やせやすい体をつくる|ニュースレターNO.270

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「やせたいが・・・」こんな話は本当によく聞くものです。特に、ジムに通われる女性にとって挨拶用語のような気もしないではありません。また、その要請を受け、希望通りスリムなシェイプアップした体作りを提供することもパーソナルトレーナーの主要な指導であると言えるでしょう。

しかし、なかなかうまく行くものではありません。特に、世間で言われる「何々をしたら・・・やせた」と言うようなものにはまるとなおさら上手く行かないでしょう。まず、基礎的知識に基づいてトレーニングすることです。そこに疑問符のつくトレーニングが多すぎるように思います。

そんなパーソナルトレーナーのために参考になる本がありました。石井直方著:「無理やせ」より、やせやすい体を作る!(マガジンハウス2011)です。ポイントになると思われるところをピックアップさせていただきました。詳細については、ぜひ著書をお読みください。

『筋力トレーニングは、エネルギー代謝でいうと、無酸素的な運動です。つまり、運動中に脂肪が減らないというのが欠点ということで、ダイエットとは無関係のように考えられていました。でも、実際はそうではありません。筋力トレーニングの後に、消費エネルギーが増えるということが、わかってきました。運動後に酸素がたくさん使われるようになる。酸素が体に取り込まれることは、エネルギーを消費することに対応します。

筋力トレーニングで運動するときのエネルギーは決して多くないのですが、これを行った後には酸素が過剰に消費されることで、72時間ぐらいは、脂肪がじわじわと燃えてくれます。その量は微々たるものです。何もしないでいるのと比べて、たかだか10~20%増しぐらいでしょう。ただ、筋力トレーニングは30分ぐらいの短時間でできるわけです。

そして、その後、じわじわと脂肪が燃える。それを1日当たりとして合算すると、2~3㎞走るのと同じぐらいの消費量になるのです。
筋力トレーニングを行い、その後、尐なく見積もっても1日で100キロ力ロリーぐらい普段より多く消費できる。これが筋力トレーニングの特徴。

さらに筋肉が大きくなると1日のエネルギー消費量も増します。筋肉が1㎏増えると1日のエネルギー消費量は平均50キロカロリーほど上がる。これらが、筋力トレーニングがダイエットにも効果的な理由です。』

『実は私たちの研究の分野で、「筋肉に変化が起った」ことを実証するためには最低でも10週間かけないと、信用されません。たとえば、8週間で論文を出すと、「こんな短い期間でこんな変化が起こるの?」と疑問を持たれます。

計測をして、確かに増えたと言えるのに3ヵ月。見た目にもしっかりとした効果を上げたいのなら、まずは3ヵ月ぐらい続ける必要があります。最近、研究の測定の精度などが上がってきて、細かいことを調べられるようになりました。そこでわかったことは、筋力トレーニングをすると、わりと早い段階で筋肉は尐しずつですが、ちゃんと太くなるんです。

零コンマ何%ずつという、薄紙を貼るような変化なのですが、筋力トレーニングによって、確かに筋肉は日々太くなります。ただ、他人が見て「体型が変わったな」と、感じるようになるのにはどうしても3ヵ月はかかります。その代わり、この期間にしっかりとトレーニングをすれば、筋肉の量は10%というレベルで増やすことができるのです。

ただひとつ言っておくと、女性が筋力トレーニングを3ヵ月行ったからといって、筋骨隆々になることはほとんどありません。それよりも、よりシャープな体つきになりますから、健康的に見られるようになるでしょう。しかも、筋肉が増えれば、エネルギー消費量が増えるので、太りにくい体になれるのです。』

『筋肉はトレーニングによって使われると、それよりも強い筋肉に作り変えられます。これを筋の『超回復』と呼びます。それは、次のような生理的適応によって起こると考えられています。

まず、トレーニングによって大きな負荷がかかります。もし、次の機会にもこれと同じ負荷がかかると、また同じ負担を筋肉が負うことになります。だから、その負担を尐しでも尐なくするようにと、筋肉が大きくなるのです。

よくトレーニングの現場でいわれていることがあります。トレーニングによって筋肉に細かいキズがつき、それを修復することで筋肉が大きくなる。確かに、壊れて、そして修復するというのはすごくわかりやすいですよね。トレーニングを始めた最初の頃は、本当に微細なキズがつきます。それを調べるには、筋肉の中のクレアチンキナーゼという酵素が血中に洩れ出ているか否かで判断するのが普通です。

専門的にいうと筋肉がダメージを受けやすいエキセントリック.トレーニングを行うと、最初のうちはクレアチンキナーゼが血中に出るのですが、何回かトレーニングをすると出なくなる。つまり、筋はずっと壊れているわけではないんです。だから筋力トレーニングは筋力にダメージを与えるものと一方的に考えてしまうのは間違いで、もっと筋肉にやさしい方法もあるといえます。』

『前の項で説明しましたが、筋肉は超回復によって大きくなります。では、どれぐらいの時間をかけて成長するのでしょうか。筋肉はある程度の時間をかけて大きくなり、そして、その時間を過ぎると、今度は逆に分解されて元に戻っていくんです。だから、しっかりと大きくなって、分解される前のタイミングで次のトレーニングを行うのが一番効率がいいわけです。

しかし、このタイミングをたとえばタンパク質の合成(筋肉はタンパク質によってできています)などでは、なかなか調べ上げることができないのです。そこで、実際に何日に1回というふうに、トレーニング頻度を変えてみて、筋肉の増加量の変化を観察したという研究があります。

すると、48~72時間、中2~3日を空けてトレーニングをするのがよさそう、ということがわかったのです。そこで、ここで紹介するトレーニングは週3回行うということにします。これだと、空ける時間は最大の72時間までにはならないのですが、ひとつ大きなメリットがあります。

トレーニングが週1回になると、現状の筋肉を維持することしかできません。だから、3ヵ月間は最低でも週2回は行いたい。ですが、時間がなくてどうしてもできないこともあります。そのときのために週3回にして、1回は休んでいいという余裕を作っておく。そして3ヵ月たったら週1回に減らせば、その筋肉を維持していくことができることになります。』

『最近わかってきた面白いことがあります。それは、筋肉には記憶力があるということです。たとえば、せっかく3ヵ月トレーニングを続けたのに、なんらかの理由で止めざるをえなかったというので、3ヵ月休んでしまうと、筋肉は小さくなって、トレーニング前とほとんど同じ状態に戻ってしまいます。

そうなったときに、再びゼロから3ヵ月やらないといけないのかというと、実はそうでもなさそうです。1ヵ月ぐらいでスッと元に戻ったりします。この現象はマッスルメモリーと呼ばれていて、筋肉がトレーニングの刺激を覚えているのです。だからサボって落ちても、トレーニングを再開すればすぐ元に戻ってくれるんですね。

なぜ、こんなことが起きるのか。動物実験から、トレーニングを行って筋肉が大きくなるときに、細胞核が増えることが示されました。細胞核というのは、筋肉の材料であるタンパク質を合成する指令塔ですから、それが増えれば筋肉は太くなるキャパシティーを獲得したことになります。

そして、トレーニングを止めてしまうと筋細胞は細くなるのですが、細胞核はしばらく増えたままの状態に保たれます。だから、再びトレーニングを開始したときには、短い期間でそれらの筋細胞が大きくなるのです。細胞核を増やすという作業を省けるわけですね。そういう理由で、3ヵ月間をしっかりトレーニングすれば、基本的に休むことを恐れる必要はないんです。』

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