での外転運動や、外転位での外旋運動が推奨されます。昔、私を指導していただいた(元)日本体育協会スポーツ診療所の川野哲英先生に、このエクササイズが有効であると教えていただきました。当時はなんでこのエクササイズが有効なのか、よくわからなかったのですが、これは棘下筋のエクササイズで、非常に的を射たものです。

臨床を豊富に行っておられる先生は、その筋に的確な効果が得られるエクササイズがわかっておられたのだなと思います。

信原克哉先生の提唱されたGlenohumeral Rhythm(臼蓋上腕リズム)というのがあります。簡単に言えば、臼蓋が骨頭を取り込むように両者の適合関係が大切であるという考え方です。挙上すると臼蓋の中を骨頭が転がり、接触点も上に移動します。骨頭の前上方偏位があると、挙上したとき上方でインピンジが生じてしまいます。

ゴムチューブを骨頭に近いところにかけることで、骨頭が過剰に上がらないよう押さえ、正常な関節運動をアシストする作用があるのだと思います。棘下筋は骨頭を引き下げながら挙上作用をもっていますので、棘下筋に筋活動を学習させる有効なエクササイズであると思います。(元)昭和大学藤が丘リハビリテーション病院の山口光國先生も、抵抗は上腕にかけるとおっしゃっていましたし、やはり臨床をよく診ている先生は、よくわかっていらっしゃるんだなと思います。』

『下垂位で純粋に外旋方向に作用するのは小円筋になります。棘下筋が断裂している例でも、内旋位からの外旋は筋力発揮することができることができるのは、小円筋が作用しているからと考えられます。外転位では内転に作用します。』

『肩甲下筋には筋内腱が複数あります。腱が複数あるということは、作用が複数あるということです。下垂位では上部線維が、挙上位していくと中部、下部線雉が作用することで、あらゆる角度で内旋できるようになっています。エクササイズするときも挙上角度を変えて実施することが有効と考えられます。

実施する際は、椅子に座った姿勢であれば体幹前屈角度を深くしていけば、挙上位のエクササイズになります。または背臥位になると肩甲骨が安定し、かつ重力が負荷になります。肩のエクササイズをするとき、手でものを握ると、それだけで筋活動が変化してしまいますので、私はゴムチューブを使うときでも手に握らせず、手首や指に引っかけたり、無負荷で実施しています。

肩甲下筋腱の上2/3は小結節に停止し、最上部線維は小結節のさらに上に停止していました。骨頭を引き下げ、挙上にも関与しています。挙上する際、三角筋が収縮すると上腕骨は上方へ牽引されてしまいます。臼蓋-骨頭が適合を保った状態でいるためには、骨頭を引き下げる作用が必要になります。この骨頭を引き下げる作用は、前述の棘下筋と肩甲下筋上部線維が協働して担っていると考えられます。

言い換えれば、骨頭の上方偏位の原因のひとつに、棘下筋、肩甲下筋上部線維の機能低下があるということになります。』

『外旋制限のある例がよくみられます。一般的に、内旋筋である肩甲下筋の拘縮と思われていることが多いですが、肩甲下筋をゆるめても、なかなか外旋可動域が改善されないことがあります。手術で、烏口上腕靱帯を切離するとそれだけで、一気に外旋可動域がよくなることから、鳥口上腕靱帯の機能が注目されています。

鳥口上腕靱帯は下垂位や伸展位の外旋で伸張することができます。

小胸筋は烏口突起に停止しているとされています。しかし、われわれの報告では、鳥口突起を超えて、烏口上腕靱帯と重なって上腕骨大結節付近へ行っていました。臨床的に、小胸筋の緊張を緩和すると可動域が改善することからも、両者の深い関係があると思われます。エクササイズとしては、鎖骨の下から鳥口突起の下を圧迫して腕を振るように実施しています。

挙上する際、鎖骨は約30゜挙上と、クランク状になっているので30゜分の回旋をして60゜外転します。鎖骨は肩甲骨と関節をなして、同調して動いていますので、肩甲骨も60゜分外転し、上腕骨の120゜と合わせて最大挙上が成り立っています。大胸筋が鎖骨に停止しているので、大胸筋の硬さは鎖骨の動きを制限し、肩甲骨、挙上可動域の動きを制限することになりますので、鎖骨の下もゆるめておきます。』

