野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法

野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法

スポーツ選手がウォーミングアップをするとなれば、なんとなくランニングをして、チームで決まったストレッチをするという流れが基本ではないでしょうか。

適切な方法でウォーミングアップを行うことで身体の動かしやすさが変わり、改めてウォーミングアップの大切さに気づけると思います。

この記事では、

  • ウォーミングアップとは
  • 野球選手に指導するウォーミングアップの5つの流れ
  • ウォーミングアップをするときの注意点

などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。

今回お伝えする内容は、実際に社会人野球選手や高校野球チームでも指導している内容ですので、ぜひ参考に実践してみてください。

 

今回の記事の内容

ウォーミングアップとは

スポーツ選手に限らず、一般の方でも身体を動かす前やトレーニング前などにもウォーミングアップをすると思いますが、改めて意味や目的を整理すると以下のような内容になっています。

ウォーミングアップの意味や目的

ウォーミングアップ【warming-up】という言葉は、

  • ウォーム【warm】:温める
  • アップ【up】:上げる

という言葉の意味があり、本来の意味は“体温を上げる”ということ。

ウォーミングアップを行う目的は、

ウォーミングアップ後に行う練習や試合、運動などでより身体がスムーズに動くために行う

ということです。

ですので、より身体を動かしやすい状態にするのが、ウォーミングアップの本来の意味ということですね。

ウォーミングアップの効果

ウォーミングアップでどのようなことを行うのかによっても変わりますが、

  • 体温を上げ、反応を速くする
  • 身体の柔軟性を改善し、身体を動かしやすくする
  • 可動域が広がり、ケガの予防になる

などの効果が期待できます。

ウォーミングアップ時の心拍数

上記のような効果を引き出すためには、まず重要になることは心拍数を適切に上げるということ。

心拍数は、

120拍/分

まで上げることが指標とされており、ここまで体温を上げることで少し汗ばみはじめ、体温は上がってきます。

ただ、実際に現場では心拍数を測れる機会は少ないと思います。そんなときに指標になるのが、

はあはあドキドキして、少し汗ばむ

という主観。この感覚になれば大体120拍/分の心拍数まで上がっているので、現場でこの感覚を指標に心拍数を上げていきます。

ウォーミングアップで最初に行うことは心拍数を上げることですが、この心拍数を上げるためにはよくランニングが行われると思います。

これも1つの方法ですが、この「心拍数を上げる」ことの本質は、「心臓を上下に揺らす」ということ。ですので、状況に応じて心臓を上下に揺らす方法をすれば心拍数は上げられます。

これは後程具体例をご紹介していきますね。

 

野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法①:身体を温める

ここからは、実際に野球選手に指導しているウォーミングアップの5つの流れや方法をご紹介します。

これらの内容は野球選手に特化していますが、他のスポーツ選手の方も必要な内容も混じっているので、ぜひ参考に実践してみてください。

心拍数を上げる

まず行うことは、心拍数を上げるためにランニングなどを行っていきます。

先ほどもお伝えした通り、心臓を上下する運動ができれば心拍数は向上しますのでランニングじゃなくても、

  • バイク
  • 踏み台昇降
  • エアロビ
  • 軽めのサッカー
  • 縄跳び など

何でもOK。できれば、競技に近い形がいいと思いますが、最悪その場でジャンプを繰り返せば心拍数は上げられます。

1つの参考として、以下の動作を一緒に行ってみてください。そうすると、畳1畳分でも十分心拍数を上げられることがわかると思います。

あとは、さまざまな方法であっても心拍数を120拍まで上げられるとOKです。

野球選手には、「はあはあドキドキして汗ばんでくれば終わり」と伝えていますが、先ほどもお伝えした通りこの感覚が120拍/分になる指標なんですね。

ですので、あまりしんどすぎない程度に、こういった感覚を1つの指標にまずは心拍数を上げて体温を上げていきます。

 

野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法②:ダイナミックストレッチ(体操)

体温を上げられると、その流れでダイナミックストレッチ(体操)に入っていきます。

ダイナミックストレッチは基本的に、

  • 肩(肩甲骨)
  • 脊柱
  • 股関節
  • 膝・足首の関節

という順に、上から下に向かって行うようにします。

このダイナミックストレッチは、以下の動画で全て解説しているので、こちらも参考にしてみてください。

以下では部分的な解説をしていくので、上記の動画をご覧いただいた方は飛ばして次のことを実践してもらえればOKですね。

少し内容は異なりますが、上記の動画の方がスポーツ選手には参考になると思います。

首のダイナミックストレッチ

手順

  1. 正面を向き、頭のてっぺんで小さな円を描くように回す
  2. 首がゴリゴリ鳴らない程度に動かす
  3. 同じ方向へ10回、逆方向へ10回回す

肩のダイナミックストレッチ(前後運動)

手順

  1. みぞおちの高さで手の小指を合わせる
  2. 腕を軽く落とすようなイメージで、肘を曲げながら後方へ動かす
  3. そこからその反動で元の位置に戻す
  4. 腕を前後に20回、気持ち良く動かす

