逆効果になる?ストレッチ中に避けてほしい5つのこと

トレーニング

効果的だと思っていたストレッチのやり方が、実は逆効果になっているかもしれません。

当たり前にように言われているストレッチ方法も、本来は適切でないことはよくあります。

この記事では、

・ストレッチ中に避けてほしい5つのこと
・逆効果になる可能性があるストレッチ方法

などをパーソナルトレーナー歴11年の伊藤出(@izuru_style)が解説します。

 

逆効果になるストレッチ方法①:痛いほど筋肉を伸ばす

ストレッチを行う目的は、

筋肉を緩めること

です。筋肉を緩めるためにさまざまなテクニックを行いますが、全て筋肉が緩むための刺激を与える必要があります。

痛み&不快感が出ると筋肉は緩まない

よく現場でもクライアントさんから聞くのが、

・痛みがある方が効果的な気がする
・強く伸ばした方が筋肉がほぐれそう

などですが、実はこれは全て逆効果。

というのは、筋肉を強く伸ばしたり痛みを感じるぐらい伸ばしてしまうと、以下の反応が起こるんですね。

・筋肉を強く伸ばす
・筋紡錘という感覚受容器に刺激が加わる
・筋肉が伸びると、縮め!という反応を出す
・その結果、筋肉が縮まって緊張してしまう

こういった変化が起こります。

つまり、

筋肉を強く伸ばしすぎると、緩むのではなく緊張して硬くなる

という反応を示すんですね。だから、ストレッチ中に痛みや不快感を出すと逆効果になるわけです。

気持ち良い“快の刺激”を加えること

ストレッチ中に1番加えてほしい刺激は、

「気持ち良い」と感じる“快の刺激”

です。

この刺激が加わると筋肉を緩める反応が出るため、痛み・不快感を出さないようにストレッチを行うことがポイントなんですね。

以下の動画内容を実践していただくと、この感覚が掴みやすいと思うので、ぜひ参考に実践してみてください。

 

逆効果になるストレッチ方法②:反動&急激に伸ばす

続いても①と似ていることですが、ストレッチ中に、

・大きく反動をつけて筋肉を伸ばす
・急激に筋肉を伸ばす

こういった刺激が加わった場合も、基本的に逆効果になる可能性があります。

急激に伸ばすと防衛反応が働く

これは上記でお伝えした反応と同じで、

・筋肉を急激に伸ばす
・筋紡錘に刺激が加わる
・防衛反応が働き、筋肉を収縮させる
・これが続くと、筋肉が硬くなる

という反応が起こるんですね。

これは手を握り合った状態でイメージすると、わかりやすいと思います。

・2人が握手するように手を握る
・一方の人が急に手を引っ張る
・驚いて、グッと力が入る

これと同じことが筋内で起こっており、急激に筋肉を伸ばしたり、大きな力で筋肉を伸ばせば筋肉は緊張します。

ですので、こういったストレッチのやり方を行ってしまうことも逆効果になりかねません。

ケガをするリスクが高まる

さらに、こういったストレッチのやり方を実践してしまうと、

・筋膜が傷ついてしまう
・筋断裂が起こる

など痛める危険性もあるんですね。

適切なやり方である程度反動をつけるのはいいですが、大きな力を加えるようなストレッチはおすすめできません。

以下の動画では、気持ち良く動かしながら筋肉を緩める方法をお伝えしているので、こちらも参考に実践してみてください。

 

逆効果になるストレッチ方法③:伸ばしている筋肉に意識を向ける

これも当たり前のように言われることの1つですが、

緩めたい筋肉に意識を向けてストレッチを行うと、筋肉が緩みづらくなる

可能性があります。

意識を向ける=緊張する

筋トレをしているとき、「鍛えている筋肉に意識を向けましょう!」と聞いたことはありませんか?

あれは、筋肉に意識を向けることでその部位の興奮度が増し、結果的により鍛えられるから行うんですね。

伸ばしている筋肉に意識を向けると、

筋肉の興奮が増し、緊張する可能性がある

わけです。そうすると筋肉が緩みづらくなり、逆効果になる可能性があります。

意識の向け方を変える

ただ、意識を向けることがすべてNGというわけではありません。ポイントは、

どの筋肉に意識を向けるのか

ということです。

例えば、こういった長座で行うストレッチングをするとしますよね。

ストレッチ

このポージングでは「太もも裏」の筋肉を伸ばし、緩める目的でストレッチングを行っています。

このとき、

太ももの前側の筋肉に意識を向ける

ようにしてみてください。

そうすると、裏ももの筋肉がより緩みやすくなります。これは相反抑制(そうはんよくせい)という反応を活用しています。

シンプルに言えば、

緩めたい、伸ばしている筋肉と逆側の筋肉に意識を向ける

ということです。そうすれば、より目的とする筋肉を緩めることができるんですね。

上記の例で詳しく解説すると、

・前ももに意識を向ける=前ももが縮まる
・このとき、裏ももはより伸ばされる
・意識が外れているので、よりリラックスできる
・その結果、裏ももの筋肉が緩みやすくなる

こういった反応の結果、裏ももがより緩みます。

ここを理解してストレッチングを行えると、より筋肉を柔らかくすることができるはずです。

https://ideal-style-personal.com/wp-content/uploads/2021/06/IDEAL-吹き出し.png
いずる

部位が違っても、伸ばしている部位の逆側に意識を向けるだけで筋肉はより緩みますからね!