『挙上するというのは、肩だけの動きではありません。背中を丸めた姿勢では最大挙上できません。脊椎の伸展や胸郭の可動性も関与しているからです。術後早期や、肩の痛みの急性期には、深呼吸をするだけでも効果があります。

ストレッチというと、引っ張って伸ばすイメージがありますが、私は、深く吸気することでからだの内側から風船をふくらますイメージでやっています。肺は右に3つ(上葉、中葉、下葉)、左に2つ(上葉、下葉)の風船があります。普段の浅い呼吸では前方の風船(上葉)しか使っていませんので、脇や背中の風船(中葉、下葉)をふくらませるイメージです。鼻から吸気し、口から呼気するように指導しています。

機能的にみると胸郭の上を肩甲骨が滑るので、肩甲胸郭関節と呼ばれていますが、胸郭と肩甲骨の間は骨と骨の関節ではありません。なんでこんな動きができるかというと実は肩甲挙筋、菱形筋、前鋸筋は1枚のシート状の筋です。この上に肩甲骨が貼りついているのです。つまり3筋は共同して肩甲骨の動きに関与しているのです。

肩甲挙筋は挙上に、菱形筋は内転に、前鋸筋は外転や上方回旋に作用します。これらの動きの入っているWinging exerciseのようなエクササイズが効果的であると感じています。』

『肩甲骨面上の挙上で、肩甲上腕関節20~30゜において関節包の張力は均一となると報告されています。挙上にともない肩甲骨も上方回旋しますので、つまり上肢挙上では45゜付近となります。下垂位では上方の関節包が緊張するので、骨頭の上方偏位は生じません。45゜挙上位では関節包による影響を排除できるため、筋力評価をするのに有効な肢位となり、私もよく用いています。もし、この位置で筋が正しくはたらかなければ、臼蓋-骨頭の位置関係は損われます。

骨頭が上方へ偏位する、または臼蓋(肩甲骨)が下がれば、インピンジメントが生じます。肩甲骨の動きを抑えることで正常な関節運動となるのなら、肩甲骨側(肩甲胸郭関節機能)の問題となります。

骨頭の偏位を評価するには、私は、自分の膝を利用して上腕骨が肩甲骨面上になるようにし、クライアントが一番安楽な姿勢として骨頭を触知しています。この位置から、たとえば骨頭が前方偏位していて痛みが出ているのなら、骨頭をより前方へ移動させればより痛くなり、骨頭を現在の位置より後方へ下げれば痛みは減るはずです。内旋すれば骨頭は前方へ転がりますし、外旋すれば後方へ偏位させることができます。

骨頭が前上方偏位してしまう原因のひとつに棘下筋、肩甲下筋の機能低下があることは述べました。ほかには、後方関節包などの後方構成体の拘縮があります。後方構成体の拘縮があると、屈曲90゜での内旋や、水平内転などの関節可動域が制限されます。有名なのは側臥位での内旋ストレッチです。

しかし、正しく行うのは難しいです。内旋を肩甲骨上方回旋で代償できるからです。私は、側臥位で90゜屈曲した上腕の上に胸を乗せるようにして上腕を固定し、そこから内旋するようにしています。骨頭の前上方偏位を修正するには、骨頭を後下方へ押し込まなければなりません。徒手的に行うことはもちろんですが、ひとりでエクササイズとしてできることが重要です。

四つ這いで、肩甲骨を内転させます。肩を内旋位で肘を伸展でロックさせておきます。反対側の肘を脱力すれば、自重を利用して骨頭を後方へ押し込むことができます。骨頭で後方構成体をストレッチする感じです。

徒手的によい方法があったとしたら、それをいかに簡単なエクササイズにしていくか。そこを考える必要があると思います。腕のよい先生しかできないというのではダメで、誰でもできるエクササイズとして落とし込んでいくのが大切だと思っています。』

『アウターマッスルとインナーマッスルという言葉があります。筋の機能をみたときに、表層の筋と深層の筋では異なる、というところから始まっています。筋線維をみると、インナーマッスルは基本的にはtypeⅠ線維(遅筋)で構成されています。

