整体や整骨院、マッサージ店などに通っても腰痛が治らないと本当に不安になりますし、「自分の腰の痛みは一生治らないんじゃないか…」と気持ちも落ち込みますよね。
人間本来痛みがない状態が自然ですが、なぜか腰痛が出てしまう。その1つの理由に、緊張性筋炎症候群(TMS)という症状があります。
いわゆる、“ストレスによる痛み””思い込みによる痛み”というもので、この症状を知ることで今まで改善できなかった腰痛の新しい直し方が見えてくるかもしれません。
この記事では、
- 緊張性筋炎症候群(TMS)とは
- ストレスによって痛みが出る理由
- ストレスで発生する痛みの改善方法
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
今回の内容は、実際に現場であった腰痛の例などを交えてお伝えするので、少しでも参考になればと思います。
今回の記事の内容
緊張性筋炎症候群(TMS)とは
TMSとは、以下の通りです。
緊張性筋炎症候群(Tension Myositis Syndrome)。肩こり、腰痛、首痛、手足のしびれなど筋骨格系や関節の痛みは、すべて共通した原因による一つの症候群だというニューヨーク大学のサーノ博士が唱える理論。
TMS:weblioより引用
もう少しわかりやすく言えば、
TMS=思い込みや脳が痛みをインプットしていることで起こっている症状
ということです。
つまり、
身体の痛みは、脳へアプローチすることであらゆる症状を改善できる
と考えられているのが「TMS理論」というわけです。
初めて聞いた方も多いと思いますが、日本には「TMS JAPAN」という協会もあり、この理論を活用して治療する治療院や整体院も多くあります。具体的な治療法としては、
脳が覚えている痛みを忘れさせるようなことをする
という方法です。関連の書籍も多く出ており、具体的なことを知りたい方は、こちらを参考にしてみてください。
このように身体的には問題がなくても、ストレスなどの影響を受けて起こる痛みの可能性もあります。
もしかすると、これまで治療院などに通ってもうまく痛みの改善が見られない方は、TMSの可能性があるかもしれません。
ただ、脳と痛みの関係を言われてもあまり腑に落ちない方もいると思います。ここで1つの大事故の例をご覧ください。
これを読んでいただくと、
痛みと脳の関係について新しい考え方がみえてくる
と思います。
痛みは脳が感じている
これは実際にあった事故の話です。
2007年8月、静岡県で大型のバイクを運転していた男性が高速道路の中央分離帯にぶつかり、そのまま走行。
2km先で高速道路を下り、信号で止まろうとしたときに自分の片脚がないことに気が付く。
救急車を呼び、救急隊員の呼びかけに「脚が痛い…」と苦悶の表情で答えたそうですが、自分の脚がないことに気づくまでは痛みを感じていなかった。
少し極端な例ではありますが、脚がない状況を「認識して初めて痛みを感じた」例でもあります。
この事実からわかることは、
脳が痛みを感じている
ということです。現代人は、ストレスが溜まっている方も多く、ストレス社会と言われていますよね。
ストレスは人間の大きな負担になりますが、このストレスから逃れようとして脳が身体に痛みを出すケースも考えられます。
この症状を、
緊張性筋炎症候群=TMSといい、いわゆる思い込みによって起こる痛み
ということ。
なんとなくTMSについて理解が深まってきたでしょうか?次は、実際に現場であった経験もお伝えしていきます。
緊張性筋炎症候群(TMS)の腰痛が出ていた疑いのあるクライアントさんの例
6年前に実際に相談を受けた30代女性の話ですが、このクライアントさんは以前ある地域に行き、1ヶ月間ホテルに泊まり込みで整体を受けていたそうです。
ただこの1ヶ月間では全く改善が見られず、途方に暮れたときに僕のブログを発見し、直接ご相談に来られました。
休職前から腰痛が出る
クライアントさんは保育士でしたが、職場の人間関係にかなり悩んでいました。毎日悩んでストレスが溜まり、いつの間にか腰痛に悩まされます。そのときの気持ちとしては、
なんで自分はこんなことばっかり…
と落ち込まれたそうで、その後休職をされて自宅療養をすることになります。
そして、ネットでいろいろと調べて先ほどお伝えしたホテルに1ヶ月間泊まり込み、整体を受けにいったそうです。
でも全然改善がみられない…。こうなると、ものすごいストレスが溜まり、もう直らないのでは…と絶望感みたいなものも出てきたそうです。
筋肉を緩めるとある程度腰痛は改善する
こういった経緯を経てから僕のところに来られていますが、最初のカウンセリングの時にはこういった経緯をお話されず、
保育園で働いているときに、腰痛が出た。
ということだけを話されました。身体に触れてみると全身の筋肉はガチガチ。そのとき僕の判断では、
園児を抱っこしたときに強いストレスがかかり、全身の筋肉が硬くなって腰痛につながっている
と原因をみていました。
そのため、そこから行ったことは全身の筋肉を緩めること。結果、ある程度腰痛が改善されてきて、姿勢や動作を改善すれば維持もできるようになっていきました。
ただ、あるときから腰痛の改善がみられなくなり、そのときに再度いろんなお話を聞くと、上記でお伝えしたようなことを話してくれました。
筋肉を緩めるだけでは限界があった
腰痛の改善がみられなくなかったのは、当然僕自身の技術不足は否めません。
ただ、以前は改善が見られていたことをしても、全くといっていいほど改善が見られなくなりました。このときのことを振り返ると、1つのことが見えてきました。それは、
筋肉を緩めることがメインの改善ポイントではなかったのではないか
ということです。実は筋肉を緩めている時に、仕事の話から、
- 将来したいこと
- 目指していること
- 実現したいこと
など、将来について話したことがありました。腰痛の改善が見られるようになってからは、なぜか筋肉を緩めることに集中してしまい、会話が減ってしまいました。
