50m6.2秒の現役トレーナーが伝える走り方について

走り方

小・中・高校と脚の速い男子はなぜか女子にモテるという風潮があった学生時代ですが、思い出深いのは何といっても高校生の頃。

1年生のとき、スウェーデンリレーのアンカーで出場し、400mを走ることとなりました。高校になると学年関係なく、全校生徒が対決するため野球部の先輩の存在を恐怖に感じながら出場していました。

バトンを受け取ったときは断トツの最下位でしたが、残200mというところでスパートをかけ、4人をごぼう抜きし、トップでゴール。その後、女子生徒7人からアドレスを聞かれ、ハーレム状態ということがありました。今は古き良き思い出。

まあそんなことはどうでもいいのですが、ある程度脚が速いということもあって、走るということについては学生ながらいろんなことに興味持ち、走り方を工夫したのを覚えています。

野球部にも所属していたため、盗塁のスタートについてや、ベースランニング、直線で走るということ、地面をどのように活用するのか、腕はどうすればいいのか、今思えば本当にいろんなことを試していました。

今日は走り方というテーマで書いていきますが、一般的に言われていることが効率の悪い走りにつながっていることや緊張を生んでしまうことがあります。

実際に先日走り方の指導をすることがありましたので、それを基に整理しながら走り方というものについて触れていきたいと思います。

では早速、走り方についてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

 

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走り方のコツは重心を最短でゴールまで運ぶこと

100mにせよ、マラソンにせよ、走り方についての指導は様々行われ、近年はランニングブームの影響も受け、雑誌などでも走り方の特集がよく組まれています。

そこに書かれていることはこんなことが書かれています。

  • 脚を前に運ぶイメージ
  • 肘を90度に曲げ、腕は後ろに引くように走る
  • つま先で地面を蹴って進む
  • 軽く脇を締めて、しっかりと腕を振る
  • 胸を突き出すように腰を前に出して走る

さまざまな表現がありますが、実際ゴールまでいち早くたどり着くまでにはどのようなことを考える必要があるのでしょうか?

まず走るというのは、重心を運ぶことであり、この重心をいかにゴールまで最短で運べるかがタイムに影響してきます。

重心がまっすぐ移動するのと、身体を左右へ捻じって走るように重心が左右へ蛇行しながら走るのとでは、ゴールまでの距離は後者の方が長くなり、長い距離を走っていることになります。

当然長い距離を走ることでタイムも遅くなりますし、無駄なスタミナを使ってしまいます。走ることは、重心をいかにゴールまで最短で運ぶか、これが重要になります。

関連記事:速く走るコツ!整理しておきたいスピードと速さについて

 

速く走るために考えること

どうすれば速く走れるのでしょうか。走るというのは、ピッチ×ストライドという関係が存在し、言い方を変えれば、より速く脚を回転させ、1歩の歩幅をより大きくすることで、速く走ることができます。

ピッチというのは、筋線維のタイプによって決まってしまうものであり、この筋線維のタイプは遺伝的に決まっているとされ、ピッチは定数として考えることができます。

フォームの問題で、スムーズさに欠けていたり、緊張のある動作をしているとピッチも下がるため、リラックスをしスムーズな動作にするなど、フォームの改善でピッチの改善はある程度は可能です。

またストライドについてですが、走るということは垂直方向と水平方向への合算に力が働いています。それぞれの方向への筋力を向上させることでストライドは伸びていきますが、速く走るためには、ピッチは定数と考えると主にストライドを向上させることでタイムを短縮することが可能となります。

次からは実際にどのように走るのか、現場での経験も踏まえて書いていきたいと思います。

 

走り方について

先日も社会人の陸上選手に指導する機会があり、走り方について話をして理解をしてもらい、そこから走り方の指導へと移っていきました。大きな流れとしては以下の通りです。

  • 立ち方
  • 重心位置の確認
  • 踵での踏み込みの確認
  • スキップ
  • 脚の使い方
  • 腕の使い方
  • 上下の連動
  • 重心移動
  • スプリント

