タッピング・タッチ|ニュースレターNO.283

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タッピング・タッチというものを御存じでしょうか。タッピングですから、キーパンチャーのようにキーを叩くように皮膚を叩くものです。

皮膚を叩くことによって、経絡と経穴(ツボ)を刺激することが含まれます。自分で顔や頭部のタッピングをすることによって、経穴が軽く刺激され、自然治癒力が促進され、心身のバランスが取り戻されるようになると考えられています。非常に簡易は方法なので試してみる価値はあると思います。

タッピング・タッチの内容について書かれた著書では、中川一郎著:タッピング・タッチ(朱鷺書房2004)がお勧めです。その書籍の中から一部紹介したいと思います。興味のある方はぜひ原本をお読みください。

『ここでは、タッピング・タッチがどのように考案され、今のようなものになったか、について述べたいと思います。

当然のことながら、「個人、家族、そしてコミュニティが、自分自身で本来の健康を取り戻していくための工夫」であるためには、十分な効果がなくてはなりません。そのため、私は、西洋で学んだ臨床心理学や臨床経験と、私のルーツである東洋的な思想や民間療法に秘められた知恵や工夫を活かすことを試みました。

余談になりますが、私は若いころからさまざまな東洋医学や民間療法に興味を持っていました。とくに「気」による心身両面の治療のあり方を実践された野口整体の野口晴哉氏の書物から強い影響を受けています。直接お会いする機会はありませんでしたが、まだ何も分からない10代の後半に、母親が私の偏頭痛をみかねて野口整体で「愉気」とよばれる接手療法を教えてくれたのがきっかけでした。

野口氏の文章やお弟子さんを通して心身の関わりの不思議さに感動しました。そして、軽くふれることによって、気の流れが変わり、健康になろうとする働きが助けられることを体感しましたが、そのことによって、気を中心とした東洋思想や医療に関する理解の基盤ができたと思います。

19歳でアメリカに渡ってからは、大学に通い始めたこともあって、必然的に西洋的・学術的なものからの影響が主になりました。でも、さまざまな文化が入り混じった国であるため、西洋と東洋の両面を経験した時期でもありました。

たとえば、コミュニティに根ざし、だれでもが気軽に参加できる禅寺(Zen Center)に通うことができます。そこから、仏教の教えや実践のあり方に新鮮なものを感じました。また、太極拳や気功を人間味のある先生から学ぶ機会も豊富にあり、武道や東洋的な養生法のあり方を徐々に体得していきました。私にとって、東洋と西洋の思想や治癒に関する知恵が自然に統合していく大切な時期でした。それが後ほど述べる、私独自の視点を持った「ホリスティック(全体性)心理学」の根底に流れているものです。

私は、自分自身の経験と知識を活かし、治癒的効果や有効性が実証されている要素を統合することによって、タッピング・タッチを開発しました。主な要素は、①タッチ・ふれること、②左右交互の刺激、③話すこと・聞いてもらうこと、④経絡と経穴(ツボ)への刺激、でした。それぞれの要素に強い治癒的効果があるのですが、それらを統合することによって、相乗効果が生じ、新しい方法が生まれたのです。

この「4つの治癒的要素」については後ほど詳しく述べますが、今の形に行きつくまでには長期間にわたる試行錯誤がありました。たとえば、タッピング・タッチの先駆けとして、「心癒気功」と名づけたものを開発しました。気功文化研究所の津村喬氏の著書にも掲載されていますが、これもたいへん効果がありました。しかし、ここで述べるさまざまな必要条件(とくに、「誰がやっても、副作用がない」こと)を満たさなかったため、現在では、臨床的・専門的に安全性が確保できるときに、まれに使う程度です。

タッピング・タッチは、多くの人たちと専門の分野での利用からのフィードバックを活かしながら、徐々に今の形や仕方に落ち着いていきました。

初めは、人為的に、治癒的要素を統合して作られましたが、多くの人がそれを体験し、関わることによって、自然に育っていったような感じです。それは最初「無機的なもの」でしたが、さまざまな人たちの経験とフィードバックを通して、とても「有機的」なものが生まれたのです。』

『最近は、このような問題に関する認識が高まったためか、医療におけるタッチの有効性を見なおそうとする動きも見られます。たとえば、患者がふれてもらうことによって、自己治癒力が高まり、さまざまな治療においてよい影響を与えることが臨床実験でも確認されています。

そのため、「ヒーリング・タッチ」(Healing Touch:Dorothea Hover – Kramer, EdD,RN)や「セラピュティック・タッチ」(Therapeutic touch:Dolores Krieger)など、タッチの効用を利用した援助のテクニックが、世界各国の保健医療の場で公式に使用さています。

また、施設での老入介護においても、タッチしてもらうことにより、不安感が軽減したり、生活機能が改善したり、心身の健康や満足感が増加することなども知られています。

さらに、話しをしながらタッチすることによって、痴呆の患者の不安感や機能障害が軽減したとの研究結果もあり、「ふれること」と「話すこと」による相乗効果をみることができます。』

『「左右交互の刺激」は、私の専門である心理学の視点から、EMDRと呼ばれる生理心理学的技法の治療原理にヒントを得たものです。また第4章「本質とポテンシャル」で詳しく述べる「1/fゆらぎ」や「あやし」とも深い関係があります。

EMDRとは、アメリカのフランシス・サピロ氏(臨床心理学者)が80年代の終わりに開発されたもので、日本語では「眼球運動脱感作再処理療法」と訳されています。EMDRはその長い名前からもわかるように、心的外傷に関する記憶や感情を経験しながら目を左右に動かすと(眼球運動)、トラウマ特有の苦しい感情がときほぐされ(脱感作)、つらい記憶や情報が自然に整理される(再処理)ことを活かした心理療法です。』

『トラウマを経験したときに、何度もその体験を話したり、感情表現すること(Traumatic disclosure)によって、心理的障害や外傷後ストレスが軽減されることが知られています。

ですから、事故や犯罪などにあって心理的にもショックを受けたときは、まずは信頼できる人に、話したいだけ話したり気持ちを表現するほうがよいのです。このようなときに、話さずに忘れようと気持ちを押し殺していたりすると、あとあと心理的な問題が起こりやすくなります。』

『皮膚は脳との関わりが強く、発生学的には同じ外胚葉からできていることが知られています。そのため、皮膚への刺激は脳への直接の刺激であると考えてもよいほど密接な関係にあります。

皮膚への刺激によって、脳のみならず、自律神経系や免疫系の働きも影響を受けることが、精神神経免疫学の研究で知られています。ですからタッピング・タッチをしてもらうとき、軽く弾ませるようにタッピングされたり、ふれてもらうことによって、皮膚と脳に適度な刺激を受けることになります。タッピシグ・タッチを日常生活にとりいれることによって、心身の健康を維持することのサポートになると考えることができます。

タッピング・タッチでは、指先と手を使って相手にふれます。手は「第二の脳」ともよばれ、大脳皮質の広い範囲と関わっていますので、相手を指でタッピングしている間、自分自身の脳も適度に刺激していることになります。大脳皮質への適度な刺激は、脳の働きを活性化し、痴呆などのような障害を予防することが知られていますが、左右交互のゆったりとしたリズムが加わることによって、私たちの脳はたいへん好ましい刺激を受けるのではないかと思われます。』

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