肩のダイナミックストレッチ(肩甲骨を内外へ動かす)

手順

  1. 肩から腕をぶらんとリラックスして垂らす
  2. へその前辺りで、手の甲と甲を合わせる
  3. このとき、胸元にしわを寄せるイメージを持つ
  4. ここから腕を外側に捻り、胸を張る
  5. 肩甲骨を内・外側に動かす
  6. これを20回行う

肩のダイナミックストレッチ:腕回し

手順

  1. 身体の前側で円を描くように腕を回す
  2. 肩がゴリゴリ鳴らないように、気持ち良く回す
  3. 20回同じ方向に回したら、逆回し20回行う

脊柱・股関節のダイナミックストレッチ:前屈・後屈

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. 両膝を軽く曲げ、身体をお辞儀させる
  3. 地面を軽くタッチするように、小さくバウンドする
  4. これを20回行う

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. そこから、軽くへそを前にスライドさせるように後屈する
  3. 腰周りが緊張しない位置で、小さく前後に動く
  4. これを20回行う

脊柱・股関節のダイナミックストレッチ:側屈・回旋

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. 骨盤を片側にスライドさせる
  3. そこから逆方向へ身体を倒す
  4. この状態で、小さく弾むように体側を伸ばす
  5. 左右各20回行う

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. 体重を軽く片脚へ寄せる
  3. それと同時に体重を乗せた側に身体を捻る
  4. そのまま逆側へ移動し、身体を捻る
  5. これを左右20回行う

股関節・膝のダイナミックストレッチ:股割り

手順

  1. 脚を肩幅よりも大きめに開く
  2. つま先も違和感ない程度に開く
  3. その状態で、しゃがみ込み股割りを行う
  4. つま先と膝は同じ方向を向けておく
  5. この状態で小さく50回弾む

膝・足首のダイナミックストレッチ:屈伸

手順

  1. 脚を肩幅に開いて立つ
  2. そこからしゃがみ込んで、トン、トンッのリズムで屈伸を行う
  3. できるだけ反動で屈伸を行う
  4. これを10回行う

大きな流れとしてはこのような内容を行ってもらうと、全身の筋肉がほぐれ身体は動かしやすくなっているはず。

また、ストレッチングと言われるあるポージングをとって伸ばし続けるような方法はあまりおすすめしません。

この理由については、以下の記事で解説しているのであわせて参考にしてみてください。

 

野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法③:アジリティドリル

次に行うのは、

  • サイドステップ
  • キャリオカ
  • バック走

など、野球に必要な動きを活用して身体を動かしていきます。

これらすべて塁間をイメージして行ってもらうとやりやすいと思います。

※以下の動画は、少しスタジオが狭かったので窮屈な動作になっていますが、動きの参考としてご覧ください。

サイドステップ

手順

  1. 立った状態で、重心を胸辺りに設定する
  2. 胸辺りを進みたい方向に身体を倒すように運ぶ
  3. 脚はサイドステップを行う
  4. このとき、体重は踝の真下に乗せた状態で行う
  5. これを塁間4~6本行う

キャリオカ

手順

  1. 立った状態で、重心を胸辺りに設定する
  2. 胸辺りを進みたい方向に身体を倒すように運ぶ
  3. 脚は前後にクロスさせながら進む
  4. このとき、体重は踝の真下に乗せた状態で行う
  5. これも塁間を4~6本行う

バック走

手順

  1. 脚を腰幅ぐらいに開く
  2. 重心を胸辺りに設定する
  3. この重心を後方に倒していくようにバック走を行う
  4. これも塁間を4~6本行う

このアジリティドリルが終わると、

  • サイドステップ → ダッシュ
  • キャリオカ → ダッシュ
  • バック走 → ダッシュ

というように、バリエーションをつけてダッシュも行っていきます。

そして、これらが終わった後に目的別にダッシュのみを行っていきます。

 

野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法④:バランストレーニング

次に行うことはバランストレーニングです。

1つ例をご紹介すると、以下の通り。

①両脚のバランストレーニング

手順

  1. 脚を肩幅に開き、つま先も軽く開く
  2. そこから真上に軽くジャンプし、両足の足裏全体で着地する
  3. 着地の衝撃をお尻の付け根で受け止め、再度ジャンプする
  4. 1回1回確実に足裏全体で着地し、これを30回ほど繰り返す

その場で両足ジャンプ

その場で両足ジャンプ

その場で両足ジャンプ

まずその場でのジャンプストップが確実にできるようになれば、そこから少しずつ前に移動しながら同じようなことを繰り返していきます。

手順

  1. 脚を肩幅に開き、つま先も軽く開く
  2. そこから10cm前方に軽くジャンプし、両足の足裏全体で着地する
  3. 着地の衝撃をお尻の付け根で受け止め、再度10cm前方にジャンプする
  4. 1回1回確実に足裏全体で着地し、これを20回ほど繰り返す