このような流れで走り方について伝えていきました。ここからは実際の指導した詳細も含めて書いていきたいと思います。

立ち方

走る以前に立ち方に問題があり、立った状態で身体に緊張が見られ、本人も常に身体は緊張してる感覚があり、日頃から腹筋に力を入れる必要があると思いこんでおり、それで緊張がみられていました。

まず、立ち方の指導から入りましたが、姿勢のイメージとすれば、横から見たときに、

  • 大転子
  • 内踝

が一直線になり、後ろから見たときに、

  • 後頭部の真ん中
  • 肩甲骨の中央部
  • お尻の割れ目
  • 両脚の真ん中

が一直線になるように指導し、立ち方を伝えると楽に立てるようになったそうで、ある程度無駄な緊張もとれていきました。

関連記事:立ち方を考える|胸を張るのは間違い?!立ち方を理解するための3つのステップ

重心位置の確認

立ち方の指導と同時に、フラット着地ができるように重心位置の話をし、理解をしてもらってから踵に重心を乗せていきました。感覚も非常によく、踵に体重が乗ると、骨で立っているみたいということを言っており、以前に比べ重心が後ろになったように感じたそうです。

その重心の状態でその場でスクワットをしたり、ジャンプストップを行い、両脚・片脚・交互というようにバリエーションをつけながら踵の感覚をインプットしていきました。

踵で踏み込みの確認

続いてホッピングをするように、ポンポンポンッと連続でバウンドするように弾み、このときに踵で地面を踏み込むイメージをつけていきます。

押し込むようなイメージなどは、接地時間が長くなってしまうため、踏み込むぐらいのイメージを持ち、この感覚は走るときにも活用するため、ある程度時間をかけて行いました。

はじめは、踵で地面を踏み込むことは難しかったそうで、これまでつま先で地面を蹴っていたため、感覚をつかむまで少し時間はかかりましたが、一度その感覚を体感できると、インプットできたそうで、つま先で地面を蹴るよりも弾むことができ、バネのように弾む感覚が出てきました。

スキップ

ここからはスキップに動作を変え、まずは何も言わずにスキップをしてもらいました。選手の姿を見ていると、先ほどつけた踵のイメージがあるため、フラット着地で弾むことはできていましたが、左右への蛇行が大きく、身体が左右へ流れてしまっていました。

このスキップでは、踵で地面を踏み込むイメージを持ったり、体幹をまっすぐ運ぶ意識を持たせたり、スキップをした際に左右の膝がまっすぐ向いているかどうかを確認しながら行っていきました。

体幹や膝をまっすぐに運ぶことが難しかったそうですが、ここも時間をかけてまっすぐに運ぶように指導していきました。蛇行が少なくなって身体をコントロールでき始めたので、次にスキップによって高さを出していきました。

ここでは、頭の位置を引き上げたり、腕のスイングで高さが出ることを確認したり、空中で前に進むような感覚を掴んでいったり、スキップが終わる頃には、スキップをする前よりも弾む感覚が得られ、弾んでいるだけでどんどん進んでいくような感覚が出てきたそうです。

関連記事:50m6.2秒の現役トレーナーが伝えるストライドを伸ばす”弾む”練習方法

脚の使い方

続いては脚の使い方について指導していきましたが、これまでの認識では、膝を高く上げる、脛を前に出すというような感覚があったそうで、そのように教わってきたそうです。

ただ、今回はまず踵で左右それぞれお尻の真ん中を蹴るようにその場駆け足をしていきました。これができると、次は膝を前に出す、ニーキックのような動作を繰り返しました。そして、膝は上げるのではなく、前に出す感覚ということを伝え、これが選手にとっては不思議な感覚だったそうです。

膝は上げるというよりも前に出す感覚が得られたところで、左右の膝が内外側に向いていないか、まっすぐに出せているのかを確認し、その場駆け足を再度おこなっていきました。そして、次の腕の動作に移っていきました。