収縮する力は弱いけれど、その関節を安定させるように持続的にはたらいていて、疲労しにくい。一方、アウターマッスルはtypeⅡ(速筋)で、大きな力を発揮し、関節運動を起こします。このように筋の性質が異なるので、同じトレーニングでいいわけがありません。

インナーマッスルに負荷をかけたいときと、アウターマッスルに負荷をかけたいときとでは違うはずです。収縮することで関節運動が生じるものはアウターマッスルですから、多くのトレーニングはアウターマッスルのトレーニングになります。インナーマッスルは関節を安定させるためにはたらいているのですから、関節を動かさないようにするようなエクササイズがよいということになります。

たとえば、ボールの上でバランスをとるようなエクササイズとかは、インナーマッスルに適したものだと思います。

たとえば、脇の下にボールを挟むエクササイズがあります。内転のエクササイズと思われていると思いますが、脱力してボールから反発される瞬間、腱板を触れていると、グッと収縮します。上腕がもっていかれないように、その位置を保持しようと活動しているのだと思います。押しつぶすときではなく、脱力する瞬間が腱板にとって適切なエクササイズになっているのです。ですから、ギューッと押しつぶす必要はなく、軽くポンッでいい。

筋はギューッと思い切り力を入れて収縮させると疲労感を感じますよね。しかし、軽くポンッポンッと収縮したら、疲労もなく、何回でもできそうな感じがする。ということは、同じエクササイズでも負荷やスピードを変えるだけで、アウターマッスルとインナーマッスルのエクササイズになる可能性があります。5kgのダンベルを持ってインナーマッスルを強化しようとする人はいない。

その負荷ではインナーマッスルではなくアウターマッスルになってしまう。適切な負荷ではないと皆知っているんです。つまり狙った筋を強化するには適切な方法・負荷が存在するということです。』

『スポーツにおける肩の役割は、投げる、当たる、支える、泳ぐなどがあります。一般的には、肩甲骨に対して上腕骨が動いているという捉え方が主流でした。しかし、投球動作のフォロースルーでは、上腕骨の動きに肩甲骨が外転してついていきます。泳ぐ動作では、手で水を押さえていて、そこにからだを引き寄せて進んでいます。

体操の支える動作では手は床や鉄棒に固定されていて、からだを動かして技をしています。ラグビーのタックルでは、腕をもっていかれて肩脱臼することがあります。脱臼しないためには、腕がもっていかれそうになったら(水平外転強制)、肩を水平内転して、上腕骨にからだがついていくような動きで回避することができます。

こうしてみると、これまでの多くのエクササイズは、肩甲骨は安定させて、上腕から前腕のほうを動かすもので、その逆の、腕は安定させて、肩甲骨を動かすエクササイズも必要だと思います。たとえば、四つ這いや壁に手をついて、腕を固定した状態で肩甲骨を動かすエクササイズが挙げられます。

Zero positionでは腱板が安定した位置になるので、この肢位でのエクササイズは肩甲骨を動かすエクササイズになります。たとえば、腕を内外旋方向へ動かせば、腱板ではなくて肩甲骨の前傾後傾をエクササイズしていることになります。ちょうど、投球動作の後期コッキング期での最大外旋するときのlagging backする動きに似ています。』

『肩が痛いという例に対し、全身の可動性や筋力を改善しなさいという指導がなされる場合があります。これはヒトの運動を考えるときに、全体をみて、スムースでない動きがあれば局所にストレスを生じさせてしまうという考え方です。そういうふうにすると、たしかに痛みは軽減したり消失したりします。

しかし、全体の負荷が減っただけで、局所が治癒したわけではありません。そういうことは復帰するうえで必要なことですが、それだけでは不十分です。100%の力を発揮しようとしたら、局所も100点になっていないといけないだろうと思います。すると、全体をみる視点と局所をみる視点が必要になります。

局所をみるためには、これまで述べたように機能解剖学を熟知して、適切な方向や方法で行うことです。世の中にたくさんのエクササイズがありますが、形を真似してもダメなんです。肢位や負荷がわずかに異なるだけで効果が損われるだけでなく、リスクとなることもあります。臨床をしっかりやっておられるベテランの先生方は微妙な差を知っています。

それを私のような若造でもできるようになるためには、エクササイズを指導するだけでなく、常にクライアントに適切な効果が得られているかどうかを触って確認することだと思います。』

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