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筋のストレッチについて|ニュースレターNO.280

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ストレッチングの有効性については、いろんなことが言われており、まだ研究も進んでおり、新しい見解や発見も出てきています。筋をストレッチ・ストレッチングすることにおいての問題は、どのようなストレッチ・ストレッチングをしたのかということだと思います。

過去にストレッチングはパフォーマンスを低下させるという研究結果が発表されたことがあります。そのとき、具体的な実験方法が解っていなかったのですが、実際には数分間筋をストレッチングした結果であったということが解りました。

筋を特定時間以上伸ばし続けると、確かに筋緊張は解除されてしまうので、パフォーマンスも低下することは納得できるわけですが、ストレッチ・ストレッチングがパフォーマンスを低下させるとイコールにはならないということです。どのようなストレッチ・ストレッチングをしたらどのような反応があるかということなのです。

今回は科学新聞社が発刊しているカイロジャーナル第72号(2011.10.28)で掲載されたカイロプラクターの栗原修氏の「筋のストレッチを考える」を紹介します。

その要旨は、「筋のストレッチは、筋膜が短縮している場合にだけ有効であり、運動習慣のない一般人が行う場合は慎重に行う必要がある。過筋張筋を伸長すると後に機能低下を招く恐れがある。」というものです。ストレッチについて注意を促されていますが、筋がどのような状態ではどのような反応をするかという点に参考になるところがあると思います。

 

筋のストレッチを考える

『筋のストレッチは、短縮した筋を引き伸ばすために行われる。よく運動前と後にストレッチをするほうが良いと言われているが、長くAKに携わってきた私としては、ただ一般的にストレッチが良いと言われても納得がいかない。ここでは、私の知る限りの範囲内でストレッチについて考えてみたいと思う。

まず、ストレッチする筋は過緊張であることが前提となっているが、そもそも過緊張とはどのような状態を指すのであろうか?

筋腹を触診し左右や周囲の筋との硬さを比較するという方法は、単に緊張度、筋の硬さの比較である。本当に硬いほうが過緊張なのか、また硬いほうが正常で柔らかいほうが低緊張なのか、この方法だけではとても判断することはできない。

一つの方法としては、筋が伸長されている状態で、その筋が通過する関節の可動域を制限することによって判断することができる。筋が関節の機能を制限することになるため、筋腹が対側や周囲の筋組織よりも硬く触診され、さらに関節の可動域を制限するものであれば、その筋の機能は異常であり過緊張である可能性が高い。

通常、このようなケースで筋のストレッチが行われる。筋による可動域の制限がない場合、関節の靭帯などを伸長することになってしまう。過緊張の筋による可動域制限は、他動的な伸長に対して弛緩しないために起こる。

筋のストレッチにおいて、神経学的にどのようなことが起こるのか考えてみたい。他動的に筋線維を引き伸ばすように関節を動かす。この操作では筋線維が引き伸ばされることで、同時にストレッチを加えている筋の筋紡錘もまた引き伸ばされ、α運動ニューロンを刺激することになり、ストレッチしている筋の収縮が起こることになる。さらに筋を伸長する力を増し、ストレッチを続ける状態でも同じ反射が繰り返される。

しかし、反射は永遠に続くことはない。筋の伸長反射は単シナプス反射であり、介在ニューロンによる抑制が起こることはない。しかし、侵害受容器からの入力のみ、この反射弓をブロックすることが可能であるが、この経路による伸長反射の抑制は起こすべきではない。

侵害受容器からの入力の他に、伸長反射はシナプス疲労により反射自体が減少する。このため、筋線維を物理的に引き伸ばすことが可能になる。

しかし、シナプス疲労によって反射が減弱する場合、つまり、過剰なストレッチ後に可動域が改善した後で起こることは、反射自体の感受性の低下、反射の鈍麻であり、 ストレッチ後のパフォーマンスが低下する可能性がある。

伸長反射や筋紡錘の感受性は不随意の反射とともに、γループを介する随意運動により、すべての筋の活動のべースとなるものである。このため、伸張反射が鈍麻すれば、運動を司る小脳、視床、基底核への求心性入力が低下し、不正確な求心性の情報や不正確な反応が起こる。

これは訓練を積んだアスリートたちのような人たちであれば、フィード・フォワードによりカバーできることも考えられるが、普段あまり運動を行わない人たち、特に普段運動を行わず臨床で痛みを訴えている人たちに対しては禁忌となる可能性がある。

強い長時間のストレッチの後に、シナプス疲労が起きているかどうかを判断するためには、ストレッチを加えた筋の腱反射、あるいはγ1、検者誘発性筋力テスト(伸張反射とγループを評価する)で評価すべきである。

もし腱反射や筋力テストの反射の減弱、あるいは消失が起こる場合、シナプス疲労により反射が減弱している可能性が高いと考えられる。例えその効果が一時的なものとしても、これを繰り返すことでシナプスでの感受性が低下する可能性があることを認識し、注意することが必要である。

臨床では、ストレッチ後にストレッチした筋を使用するような動作は避けるべきであるということを意味している。

私の個人的な見解では、ストレッチは結合組織を物理的に伸長し、短縮した結合組織を伸長するために用いられるべきであり、靭帯、硬膜、筋膜などの短縮に対しては有効であると考えられる。筋をストレッチする方法は、筋膜の短縮がある場合にのみ有効であり、過緊張筋を力で伸ばすようなストレッチに疑問を持たざるを得ない。

一般の人たちはともかく、臨床家であるわれわれが行うべき過緊張筋への対処は、単にストレッチを加える代わりに過緊張を起こす原因を考慮することであると考える。

考えられる過緊張の原因は、脊椎部での支配神経の刺激、共力筋の低緊張、拮抗筋の低緊張、筋がサポートする構造の安定性減少、固有受容器の問題、循環不全、栄養学的な欠乏(カルシウム、ビタミンEなど)、疲労、筋連鎖による相互活動、固有受容器からの求心性遮断などである。

それぞれの原因を検査して治療を加えることが、われわれ治療家が行うべきことではなかろうか?可動域を制限している硬い筋をストレッチすることは、その場では可動域改善や症状の軽減に有効であるとしても、後に機能低下を招く可能性があるとするならば、われわれ治療を生業とする者として、これから徒手医学を学ぼうとする人たちに対しても、他の方法を試みるよう努めていくべきではなかろうか?』

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