関連記事:疲れない走り方とは?重心を低く腕を一生懸命引けば疲れる

腕の使い方

腕の使い方としては、地面をたたきつけるようなイメージを持っており、真下に振り下ろす意識を持っていたそうです。腕はさまざまな使い方がありますが、スプリントの場合、腕は前方への推進力を得るために活用できますので、自然な腕の使い方を指導し、前方への推進力を得られるような使い方を指導してきました。

ここでも選手は今までとの違いを感じ、今までどこか進んでいるけど止まっている感覚があったのに、腕の使い方によって前に引っ張られているように感じ、腕のスイングでグン、グン、と進むのを体感できたそうです。

まさに腕によって前方への推進力を得られたのだと思います。またよく腕が左右に大きく開くように走ってしまう選手がいますが、このような選手の場合、身体も左右へ流れやすくロスとなります。

腕は横ではなく、リラックスした状態で前に出すぐらいのイメージでスイングすることで推進力を得られるようになります。

関連記事:速く走るためにはフォームをどう考える?実践から感じた走り方について

上下の連動

ここまで来ると次に行うのは、下肢と上肢の連動で、これまで動きをバラバラに作ってきており、まだ上と下の動きが連動していないように見えたので、スムーズに動かせるリズムを探っていき、それを繰り返していきました。

すると上下の動きもスムーズに動き、連動した動きに近づいていきました。

重心移動

そして次に自分の重心を自由にコントロールできるように、5cm、10cm、15cmと脚で操作せずに、重心だけを自分が思った距離だけ運べるように繰り返していきました。

これが難しかったようで、これまでいかに重心を運ばす、地面を蹴ったりしているかを感じれたそうで、重心を運ぶことが少しずつ理解できると、身体の傾斜の角度を深くすると、坂道を転がるボールのように自分で進むのではなく、勝手に加速されていくような感覚を得られたそうです。

これまで自分で地面を蹴った反動で前に進むという認識があったそうですが、そうではなく自分の重心を運ぶことでこれだけ楽に走れ、リラックスしても進むということが理解できたそうです。

スプリント

最後の段階として、これまでのまとめとして走っていきました。はじめは、少し力みがあり、緊張も見られていましたが、次第に慣れリラックスしたフォームとなり、軽やかに弾むように走っていました。

ある程度の距離を走ると、惰性で流しジョグに変えていくのですが、リラックス走っているため息が上がりづらく、気づけばものすごい距離を走っているぐらい楽に走っているけど、距離が伸びるという感覚になったそうです。

上記のようにリラックスしたスムーズな走りができると、疲れにくくなってきます。これは無駄な緊張がとれ、スムーズに動けるからそうなるのであって、緊張が多い、硬い動作をしてしまえば無駄なエネルギーを使ってしまい疲れやすくなります。

基本的には、走るというのはより楽にリラックスして動くことが重要に感じます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。これまで実際の指導をしたことを基に走り方についてみていきましたが、これまでの中で脚を高く上げるということや地面を蹴るということは出てきませんでした。

効率よく走るためにも、こういったアドバイスではなくよりスムーズに動けるような動きづくりが必要となります。

最後に今回の記事のまとめを書いていきたいと思います。

  • 走るということは、重心を運ぶこと
  • タイム短縮のためには、ピッチ×ストライドの関係を知る
  • つま先で地面を蹴るのではなく、踵で地面を踏み込む
  • 膝は高く上げるのではなく、前に出すイメージ
  • 腕は後方に引くのではなく、前方へ振り出すイメージ
  • 1本の線を走るよりも、2本の線の上を走っているイメージ

このような内容で書いていきました。走り方は、個人のフォームによってアドバイスなども変わってきますが、選手へのアドバイスが少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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Izuru Style代表/パーソナルトレーナー伊藤 出。
STORY・VERY読者モデル、アナウンサー、宝塚歌劇団員の元専属トレーナー。神戸女子大学ラクロス部、三菱重工業神戸在籍野球選手の専属トレーナー。
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