 

逆効果になるストレッチ方法④:大きく深呼吸をする

続いては、ストレッチ中の呼吸についてです。

深呼吸をする=体幹が力む可能性

ストレッチ中には呼吸を止めず、大きく深呼吸をしましょうと言われることもありますよね。

呼吸をすることは筋肉を緩めるためにも重要ですが、“大きく”深呼吸をしようとすると、逆に筋肉が緩みづらくなる可能性があるんですね。

その場で呼吸をしてもらうとわかりますが、

・大きく深呼吸をする=最終的に緊張する
・リラックスして自然な深呼吸をする=どんどんリラックスできる

こういった違いが実感できると思います。

意識的に大きな深呼吸をすることで逆効果とまではいきませんが、筋肉が緩みづらくなっているかもしれません。

呼吸が浅い方の深呼吸は逆効果かも

以下のような方は、深呼吸が逆効果になってしまう可能性もあります。

・デスクワークを長時間している
・猫背で体が丸まっている
・運動不足で体が硬い

こういった方は体幹の筋肉が硬くなり、呼吸が浅くなっていると思います。

そんな状況で“大きく深呼吸”してしまうと、どうしても苦しかったり、うまく体幹部分が膨らんでくれません。

そうすると、

・呼吸そのものが緊張につながる
・ストレッチ中に力が抜けない

などが影響し、結果的には大きく深呼吸して行うストレッチが逆効果になる可能性もあります。

大きな深呼吸ではなく、気持ち良くできる呼吸を続けた方がストレッチの効果を引き出しやすくなりますね。

 

逆効果になるストレッチ方法⑤:スポーツや筋トレ前に静的ストレッチングを行う

ここからお伝えすることは、特にストレッチ後に大きな力を発揮する可能性がある、

・スポーツ選手
・高重量でトレーニングする方

などはおさえておいてほしい内容です。

ストレッチングと筋力低下の可能性

コーチングクリニック 2010年9月号」に、ストレッチングを行った後に筋力低下が起こる可能性がある研究結果が掲載されてました。

ここで掲載されている研究内容は、

スポーツ選手を対象に、10秒・20秒・30秒・60秒とストレッチング時間を変動させ、筋力低下がどのように起こるのか

という内容です。

ここで言う“ストレッチング”というのは、先ほどもご紹介した筋肉を伸ばし続けるような方法のことですね。

ストレッチ

結論としては、

30秒以上のストレッチングをした場合、筋力低下が起こる可能性がある

ということがわかったそうです。

もう少し厳密に言えば、以下のような内容が掲載されていました。

膝関節伸筋群、膝関節屈曲群、および足関節底屈筋群に対してスタティックストレッチングを実施したことで、膝関節伸展ならびに屈曲における最大挙上重量(1RM)がそれぞれ8.1%、および7.3%低下したことを明らかにしました。

コーチングクリニック2010年9月号より引用

つまり、

30秒以上のストレッチングをスポーツ前になどにすれば、筋力が低下して逆効果になる可能性がある

ということです。

動的ストレッチなどの体操は問題ない

上記の内容はもう少し議論したり、内容を精査する必要がありますが、動的ストレッチと言われる体操を行った場合は「筋力低下は見られなかった」ということも記載されています。

ですので、大きな力を発揮する前にストレッチを行うのであれば、

・静的ストレッチング=逆効果の可能性がある
・動的ストレッチ(体操)=逆効果になるリスクは避けられる

こういったことをおさえて実践する必要があります。運動前などは、動きながら筋肉を緩める方法がおすすめですね。

ここまでお伝えしたように、

・痛みを感じるぐらい筋肉を伸ばす
・反動をつけたり、急激に筋肉を伸ばす
・伸ばしている筋肉に意識を向ける
・大きく深呼吸をする
・スポーツなどの前に静的ストレッチングを行う

こういったことは逆効果になる可能性があるので、避けつつ上記でお伝えした内容へと変えると、また違った成果を実感できるはずです。

上記の内容が少しでも参考になればうれしく思います。今回は以上です。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

硬い筋肉を柔らかくする方法もご紹介しているので、合わせて参考にどうぞ。

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