10cm進みながらフラット着地

10cm進みながらフラット着地

10cm進みながらフラット着地

10cm進みながらフラット着地

10cm進みながらフラット着地

10cm進みながらフラット着地

10cm進みながらフラット着地

両脚でのバランストレーニングは、

  • その場でジャンプストップ
  • 10cm前方に進みながら着地を繰り返す
  • 20cm前方に進みながら着地を繰り返す
  • 30cm前方に進みながら着地を繰り返す

このように4つの段階をイメージして、全て“確実に”足裏全体で着地できるようになれば、次のステップに進むように繰り返していきます。

野球選手に必要なバランス能力は、

平地でバランスよく立てる能力

です。

ですので、その場でジャンプして足裏全体で着地を繰り返す。こういうトレーニングを行えば、野球に必要なバランス能力がトレーニングできます。

手順とすれば、

  • 両脚でのバランストレーニング
  • 片脚でのバランストレーニング
  • 交互でのバランストレーニング

という流れ。

このバランストレーニングについては、以下のの記事で詳しく解説するので、こちらをご覧ください。

 

野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法⑤:クイックネストレーニング

最後に行うことは、クイックネス(俊敏性)トレーニングといって、自分の身体に最大の速さで動くという刺激を与えていきます。

野球選手に限らずスポーツ選手は、さまざまな動作を最大スピードで行いますよね。

筋肉は日頃から最大速度で動くことを経験していないと、最大スピードを発揮できなくなってしまう。だからこそクイックネストレーニングを行い最大スピードを経験する。

こういうトレーニングは、

  • 野球
  • 陸上
  • サッカー
  • ラグビー
  • バスケットボール など

全てのスポーツ競技に必要であり、毎日の練習などのウォーミングアップに組み込むことをおすすめします。

このクイックネストレーニングの具体的な方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

また、動画でも解説しているのでこちらも参考にしてみてください。

ここまでの流れができると、練習や試合前のウォーミングアップは完了です。

ただ、練習前なのか試合前なのかなどによって内容は変化するので、ここまでの流れはあくまでも基本的な内容になります。

 

ウォーミングアップをするときの注意点

ウォーミングアップは、さまざまな条件によって変動させることが重要で、次は注意点などを解説していますね。

季節や気温

ウォーミングアップの目的は、「体温をあげること」とお伝えしましたよね。

これは冬にやりがちですが、せっかくランニングなどで身体を温めた後、冷たい風が吹く中でじっとストレッチングなどをしているケースがあります。

これでは身体が冷えてしまって、適切に身体を柔らかくできませんし、体温を上げた意味がなくなってしまいます。

  • 冬で気温が低い → ジャージや上着を着込んで体操などを行う
  • 強い風が吹く → 室内で体操などを行う

など、臨機応変な対応が必要です。

逆に暑い夏の時期であれば、日陰でウォーミングアップをする方が、スタミナの消耗を防げるので涼しい環境の方が適切ですよね。

こういった季節や気温によっても、ウォーミングアップの内容を変える必要があります。

天候や環境

雨でグランドが使えなかったり、試合前のウォーミングアップを行うとき、グランド外の限られた環境の中で行わなければいけないこともあると思います。

この場合、ランニングができなくなってしまうので、上記でお伝えしたような発想が必要です。

天候や環境によっても、ウォーミングアップの内容は変動してきますね。

年齢

もう1つ注意が必要なのは、上記でお伝えしたウォーミングアップの内容は主に高校生以上を対象にお伝えしています。

上記の内容そのまま小学生が実践してしまうと、疲れすぎてしまって練習や試合に集中できなくなってしまいます。

ですので、こういった「年齢」や「体力面」も考慮し、ウォーミングアップを行っていく必要があります。

このように、さまざまな注意点もありながら適切なウォーミングアップができると、これまでと違った身体の動きやすさを感じれるはず。

ぜひ上記でお伝えした内容を参考に、改めてウォーミングアップを適切に実践してほしいなと思います。

 

野球選手に実践してほしい5つのウォーミングアップ方法のまとめ

今回は、ウォーミングアップの意味や現場で指導している5つの流れを解説しました。

今回の記事の内容

  • ウォーミングアップの目的は、体温を上げ身体を動かしやすくすること
  • 体温を上げるとき、心拍数を120拍/分まで上げることが1つの指標
  • 心拍数を上げるためには、心臓を上下に揺らせばいい
  • 具体的な流れは、体操→アジリティ→バランス→クイックネスの順
  • この流れでウォーミングアップを行えば、身体がかなり動かしやすくなる

こういった内容をお伝えしました。

今回の内容がスポーツ選手や野球選手の参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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パーソナルトレーナー伊藤 出

パーソナルトレーナーの32歳。身体の悩みを改善するための情報を発信しています。板前→沖縄でジムのインストラクター→女性専門のサロン→独立(パーソナルジムIDEALSTYLEオープン)。

 

■指導経歴
STORY・VERY読者モデル、アナウンサー、宝塚歌劇団員の元専属トレーナー。神戸女子大学ラクロス部、三菱重工業神戸在籍野球選手の専属トレーナー。

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