前向きな話をすることで腰痛が改善するのでは
このことから見えてくることは、
- 前向きな話をする=腰痛が改善する
- 会話が減る=腰痛が改善しない
ということが実際に起こっていた可能性があります。もしそうであれば、考えられることは、
- 前向きな話をする
- 希望が得られて、気持ちも晴れやかになる
- ストレスが解消でき、腰痛が軽減された
ということ。会話が減ると今までの自分の考え方に目がいってしまい、結果今までと同じことが起こってしまう。つまり、痛みが出る。
このことに気づいてからアプローチを変えてみると、腰痛の程度に変化が見られてきました。ただ、このクライアントさんは、途中で来られなくなってしまい、最終的な経過を追えていません。
ですので、あくまでも1つの考え方であり、実際に経験する中で感じたことですが、
ストレスの増減によって腰痛の程度が変わる可能性もある
ということは十分起こり得ることだと思っています。
ストレスによって白血球の割合が変わり痛みにつながる
先ほどの原因は脳が関連した痛みでしたが、もう1つ考えられるストレスで起こる痛みの原因は、白血球との関係があります。
白血球は、
- 顆粒球
- リンパ球
- マクロファージ
という主に3つの成分から構成されており、安静時のそれぞれの割合は決まっています。
ただ、ストレスが溜まってくるとそれぞれの割合が変わり、特に顆粒球の割合が高くなってくるそうです。この顆粒球の役割は、
体外から侵入する細菌を殺菌する
という働きがあり、強い殺菌力を持っています。
ストレスが溜まっていなければ身体を守ってくれますが、ストレス過多になると細菌だけではなく、体内までも攻撃してしまいます。
その結果、身体の各部位で炎症が起こり、身体の痛みにつながる可能性があるんですね。
代表格に胃腸炎
があります。かなりストレスが溜まったら胃腸炎になるというのは想像しやすいと思いますが、これは顆粒球の増加によってもたらされているということです。
こういった白血球の割合の変化によっても、身体の痛みにつながるというわけです。では、こういったストレスで発生する痛みは、どのように改善すればいいのでしょうか?
緊張性筋炎症候群(TMS)で発生した痛みの改善方法
改善のために必要なことは、
ストレスを取り除く
ということですが、具体的な改善方法としては以下のようなことになります。
ストレスによって痛みが発生することを理解する
まず一番最初にするべきことは、
痛みの根源がストレスにあるということを理解、認識すること
です。おそらく、この記事を読まれている方の中には、「本当にストレスで痛みが出るの?」と思っている方もいるかもしれませんが、疑いがある中ではなかなかいい結果にはつながりません。
とはいえ、今回の内容を信じ込めというような強制的なことを言うつもりもありません。現場で活動する中で、まず大事になることが、
身体の悩みの根本原因を、自分自身で理解する
ということ。
人によって原因は違うと思いますが、自分自身が今何に一番ストレスを感じているのか、何が原因で痛みが出るのかを頭の中で整理することができれば、やるべきことも見えてきますよね。
ここの安心感というか改善できる道筋が見えることが、身体の痛みを改善する上では大切になります。
自律神経を整える
頭の中で原因が整理できると、次は自然体に直すことがポイントになってきます。
自然体というのは、
- 全身の筋肉が柔らかい
- 自律神経が整っている
- 循環が良く、滞りがない
こういった状態をイメージしていますが、この状態に直すことでより痛みの改善につながります。
ストレスが多い方は、全身の筋肉も硬くなりがちですので、それらを一度緩め、自律神経も整えていきます。
自律神経を整える方法は、以下の記事を参考にしてみてください。

こころを開ける人と会話をする
自然体に直せると、次にすることは、
自分の悩み、気持ちを打ち明けられる人と会話をする
ということ。人は会話をすることで今悩んでいることに悩まなくなったり、解決の糸口が発見できることもあります。
先ほどクライアントさんの例でお伝えしましたが、この部分は、ストレスで発生する痛みの改善に最も重要になる部分だと思います。
やりたかったことをする(脳に快の刺激を与える)
あとは空いている時間に、今まで自分がやりたかったことをして楽しい時間を過ごすということですね。
どうしてもストレスが多いと、マイナスな気持ちに引っ張られて行動しづらくなります。だけど、そこであえて、
- 旅行をする
- 友人と食事をする
- コンサートに行く
- 登山やハイキングをする など
自分がしたかったことにチャレンジをすることで、楽しいという時間が今までよりも長くなります。
そうすると、脳は“快の刺激”を受ける時間が長くなり、結果として脳が痛みを忘れ、痛みの改善につながると考えることができます。
実際に現場でもこういう提案もしていて、積極的に出かけるようになっている方ほど、身体は元気で健康体に近づいているので楽しむことも重要と言えます。
緊張性筋炎症候群(TMS)と痛みの関係のまとめ
今回は、ストレスで出る痛みの原因と改善方法について解説しました。
今回の記事の内容のまとめ
- ストレスが溜まりすぎると身体に痛みが出ることがある
- その原因は、ストレスの逃避反応で身体に痛みを感じる可能性
- 改善のためには、まず自然体に直し、自律神経を整える
- そして、日頃から楽しいことをしてストレスを取り除く
- 頑張ることが良いことではなく、ゆとりを持った生活を置くことも重要
こういった内容をお伝えしていきました。
今回の内容がストレスによって起こる痛みに悩む方の参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
TMSが疑われる方や詳しく知りたい方は、ぜひ本もご覧ください。改善のヒントがかなり多く載っていますよ!
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